金の玉、ギンギンの棒

金の玉、ギンギンの棒


1.

「それでは早速……」

 泉の女神が、捕食者めいた雰囲気でそう言った。

 美しく妖しい微笑。恐ろしいとさえ感じるのに、木こりはそれから目を離せない。逃げることもできず、彼は泉のほとりにへたり込んだ。

 そんな木こりに、女神はいかにも楽しげに続けて言う。

「使い心地を試してみましょうか」

 女神が泉から出て、木こりの側に寄る。動けない彼の履いているものを、彼女は強引に脱がせてしまう。

 と、窮屈な衣服のうちにあるものが姿を現した。

 ほんの少し前まで女神が手にしていたもの。へたり込んだ木こり自身と違い、雄々しく猛る男の象徴。彼女がいうところの金の玉とギンギンの棒が、己の存在を主張した。

「め……女神様? 何を……」

「何を? ナニに決まっているじゃないですか」

 木こりは困惑するが、対する女神は止まる気配が一切ない。

「こんな立派なもの、あなただって早く使ってみたいでしょう? わたしも同じです。早く使ってみたいんです」

 そして、女神は興奮しているのか自らが抱える淫らな本心を赤裸々に吐露した。

「ああ、やっと男の人と交わることができます。ひとりでするだけの虚しい行為じゃない。ちゃんと相手のいる本物の交尾が……」

 言いながら女神は木こりを優しく押し倒し、その上に跨がる。彼は彼女の下から思い直すように求めるが、彼女は聞く耳を持たない。

 女神は自らの最も秘められるべき場所に木こりの猛るものを宛てがって、淫靡な微笑を彼に向ける

「安心してください。わたしの準備はもうできています。きっと気持ち良くさせてあげますから」

 その言葉の通り、木こりの猛りが宛てがわれた場所からは確かな水気。異物を受け入れる準備ができている気配があった。

 いや。準備ができているどころか、早く受け入れたいと望む気配が。女神のそこは、木こりを情熱的に求めていた。

「くう……んっ!」

 だから、女神が腰を落としたときにそこは全くの無抵抗で木こりの猛る逸物を飲み込んだ。

 木こりの逸物が、女神の秘められるべき場所を貫く。内側を擦り上げながら、女神の最奥に到達する。中を力尽くで押し広げて、自分の形に変えてしまう。

 木こりはなおも口で制止を求めるが、完全にヤる気の女神には無意味だ。

「う……め、女神様……いけません。これは……」

「ふふ。わかっていますよ。男の人は、入れただけじゃイけないんですよね」

「ち、ちが……そういう意味では…」

「もちろん動いてあげます。全部わたしに任せてください」

 木こりの言葉は無意味どころか逆効果で、女神は止まるどころかその状態から動き始めた。

 腰を浮かせる。腰を落とす。言葉にすれば、たったそれだけの単純な動作。それを繰り返して、女神は木こりに快楽を供する。

 女神は不慣れなのか動きこそ拙いが、その拙さを補ってあまりあるほど具合が良い。

「うう……っ⁉」

 自制しなければと思う木こりも、思わず快感に呻くような具合の良さだ。

 女神の中が、木こりの欲望を歓待する。腰が浮けば抜けそうになるそれを引き止めるように絡みつき、腰が落ちれば深々と突き立てられるそれを熱烈に抱擁する。彼女の最奥が、彼の先端と情熱的なキスを交わす。

