鉄骨娘-捌-
「………う……………ん…」
釘崎が意識を取り戻した頃には既に身体中の汗は拭い去られ、布団をかけられていた。
全裸で眠る習慣が無いため少々落ち着かないが、直接触れるシーツの感触は心地よい。
「あ、ごめん起こした?」
「ううん」
ちょうど冷蔵庫から2人分の水を取り戻ってきた虎杖へ礼を延べ、体を起こしボトルを受け取る。
下腹部に残る熱を冷ます様に喉へ水を流し込むがどうにも収まらず、股の間には虎杖を受け入れた時の感覚が残留しており、胎内が"今度こそ"と貪欲に精を欲して疼く。
儀式の完遂を確かめるために呪力を練ろうとするも上手くいかない。
尾を引く快感に集中を欠いているのもあるが、内にある負の感情が跡形もなく霧散してしまうのだ。
幸せすぎて呪力を上手く練れないなどという珍事に、彼女は自身の色ボケ加減にほとほと呆れた。
とはいえこのまま強化が行われたか不確かなまま夜明けを迎えるわけにはいかない。
幸い気を失ってからあまり時間は経っていなかった。
だから念のために。そう、念の為だ。
自身へそう言い聞かせ、蓋を閉めたボトルを置いて釘崎は虎杖へ提案することにした。
「ねぇ…虎杖」
「ん?」
「えっ…と…その」
(言う、言うのよ私)
言葉に詰まる釘崎、すると虎杖はベッドに潜り込みながら手を伸ばし。
「あっ」
ふわりと押し倒して、互いの指を絡ませる形で両手を顔の横へ縫い付けた。
「待っ、虎杖っ、ん…む…」
紡ごうとする音は、ちゅ、ちゅ、とリップ音に溶けて言葉にならず、何を求めているのかは唇を塞ぐ男だけに届く。
少しして唇を離した虎杖は、スイッチの入ってしまった釘崎が惚けている間に準備を済ませた。
「釘崎、いい?」
「…最後まで言わせなさいよ」
「その、我慢できなくて、つい」
「…別に怒ってないから、来て」
釘崎はわざとらしく拗ねたような顔をして見せたがすぐに笑顔を浮かべて、つられて虎杖も頬が緩む。
鼻先を戯れさせ、軽く口付けを落とし、ゆっくりと秘裂を割り開いていくと、一度目よりもお互いに余裕を持って繋がることができた。
それから二人はベッドの中で抱擁を交わしたまま大きく動かず、相手の肌を撫で内外からカタチを確かめ、少しずつ高め合っていく。
奥底からじわじわと滲み出すような緩やかな絶頂に、力強く静かな吐精が幾度となく繰り返され、そうする内に釘崎は微睡みと快楽の狭間を揺蕩いながら深い眠りに落ちていった。