配信者ウタカタの嘘

配信者ウタカタの嘘

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「ヤッホー!こんばんは!ウタカタだよー」


きた!ウタカタの配信だ!


彼女の配信は不定期だ。だが必ず決まった時間、そして前の裏配信から5日は空けないので次いつくるのかとかはわかりやすい。


「今日はね…みんなに先にお話ししたいことあるんだ…」


…なんだろうか?こんな始まり方は初めてだ。


「今日、私の島に…ン…連絡船が来たんだよね…ア…男の人しか乗ってない連絡船」


嫌な予感がする…いや…流石に…


「その人たちに私ひどいことされちゃった…ハァ…どうしようみんな…」


頭が真っ白になる。ひどいこと…つまりは無理やり犯されたのだろうか…


「私のこの配信を知ってたみたいでね…嫌だ…やめて…って私は言ったのに強引にされちゃったよぉ…ごめんね…みんな…」


視聴者たちが荒れる。そんなことをしでかしたやつは誰なのかと犯人探しが始まる。

かく言う僕もそうだ。絶対に見つけ出してやる…


すると…


「グス………ふふっ…くすくす…」


急に笑い始めた。


「あっはっはっはっは!ごめんね!みんな!ひどいことされたなんてウソだよ!…ア…連絡船の人が襲ってきたのは本当だけどね!いやーびっくりだよねー。…ンン…なんかね、私に“教えて”くれようとしたみたいだよ!そんなことしなくてもいっぱい知ってるのにねー…ハァ」


おちょくるような話し方にイラッとくるが状況からして本当に大丈夫なのだろう…

視聴者たちも落ち着き始めた。


「いやーまさか海賊以外であんなことをしてくるなんて…ん…驚いたなぁ…あ、ちゃんとその人は海軍に引き渡されたよ…フゥ…ああいう人は放っておいたらまた同じことするかもしれない…アン…からね。」


僕の場合は男だから問題ないかもしれないが、そういう性癖を持つやつもいるかもしれない…気をつけよう。


「ありゃ?結構みんな荒れてるねー。大丈夫だよ!私はみんなのウタカタだよ♡初めてだってオモチャとかで破らないでちゃーんと取ってあるんだから♡一体誰が私の初めてを食べれるんだろうねー♡」


ウタの初めてをもらえるかもしれない…想像するだけで興奮する自分がいる。


「さて…ここで一つみんなに問題です!この話をしている間、私はなにをしていたでしょーか!10秒で答えてね!」


き、急に!?ええと、話してる間に?ただ顔を近づけて視聴者と会話してただけで…いや!よくよく考えたらーーーー


「はーい!そこまで!ざーんねーん…誰も正解できなかったね…。」


クソ!あと数秒あれば……


「正解はねぇ…んぁ…これで自分を慰めていました!」ブブブブ


ウタカタが手に持つのは不思議な力で動くオモチャだった。


「一人でも正解した人がいれば、今日はこれでしてるところ、見せてあげようと思ったんだけどなぁ…誰も正解した人はいなかったので今日の配信は終了!………またね♡」チラ


最後の最後に自分の胸をチラ見せして、映像は途切れた…


その日の僕は最後に見せてくれた胸を想像しながら、シた。


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?????


再び一人の男は誰もいない部屋で電伝虫を見つめる。


連絡船の人にーーーーウソだよ!


「無事で良かった…けど………」


今度こそウタが知らないやつに襲われてしまうかもしれない。


「そうなる前に………」


男はそのまま朝を迎えた。


なぁ…ブルック…音楽の島っていったらどこだ?


エレジア…エレジアか…ありがとなブルック!


なぁ!ナミー!エレジアってこっから行けんのか?


頼む!大事なやつがそこにいるかもしれねぇんだ!会いに行きてぇんだ!


……ほんとか!ありがとう!ナミ!


男は頼りになる仲間の力を借りて、音楽の島エレジアに向かう。


「待ってろよ…ウタ…」


その目に澱んだ光と怒りを宿しながら…



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