 気を抜けば、その瞬間に暴発してしまいかねない。木こりは歯を食いしばって堪えようとするが、女神から絶え間なく快感を供されてはそれも難しい。

 まして、女神がただ快感を供するに留まらず淫らに善がる姿を見せつけられては尚更。むしろ、木こりが今なお堪えていることは称賛されるべきだろう。

「ああ! すごい! こんなっ! こんなのっ!」

 自分の上で見目麗しい女が善がる。淫らな声で快感に喘ぐ。男にしてみれば、これほど滾る光景もそうはあるまい。

 現に、男である木こりは女神の姿に滾り早くも果てそうになっている。まだ堪えているが、所詮は時間の問題だ。

「なっ、中で、大きく……! い、イきそう、ですか⁉ イきそうなんですかっ⁉」

 加えて、女神からそれをはっきりと求められては木こりの限界は更に早まってしまう。

「ください! あなたの精子! 中に、いっぱい! いっぱいください!」

 自分と交わっている雌から本気で精を求められる。雄にとって、いよいよたまらない状況。必然、木こりもここにきて最高に昂ぶる。

 女神が腰を落とした。木こりの先端に、女神の最奥が口付けする。甘く、深く、媚びるように口付けして、彼女の身体が彼に射精をねだる。

「う……!」

「ああっ⁉」

 と、ついにその瞬間が訪れた。

 限界を迎えた木こりが呻く。女神の最奥で、雄の欲望が爆ぜる。量も勢いも、彼が今までの人生で行った射精のどれよりも甚だしい。

 そして、木こりが果てると同時に女神も快感の頂に到達した。彼女の内側が、自らを貫くそれをきゅうっと締め付ける。言葉よりもわかりやすく、中の具合が悦んだ。

 快感の頂に達した女神が、力が抜けたのか姿勢を崩す。木こりの上に倒れ込むと、彼女の豊かな胸が彼の厚い胸板に押し付けられる。言わずもがな、その感触は心地良く柔らかい。

 反面、女神の中にある木こりの欲望の象徴は一度果ててもまだまだ硬いままだ。

「……くそっ」

 未だ興奮の収まらない木こりが、悪態をついて体位を変えた。女神と繋がったまま上下を入れ替え、今度は自分が相手に覆い被さる。いわゆる正常位。行為の制止を求めていたはずが、今や逆に積極的になっている。

 一度射精してしまったからにはもう何度しても変わらない。女神には責任を取ってもらう。欲しいというなら相手も本望のはずだ。彼女を組み敷いた木こりの目はそんな炎に燃えている。どうやら、彼は射精して落ち着くどころかむしろ欲望に火が付いたらしい。

 そして、実際にそれこそが女神の望みだ。

「ああ……素敵です。来てください。どうか、もっと……っ⁉」

 女神が歓喜して木こりを誘う。が、それも最後までは言い切れない。

 言い切るより早く、木こりが女神に腰を打ち付けたからだ。彼はもう、彼女を欲望の捌け口にすることしか考えていない。

 木こりの腰が加速する。激しく女神を責め立てて、彼女を悦ばせると共に自らも快感を貪る。

 女神と木こりの行為は、その後も長らく続いた。



2.

「んぅ!?」

 騒いでいた少女の唇が、女神の唇に塞がれる。

 単に唇同士が触れあうだけではない。深いキスだ。女神が少女の口に舌を挿し入れて、そのまま少女の口内を長々と蹂躙した。

 唇が離れる頃には、少女はすっかり力が抜けた状態だ。

「大人しくなりましたね」

「あ……っ」

 少女の唇を解放した女神が、脱力しきった少女を優しく押し倒す。木こりに対してそうしたように、下だけ脱がせて少女の上に乗る。

 木こりにそうした時との違いは、組み敷いた相手にそのまま覆い被さったこと。相手を抑え込む形に持ち込んだことだ。

「木こりさん、これならどうですか? ヤりたくなってきませんか?」

 そして、女神は組み敷いた少女をも利用して木こりを誘惑する。

「男の人は、女の人に入れたがるものでしょう? 今なら入れられる場所がふたつもありますよ。もちろん、どちらも準備ができています」

 誘惑された木こりが女神と少女の秘所を見ると、確かにそれぞれしっかり準備済。最初からヤる気だった女神のみならず、そうではなかったはずの少女まで準備ができている。女神のキスが特別なのか、少女はたった一度のキスで骨抜きにされていた。

