「開始します!」」
#守月スズミ #宇沢レイサ #鷲見セリナ全て終わった。
何もかも元通りではないが、それでも少しずつ少女たちの物語へ戻ってゆく。
観覧車のゴンドラに3人の子供と、1人の大人が座っていた。
桃色の髪をした看護師と、星型の髪飾りをつけたスーパースターと、赤い瞳を宿す自警団。
「お皆さん、体調に異常はありませんか?」
「ばっちりです!ね、スズミさん!」
「ええ、セリナさんのおかげで以前と遜色なく腕が動くようになりました」
「そうですか。それは、よかったです。本当に、本当によかった……」
嘘偽りなく好調であると認識した看護師は柔和に微笑み、自警団の二人もまたそれに笑みを返す。
そして、誰ともなく下らない日常の話を始める。
パトロールの話、薬の話、スイーツの話、生徒の話。それぞれ全員が、日常に戻れた事を噛み締めるように、確かめるように。過去を懐かしみ、未来を見据え、観覧車が一周するまでの、決して長くはない今を楽しむために、語らう。
ゴンドラが揺れるほどに笑い合った時間はあっという間で、それでも4人にとってはなんだか永遠のようで、遊園地を出てもさっきの時間が続いているような気がした。
「今日はありがとうございました。セリナさん。レイサさん。……先生」
振り返り、スズミは深々と礼をして、それを3人はそこまで大したことはしていないと、慌てて頭を上げさせる。
そうしてから二、三今後の予定について話し合い、4人は別れ、また混じり合うまでそれぞれの道を往く。
涼しい風の吹くビルの屋上で、月の光を背に受けながら守月スズミと宇沢レイサは街並みを見下ろす。砂糖があろうとなかろうと、何かしら問題は起きるもので、今日も見回る必要がありそうだ。
夜の街を見渡すその赤い瞳には、あの日砂漠に埋めたはずの正義の炎が、確かな熱を持って揺らめいていた。
「それでは、パトロールを