鎧武 妄想1話⑥

鎧武 妄想1話⑥

2スレ目の4

ドルーパーズ前

己詩「...今日はごちそうさま」


裕也「こっちこそ、今日はありがとな。会って話せて良かったよ」


己詩「言えた義理じゃないけどさ...大丈夫?チームの方...」


裕也「まぁ、これからまた皆と考える。お前も頑張れよ、社会人」


己詩「...あのさ」


裕也「ん?」


己詩「私が辞めたのって、裕也に不満感じてたとか、インベスゲームが嫌いとかも

   当然あったんだけどさ...」


裕也「...ああ」


己詩「結局、自信無くなっちゃったんだよ。

   チームの役に立ててないのが、数字にはっきり出ちゃって...

そしたら、私ホントにダンスが好きなのか、わかんなくなってきて...」


裕也「......」


己詩「何だろ...私のダンスが好きって、必要って言ってくれる人がいるなら、

それで良いじゃんって、全然疑いなく信じてたんだけど...

結局数字を出してるのは、周りの人達で、私自身じゃなかったんだなって...

そしたら、お姉ちゃんが...」


裕也「晶さん、大丈夫だったのか?」


己詩「うん、今は新しい職場で働いてる。もう少ししたら、正社員になれそうって」


裕也「好きだったけどな...晶さんの働いてた店」


己詩「...この街の飲食厳しいって、店長も言ってた。私、そんな事も知らなかった」


裕也「だから、大人にならなきゃ、ってことか」


己詩「...もうこれ以上、お姉ちゃんに迷惑かけれないよ。

お姉ちゃん、チームで稼いだお金、全然受け取ってくれないの、

あんな時でも変わんなかったし...それも少なくなって...」


裕也「そっか...でも暇な時には、ガレージに顔出してくれよ。

お前、舞以外ともあんま連絡取ってなかっただろ。皆寂しがってたぜ」


己詩「それは...」


裕也「いや...寂しかったのは俺もか...」


己詩「...ぇ」


裕也「小さい頃から、ずっと一緒だったろ。

そりゃ、よく喧嘩も絶交も繰り返したけど、

ここまで長引いたの、初めてだったからな。

...あんな徹底的に逃げられて、さすがに堪えた」


己詩「う...ごめん...」


裕也「お互い、忙しくて大変だけどさ...

空いた時間にお前がいないと、やっぱ張り合いがねーわ」


己詩「...!おう、私も!」


裕也「お、調子戻ってきたな」


己詩「へへっ...!」


裕也「次はいつガレージに来れそうなんだ?」


己詩「あ...ごめん。今日早上がりにしちゃって、確かしばらくは...」


裕也「そっか...また連絡するよ。それまでに着拒、解除しといてくれよ」


己詩「あ、うん。今しとく」(スマホ操作)


裕也「......」(己詩を見つめる)


(己詩「私は大人にならなきゃいけないのっ!!」)


己詩「...?何?どしたの?」


裕也「いや...いつでも会えるってのは...

『子供の特権』ってやつだったんだろうなって」


己詩「?」





己詩の自宅__


晶「己詩ー。夕飯作るわよー」


己詩「わかったー」



己詩、晶、台所で共に調理


己詩「ねぇ、お姉ちゃん...」(包丁で野菜切り)


晶「んー、どうしたのー?(ピーラーで皮剥き)


己詩「私、大人になってるのかな...?」


晶「えー?」


己詩「いや、大人目指して、頑張って結構たったけど、

未だにどういう事かわかんなくて...

大人になるって...どういう事なんだろ?」


晶「...今の己詩は、食費も家賃も、全部自分で出してるじゃない。

自分の面倒、自分で見れるなら、もう立派に大人だよー」


己詩「でも、それだけでいいのかなって...

今日も泣いてる子いたから声掛けたんだけど、

結局それでお店には迷惑かけちゃって...」


晶「それは仕方ないわよ。どっちを取っても間違いではないわよ」


己詩「もっと私が、上手くやる方法なかったのかなぁって...」


晶「...いきなり欲張りすぎよ。それは」


己詩「でも...」


晶「まぁ結局、どうするかは己詩が自分で決めるしかないけど...

取り敢えず自分がどうしたいか、どうなりたいかをはっきりさせないとねー」


己詩「そういわれても...」


晶「己詩はどういう大人になりたくて、そのために何がしたいの?」


己詩「..........」


己詩、今日の出来事を思い出すなか、裕也との会話を思い出し...




(幼己「せいはー!!」)




己詩「...へんしん...」


晶「え?」




己詩「私、変身したい。もっと色々、何でもできて、強い自分になりたい!」




晶「......」


晶、己詩の頭を小突く


己詩「あだっ!?」


晶「いきなり違う自分になろうなんて、

人生舐めた、甘い考えを教えた覚えはありません」


己詩「......」


晶「...慌てないで、ゆっくり、なりたいと思った大人になればいいの。

ほら、手が止まってるわよー」


己詩「...はーい」


晶「あ、先切りすぎ。もったいないわよー。食材を無駄にしない」


己詩「はーい!」




己詩、バイト中__


己詩(両親が亡くなってから、お姉ちゃんは、ずっと私の面倒見てくれた)


己詩「カレー、お待たせしましたー」


己詩(だから、もうお姉ちゃんに迷惑は掛けれない。私は早く、大人になりたい...)


ガレージ内で今後の話し合いをする、『チーム鎧武』


己詩(でも...)


己詩、バイクから、沢芽の空を見る__




ドルーパーズ店内__


イヨ「休憩入りまーす」

阪東「また休むの!?....お?裕也?」


裕也、店の奥へ___


裕也「何だよ、話ってのは?」


シド「...あんたのチーム、ピンチだそうだな」(ドライオレンジ摘みつつ)


裕也「誰のせいだと思ってんだ?」


シド「まぁそういうなよ。こっちも仕事なんだ。

ただ、あんたには多少、悪い事したとは思っててね。

埋め合わせに、取っておきの秘密兵器があるんだが...」


裕也「...また新手の錠前か?」


シド「...嫌、違う」


シド、裕也の前にドライバーを置く


裕也「...何だよ、これ?あんまり怪しいモンは...」


シド「それがあれば、一発逆転も夢じゃない。あと...」


裕也「あ?」


シド「...惚れた女にやらかした失点、取り返せるかもな?」


裕也「!?.......」


裕也、ドライバーを見つめる__




己詩のバイト先のカレー店前__


己詩「おつかれさまでしたー...ん?」(スマホ着信)


メール着信  裕也


己詩「!?」ドキッ


己詩(...イヤイヤ、名前見ただけで何動揺してんの!?

   ...でも、何かすごく、嬉しくもあって...)


(舞「己詩、それが恋だよ」)


己詩(...そういうもん...なのかな?)



己詩、メールを確認



裕也


title 秘密兵器だ!


面白いものを手に入れたから、先にお前に見せてやる

4時に西の外れの倉庫街で会おう



己詩「...何これ?おもちゃ?」


Report Page