 木こりにしてみれば、女神どころか悪魔の誘惑に等しい。女神自身が言葉だけで誘う程度でさえぎりぎりのところで耐えていたのに、言葉以上のもので誘惑されては耐えることなど不可能だ。

 まして、駄目押しとばかりに更なる誘惑を足されては尚更。いくら木こり自身が自制したいと思っても、男としての本能が勝る。

「今なら二倍の快感が味わえてお得ですよ」

「!?」

 女神が言うなり、木こりの股間に違和感。彼が思わず確認すると、そこには先日返してもらえなかった自前の生殖器がある。女神に与えられたものとあわせて、これで二本だ。

 女神は、それで自分たちを同時に犯せと言っている。二本の棒でそれぞれの穴を犯せば、比喩ではなく二倍の快感が味わえると。普通なら絶対に体験しようのないことを体験できると、木こりを誘惑している。

「こっちは我慢しようとしてるのに……!」

 木こりの自制心が限界を超えて、それぞれに己の猛りを宛がった。

 女神には女神から与えられたものを。少女には本来の自分のものを。宛がって、貫こうと力を入れた。

 女神と少女が、それぞれの口から歓迎と拒絶の言葉を吐く。

「来てください」

「来るなあ……」

 他方、木こりはそのどちらにも言葉では応えず両者を同時に貫いた。

 肉の穴に、肉の棒が深々と突き立てられる。熱烈に歓迎される感触と、健気な抵抗の感触。前者は言わずもがな女神で、後者は少女のそれだ。

 しかし、いずれにしてもそれらの穴が木こりを気持ち良くさせることは変わらない。

「あっ、あっ! これ、これです! これ、すご……っ!」

「やめっ!? やめろっ! 抜け! 抜けえっ!」

 反応は正反対でも、ふたつの肉穴が木こりに快感を供するという点では同じ。確かに女神が言った通り、快感は二倍といえるだろう。

 いや。あるいは、二倍以上とさえいえるかもしれない。

 女神から供される快感は先日同様。女神の善がる姿は木こりの男としての本能を昂らせ、媚びるように歓待する彼女の中は彼に単純な性感以上のものをもたらす。いわば、自らが女体を征服し堕としてやったというある種の優越感だ。

 そして、少女にはそれとは異なる快感を供されている。具合の良さという点では、男を知らず馴染んでいない点で女神に聊か及ばない。反面、その違いは木こりにこれから彼女をモノにしてやるという征服と支配の悦びをもたらしていた。

 二種類の快感が木こりを楽しませ、彼の腰を加速させる。それぞれの違いがお互いを際立たせて、どちらに慣れることも飽きることもない。

 木こりの快感が、腰を振る度に募る。同じく、女神と少女の快感も突かれる毎に募る。ひたすら募り続ける快感が、三者を絶頂へと押し上げていく。

「う……そろそろ……っ」

「来て、来てください! わたしもイきますから! 一緒にイきましょうっ!」

「いやだ、来るなっ! イきたくないっ! イきたくな……あぁ!?」

 木こりが限界寸前だと告げて、女神と少女が正反対の言葉を返す。歓迎と拒絶。両者の口はどちらも最初から一貫していて、最後までぶれない。

 しかし、両者が正反対であろうと木こりのすることは平等。雄の本能に従って腰を振り、雌の中に一切の遠慮なく欲望を吐き出すだけだ。

「ぐう……出るっ!」

 そして宣言の後、木こりは本当に女神と少女の中で果てた。

 どろどろの精液が、一瞬で彼女たちの中を満たす。その熱が内側から彼女たちを灼いて、彼女たちは自分のモノだとマーキングする。彼の子種が彼女たちの奥の奥へと攻め入り、征服し支配する。

 と、同時に彼女たちも絶頂。三者は示し合わせたかのごとく果て、イった事実とイかされた事実、イかせあった事実が意識に刻まれた。

 しかし――

「あは。素敵です。木こりさん、まだまだ元気ですね」

「う……何で……出したのに、まだこんなに硬い……」

 ――たかが一度の絶頂だけでは、木こりの精力は衰えない。

 もっと気持ち良くなりたいと、女神と少女の中にある木こりの欲望の象徴は言っている。そのためにも、彼女たちを解放する気は毛頭ないと。彼は言葉よりも雄弁に態度でそんなことを言っていて、実際にまだまだヤるつもりでいる。

 当然、ヤる気満々の彼は止まらない。止めようと思わない女神も止まってほしい少女も、等しく犯されるしかない。

 結局、彼らの行為はその日も長らく続いた。


3.

