金の玉、ギンギンの棒

金の玉、ギンギンの棒


8.

「あら、もうお目覚めになりましたか。」

ぼんやりした意識に届いたのは、そんな優しげな声。

寝惚け眼で見上げればそこには透き通るような柔肌の圧倒的存在感、頂点に淡い桃色を頂く女神の白い二つのふくらみがそびえ立っていた。

見上げた先が乳丘で塞がれており、柔らかな感触を後頭部に感じるということはつまり…

今の自分がどうなっているかを察した男が慌てて飛び起きようとしたところを、女神の腕が優しくも強く押し止める。

「うふふ、いいんですよこのままで。流石にあれだけしたのですから疲れたのでしょう?」

乳房の向こうから覗き込みそう言うと、女神は優しく男の頭を撫でた。

「すみません。いつの間にか寝てしまったようで。俺はどのくらい気を失っていたんですか?」

「そうですね、数刻といったところです。気持ち良さそうによく眠っていましたよ。」

楽しそうに微笑み頭を撫でる女神のなすがままに周りに目をやれば、すっかり陽が落ち夜の帳が降りていた。

「ふふっ。ずいぶんしましたからね。もう夜ですし今日はこれでお開きとしましょうか。」

その言葉に男は意を決し思いを伝える。

「いえ、実はまだお願いしたいことがあります。」

「?」

きょとんとする女神に対し男は体を起こして向き直り、真正面から秘めた願いを口にした。

「俺を今度こそ本当に女にしてください。」

「えっ!?」

予想外の言葉に面食らい驚きを隠せない女神に男は続ける。

「あの日、木こりと貴女の手で女にされて以来、その悦びが忘れられないんです。一度知ってしまった以上、もうどうしようもないんです。」

「し、しかし、あなたはあれほどわたしの体を求めたではありませんか?そんなあなたが女性の方がいいと言うのですか?」

あれはあくまでつまらない嘘を吐いた者をちょっと懲らしめようとしただけ、何も本当に女にしてしまうつもりなどなかったので、困惑した女神は問い質すも男は落ち着いて答える。

「はい。あの日以来ずっと胸に二つ穴が空いたようでした。」

あの日…女神に男の半身を返還してもらい本来の姿を取り戻した男は、元々女好きだったので女遊びを楽しむ生活に戻っていた。

その快楽は女神の教えで女を悦ばせる腕前が向上したおかげで、擦れた女たちも行為中の熱の入りようが違ってきて、確実に満足感は上がっていたし。

また自分の手によって善がり乱れる女たちの姿を見るのは、男として気分がよかった。

しかし、いつしかそんな善がり乱れる女たちの姿に重なり始めたのが、木こりに抱かれ女の悦びに歓喜し乱れる女神の姿と、泉に映った垢抜けない美少女。

それは男の胸の中でもやもやと引っ掛かり、日に日に大きくなっていったのだった。

そんな自分が今日ここに来るに至った思いを男は端的に女神に伝える。

「一つは見とれるほど美しい貴女を抱きたい、もう一つは女の悦びが忘れられない。一つは今日叶いました。だからもう一つもお願いします。」

その真剣な眼差しに男は本気なのだと感じた女神は、少し思案すると諭すように問いかけた。

「わかりました。ただし、存在そのものが大きく変わってしまう性をわたしもころころ変えるつもりはありません。」

「ここで女性になったが最後、あなたはこれまで積み上げてきた過去を全て失いますし」

「またそれによってたとえあなたがどんな不幸に見舞われようと、二度と男性には戻しませんがそれでも構いませんか?」

そう固く真剣な表情を向ける女神に一瞬たじろくも、男は迷わず答えた。

「はい。構いません。」

両親を早くに亡くし勝手気ままに生きてきた男に惜しむような家族や友人はない。

唯一の楽しみは酒と女だが、酒は女の身でも楽しめるし、もう一生分の男を出しきったと言えるくらいに最高の女を堪能した男に未練はなかった。

「それに…完全な女性となってしまったらあなたの心も変容してしまい、今のあなたのままではいられなくなるかもしれませんが…」

「それでもあなたは本当に女性になりたいと望みますか?」

更に念を押すように確認する女神の問いに対し、別に女になっても自分は何も変わらないし、変わったら変わったでそれまでくらいに考えた男はもう一度答える。

「はい。お願いします。」

そう真っ直ぐ自分を見据え答えた男に対し、こうなってしまったのは自分にも責任があるから仕方ないと女神は観念する。

「わかりました。それではいきますよ。」

寂しそうな顔を見せた女神が手をかざすと、男の逸物は消えもう片手に乗せられ、さらに次の瞬間には男の姿は以前と同じあの美少女のものに変わっていた。

「あ、ありがとうございます!」

その外見に見合った高く可愛らしい声を弾ませ、一糸纏わぬ栗色の髪の華奢な少女が深く深く頭を下げる。

「いえ、まだ仕上げが残っています。」

それを制した女神が片手に持った逸物を胸の前に両手で掲げると、男の分身は光る玉となり、女神によって放たれたそれはゆっくりと少女の下腹部に吸い込まれていく。

「(あったかくてきもちいい…)」

穏やかな快楽を伴った心地好いその温もりを下腹部に感じ一瞬惚けたもののはっとした少女は訪ねる。

「女神様!?今のはいったい…」

「今まではまだ仮初めの肉体だったものが完全な女性になったんです。これであなたにはいずれ月のものも訪れるようになり子も孕めるようになるでしょう。」

「な、なるほど…」

自分が子を産み母となるなど実感はまだいまいち沸かないしそんなつもりも毛頭ないが、これで自分は正真正銘本当の女になったんだなとこれからに思いを馳せて胸を踊らせ。

欲張りな元男となった現美少女は、にんまりと少女らしからぬいやらしい笑みを浮かべるのであった。


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