「お……俺は立派なのが欲しかっただけなんだ……」

 木こり不在の間、女神から一方的に愛されていた少女。その少女が、自分から男の象徴を奪った女神に泣き言を言う。

「そうしたら女を悦ばせてやれると思って……それで……」

 だが、女神は決して少女に同情しない。木こりと共に何度も肌を重ねて彼とは異なる形で愛する対象という意識にはなったが、最初に嘘を吐いた点で評価が低いからだ。現状、それを挽回するほど女神から少女への評価は向上していなかった。

 いや。むしろ、今の言葉で下がったといってもいいだろう。

 ものが立派であれば女は悦ぶ。そんな認識は、間違っていると言わざるを得ない。女神自身は立派なものを好むが、それとこれとは別問題だ。女神は少女の誤った認識を正すにはどうやるべきかと、数秒考えてから名案を閃いた。

 たとえ大きくなくとも、女を悦ばせることはできる。その事実を、少女自身に教えてやればいい。

「わたし自身は大きいほうが好きですが、大きくなければ相手を悦ばせることができないわけではありませんよ」

 幸い、それを教えてやれるものは手元にある。

 木こりに与えたものより、そして木こり自身のものより大きさで劣るもの。とはいえ、決して女を悦ばせることができないということもないもの。嘘を吐いた少女自身――当時は少女ではなく男――から取り上げたものだ。

 それを自らの股間に生やして、女神は少女に告げた。

「例えばこれです。あなたのもの。木こりさんについているものほどではありませんが、これであなたを悦ばせてみせましょう」

 美少女を前にして、女神の股間に生やされたものは既に臨戦態勢。雄々しく反り返って、目の前にいる雌を犯したいと主張している。

「えっ……い、いや待て、待ってくれ……」

 少女は女神を言葉で止めようとするが、できる抵抗といえばそれだけ。事前に散々愛された身体では逃れることもできない。

 今の少女にとって、それは最早かつて己の一部だったものではなく一種の凶器だ。

 男根で責められれば、自分は簡単に鳴かされる。そのことを、少女はもう嫌というほどわからされてしまっていた。言わずもがな相手は木こりだけだが、とにかく彼女は自分が弱いことを思い知らされていた。

 決してそれを悦んでいるわけではない。心までは屈するまいと自分に言い聞かせるが、言い聞かせるということは即ち内心で認めているも同然。無意識ながら、少女は男根とは自分を悦ばせてしまうものだと理解している。

 故に、今目の前にあるものがたとえ木こりに劣る大きさであろうと無意識では恐ろしい。少女が待ってくれと女神に求めるのは、当然といえば当然だ。

「待ちません……よ!」

「うあ!?」

 一方、女神が待たないのも女神の目的を思えば当然だろう。

 女神の股間の猛りが少女の秘所に狙いを定めた。間を置かず、女神は少女を一息に突き貫く。直前まで女神に愛され続けていた少女の身体は、抗うこともできずかつて己の一部だったものをすんなり受け入れた。

 瞬間、少女の思考が飛ぶ。頭が真っ白になる。その次の瞬間には、思考ではないものが彼女の意識を占める。

 気持ち良いという感覚が。それだけが少女の意識を支配して、少女を快感の頂へと押し上げる。

「ほら。イけたでしょう? 大きさが全てなんてことはないんですよ」

 しかし、少女が快感の頂に達するほど悦ばせてなお女神は止まらない。

「たとえ大きくはなくても、女の人の身体は悦ぶようにできているんです。例えば、今のように挿入前からたっぷり愛して感じさせてあげればいいんですよ。そうすれば身体が敏感になって、同じ刺激でもより感じやすくなりますからね」

 言いながら女神はゆっくり腰を振るが、その動きさえ少女を悦ばせるばかりだ。

 ゆっくりした動きだからこそ、少女には自分がどう責められているかわかる。つまり、自分の中にある猛りの存在がはっきりわかる。

 内側を擦り上げられる感覚も。押し広げられる感覚も。自分が媚びるように締め付けている感覚も。その全てを、恥ずかしいほど感じてしまう。

 おかげで、少女は達してしまった快感の頂から降りてこられない。

「それから、ただ闇雲に腰を降るのではなく相手の反応を見るのも大事です。大きければ意識せずとも相手の良いところに当たりますが、碩きくなくとも意識すれば当てられますからね。相手の反応を見て、良いところを探って、そこを責めるといいでしょう」

 女神は喋る間も腰を振りつつ、少しずつ突き方を変える。少女の反応を見て、良いところを探すために。絶頂から戻ってこられない少女の反応はどれも大きいが、その中でも特に大きな反応を探る。

「あなたの場合は……ここ、でしょうか」

 そして、女神はついにそれを探り当てて的確にずんと突いた。

 少女の内側で、また快感が炸裂する。貫かれた瞬間のそれを超える圧倒的な快感。その快感が、彼女自身が頂だと思っていた領域を超える高みに至らせる。

 度の過ぎた快感に少女は声を上げて身体を跳ねさせるが、その程度では何もどうにもならない。

「ああ、もちろん良いところだけ責めていれば充分ということはありませんよ。敢えて外し、焦らし、それで性感を高めてあげたほうがいいです」

 どうにもならないのに、女神はなおも少女を責め苛む。

 ここがあなたの最も感じる場所です、と少女自身が自覚させた上での焦らし。彼女の弱点とも呼べる場所から少しずれた位置を突き、快感と共にもどかしさも与える。彼女が無意識に弱点を突いてもらおうと腰をくねらせるのも見越して、敢えて弱点を外し続ける。

 と、女神は少女の性感と欲求不満が高まりきったところでまた少女の弱点を突いた。

「あ……っ⁉」

 最早、全ては女神の手のひらの上。逞しい木こりの責め方とはまるで異なる、同性ならではの繊細な技。少女はその性技から逃れられず、いいように弄ばれ悦ばされ屈服させられるしかない。

「理解できましたか? 大きさだけが悦ぶ要因ではないということが。大きくなくても、ヤり方次第でいくらでも相手を悦ばせられるということが。その身を以て、よく理解できましたか?」

 少女は女神からの問いかけを無視することも偽りもできずに、ほとんど屈服しかけた状態で素直に答えてしまう。

「も、もうわかりました! 大きさだけじゃありません! ヤり方次第で悦びます! 悦ばされてますっ!」

 実際には、もっと喘いでつっかえながら。女神の攻勢に翻弄されながら、少女は屈辱的な内容を口にする。少女自身の中で彼我の序列が決まったのか、喋り方も変わった。

 そんな少女に、女神は妖しい微笑を向ける。よく言えましたと、屈辱的なことを言った少女を優しく褒める。

「それじゃあ……ひとつ賢くなれたご褒美に、たっぷり中で出してあげますね」

 が、褒め言葉からのご褒美は少女にとって恐怖の宣告だ。

 このまま中に出される。しかも、たっぷりと。ここまで感じさせられて、それを自覚させられて、自分がもう「女」なのだと思い知らされた状態で。いつものように滅茶苦茶に乱れさせられるのとは違う状態でそれをされては、いよいよ自分がどうなるかわかったものではない。

 しかし、少女にはもうそれを拒むことも不可能だ。

「締め付けてきますね。いいですよ。いっぱいあげます」

 女神がそう言って、ラストスパートとばかりに腰を加速させた。少女は鳴かされながら止まるよう求めるが、最早その口から出る声ははっきりとした言葉にならない。むしろ、少女の反応は女神を煽っているも同然である。

 自分はあなたに止まるよう求めることさえできません、と。あなたの性技に翻弄されてこの様です、と。どうかこの淫らで無様な雌にトドメを刺してください、と。そんな風に媚びているも同然だ。

「どうぞ……受け取ってください……っ!」

 そして、女神はついに少女の中に欲望の白濁を放った。

 女神から放たれたものが、少女の内側を灼く。熱い。少女はそう感じるが、女神の猛りに栓をされて熱はどこにも逃がせない。為す術もなく灼かれて、少女はその熱で今日最大級の絶頂を味わわされる。

 快感。屈辱。そして多幸感。直前まで恐ろしいと思っていたのに、今も中に出されてイかされたことに屈辱を覚えているというのに、気持ち良くて幸せでたまらない。

 今や自分は「女」なのだと、少女は改めて思い知る。完膚なきまでに、徹底的に思い知らされる。

 少女が男に戻る可能性が完全に潰えたのは、この時だった。


4.

「ね? 木こりさんのものほど大きくなくても、女の子を悦ばせてあげることはできるでしょう?」

 少女を何度か愛し、悦ばせた後。女神はそう言って、少女を貫いたものを引き抜いた。

 引き抜かれる程度の感覚にさえ、少女の身体が敏感に反応する。びくんと小さく跳ねて、女神と繋がっていた場所からは白濁がとろりと溢れた。

 が、それは決して行為の終わりではない。女神は少女に何度も精を注いだが、なおも萎えきらず逞しさを維持している。

「それでは、最後にお口で清めてもらいましょう」

 行為を締めくくるのは、女神が最後にと求めたそれだ。

 いわゆるお掃除フェラである。女が自らを貫き犯した男根をしゃぶり、精液の最後の一滴までも我が身で受け止める奉仕。その奉仕を実行する以外には、少女は一連の行為を終わらせる術がない。

 そして、ないといえば少女には女神への奉仕を拒む権利もなかった。

「さあ。やってください」

 女神がベッドの上を移動し、少女の枕元まで来て言う。少女の目の前に男の欲望の象徴を出して、早く奉仕するようにと急かす。

 それは、少女にしてみれば、凶器を突きつけられ脅されているも同然だ。

 女神の股間にあるのはもともと自分のものだということが信じられない。見慣れているはずなのに、まるで別物のように感じてしまう。

 自分についていた時は自分の股間にあって、今は目の前にあるという違いのせいか。今は女の身体で、目の前のそれが自分のものではないという意識のせいか。かつて自分のものだったのに、自分を脅かす最悪の凶器にしか見えない。

 更に、見た目のみならずにおいも最悪だ。

 雄が雌を犯したことを証明するようなにおい。雄が吐き出した白濁の残滓と、雌から溢れた淫蜜のにおい。それが凶器そのもののにおいと混ざりあって、ひどいことになっている。

 秘められるべき場所に加えて、目と鼻をも犯されているようだ。少女はそう思うが、かといって視線を逸らすことも鼻をつまむこともできない。

「ん……っ」

 そして、少女は唯一自分にできることを――女神への奉仕、お掃除フェラを始めた。

 目の前につきつけられた硬いものに、少女が柔らかな唇を重ねる。小さな口を精一杯開いて、それを咥えこんでいく。

 と、少女は脳まで犯されるような感覚に襲われた。

 口の中に男の欲望の象徴を迎え入れた瞬間。少女の狭い口の中は一瞬でそのにおいに満たされ、呼吸と共に体内に取り込まれた。即ち、脳にまで届いて彼女は思考を蹂躙されてしまった。

 強烈なにおいにくらくらする。くさいと思うのに嫌だと思えない。もっと嗅ぎたいと、つい深呼吸してしまう。

 また、同じような感覚はにおいだけでなく味からもした。小さな口を占める男根の味からもだ。美味しいでもなく、不味いでもなく、いやらしい味。その味も、少女の思考を犯して乱した。

 しかし、犯され乱された頭でも少女の奉仕は止まらない。

「ん……! う……うぅ……っ!」

 本能的に、咥えたものを喉奥まで迎える。きゅっと締めて、快感を供する。苦しいと思いながら、それでも相手への奉仕を優先する。

 くらくらした頭でも、絶対に歯を立てたり傷つけてはいけないという意識はあったからか。もとは自分のものだからと、いつか返されたときのために丁重に扱っているのか。少女の奉仕は非常に献身的で、女神に要求されて仕方なくしているようには思えない。

 いや。事実、少女の奉仕は仕方なくしているものではない。きっかけは女神の要求でも、少女は無自覚のうちに積極的になっていた。

「ふふふ。いいですよ。その調子です」

 そう言いながら頭を撫でてくる女神に、雌として堕とされてしまったせいだ。

 少女自身は、まだ男に戻りたいと思っている。自分が今咥えているものもいつか返してもらえるつもりだ。自分のものだから丁重に扱っていると、そんな意識でしかない。

 が、少女の無意識はほんの少し前に男に戻ることを諦めてしまっていた。女神の性技により雌に堕とされてしまったからだ。普段とは違う形で犯され、イかされ、徹底して雌の悦びを教えられた少女は、無意識ながら雌のままでいたいと望むようになっていた。

 故に、最早これは少女自身の意志による奉仕といっても過言ではない。

「う、んっ、んむぅう」

「上手ですね。最後にまた一度出しちゃいそうです」

 女神も少女が無意識とはいえ本心で奉仕しているとわかるために昂り、いよいよ最後の射精が迫りつつある。

「いいですか? そろそろ出しますが、零してはいけませんよ。一滴残らず、全て飲んでください」

 他方、少女の女神の射精宣告に忌避を示すどころか期待に下腹を疼かせる有様だ。

 宣言した女神が、少女の頭を掴む。己の猛りを少女の喉奥まで咥えこませて、逃げられないように固定する。

 当然、そんなことをされた少女は苦しげに表情を歪ませるが。その表情にはどこか淫靡な喜悦の色も混ざっていて、苦しくとも嫌がってはいない。

 むしろ、少女は女神に出されたものをしっかりと受け止めたくらいだ。

「ぅ……!?」

 女神の白濁が、少女の喉奥へと直に注がれる。既に何度も出しているはずなのに、そうとは思えない。相対的に見れば衰えているのは間違いないが、衰えてもなお充分な勢いがある。

 きゅっと締まった少女の喉奥に叩きつけるような射精。量も多く、どろどろに濃い。何より、女神自身の昂ぶりが伝播したかのごとく熱い。

「ん……っ!」

 少女が女神に注がれたものを、ゆっくりと飲み込んでいく。粘つくそれに喉を灼かれ、そのことにさえ本能的に悦びを見出しながら。女神に言われた通り、出されたものを一滴たりとも溢すことなく飲み干す。

「おや……? ふふふ。素晴らしい。良い心がけです」

 飲み干すどころか、口の中で萎えかけたものを吸ってそこに残った汁をも飲もうとするくらいだ。

 少女の本能的な奉仕精神に、女神が微笑む。少女の頭を撫でて、少女の望む通り僅かに残った分まで出してやる。少女に本当の最後の一滴まで飲ませ、女神は少女を解放した。

「よくできました。思えばお口でするのは初めてでしたが、上手でしたよ」

「あ……ありがとうございます」

 女神に褒められて、少女がつい礼を言う。完全に屈服していることの証明。相変わらず無自覚なまま、自分の口を犯した女神に媚びる。

 少女の媚態に、女神が妖しく微笑んだ。

 少女に向けられる女神の愛が――木こりへのそれとは異なる愛が、また一段と深まった。


5.

女神と少女の中に精をたっぷり注いだ後。木こりは二本の肉棒を彼女たちに口での奉仕を受けていた。

 ここしばらくのお決まりだ。行為の最後に、彼女たちを犯したものを彼女たち自身がしゃぶる。女神が提案し、少女が乗って、木こりが押し切られてそうなった。

 彼女達曰く、自分達の卑しい穴と恥ずかしい汁で汚してしまったものを清めさせてほしい。気持ち良くしてもらったことへの感謝の証として奉仕を受けてほしいという。

 別に、木こりは彼女達に汚されたとも感謝しろとも思っていなかったが。それでも、美女と美少女から求められては男として拒めない。その結果、今のような状況が習慣化していた。

 木こりにとっては、決して自ら望んだものではない。しかし、やはり気持ち良いものではある。いや。男であれば、これで気持ち良くならないわけがない。

 女神の奉仕は、いわば直球だ。木こりの肉棒を咥えこんで喉奥まで受け入れ、きゅっと締め付けて射精を促す積極的な奉仕。自分のせいで汚してしまったと言っておきながら、その汚れたはずの肉棒をしゃぶることに僅かな躊躇もない。木こりを着実に射精へと導く一方、暴発させないだけの加減も上手ときている。

 そして、少女の奉仕は一種の変化球だ。木こりの肉棒を遠慮がちに咥えたり、舌で愛撫する程度に留めている。性技としては、女神と比べるべくもないほどに稚拙だろう。だが、拙くとも懸命な奉仕は男心をくすぐるものだ。現に、木こりは少女の拙い奉仕にも確かに快感を覚えていた。

 女神と少女による奉仕は、どちらもそれぞれの良さがあって気持ち良い。片方だけならそのうち慣れてしまったかもしれないが、両方同時では慣れることなくずっと楽しめる。肉棒が二本という普通の男にはありえない特性を活かした、木こりにしかできない贅沢といっても過言ではない。

 だからこそ、いつまでも耐えていることは不可能。木こりが長く楽しみたいと思っても、快感の頂は迫ってくる。

 まして、それを悟った彼女たちが攻勢を激化させれば尚更だ。

 木こりの射精が近いことを見抜いた女神が、今まで以上にきつく木こりの肉棒を喉奥で締め付けた。更に、ちゅうっと吸って射精を促す。木こりはたまらず呻くが、女神はその行為を絶対にやめようとしない。

 同じく、少女も少女なりに攻勢を激化させていた。恥じらいながらも思い切って木こりの肉棒を深く咥えこみ、吸いながら舌で念入りに愛撫。木こりの射精を求め、ねだって、少女は自分にできる精一杯の奉仕を捧げる。

 と、その瞬間はついに訪れた。

 彼女たちの口内で雄々しく猛る木こりの肉棒。その中を灼熱の白濁が走り、飛び出して彼女たちの口内に放たれる。本日最後の射精だというのに、量も勢いもとてもそうだとは信じられない。

 が、女神も少女もそんな信じられない口内射精をしっかりと受け止めた。

 どちらもすぐには飲み込むことなく、敢えて口の中に精液を留める。主人の許可を待つ犬のように、上目遣いに木こりを見つめる。視線の意図を察した木こりに飲み込むことを許されてから、ようやく彼女たちは口の中に射精されたものを飲み込む。

 生臭い。どろどろに濃い。粘ついて喉にかかるも、ふたりはその感覚にさえ快感を覚えながら飲み込んでいく。

 それから、咥えているものを示し合わせたかのごとく同時に吸って。木こりの肉棒から、残り汁も全て吸い尽くして。彼女達は、ようやく咥えた肉棒を解放した。

 今日の行為は、これで終わり。絶倫の木こりも、流石に今日はもうこれ以上の射精などできない。女神も少女も充分イけた上、口唇奉仕もできてこれ以上求めることもない。

 女神と少女が木こりに改めて感謝の言葉を述べて、彼らは揃って心地良い疲労感の中で意識を手放した。

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