邂逅(ver.Duramente)

邂逅(ver.Duramente)


「お父さんに会って欲しいの」

 イクイノックスに対して彼女…スターズオンアースは告げた。

「なんで?」

至極当然の疑問をイクイは返した。

「お父さんが会ってみたいって言ってたからだけど?」

 スターズオンアースの父であるドゥラメンテ、美浦でその名を知らない者はいないほどの人物。その実力もさることながら、名は体を表すと言わんばかりの荒々しい性格であるという。

 なんでも現役中はサトノクラウンと共に「問題児コンビ」であったらしいし、ドバイで当時ドゥラメンテの遠征に同行していたベルーガの先生のメガネを蹴ったりなど、気性の荒い性格であったらしく、優等生であったイクイの父キタサンブラックとはかなり対照的である。

「ひょっとして僕ドゥラメンテさんにボコボコにされるんじゃないのかな…いや流石にそんな事は…あとそんな理由もないし…いやいやそんなの関係ないとでも言いそうではあるか…遺書用意した方がいいのかな…」

イクイは本能から怖がった。この手の呼び出しの理由はなんとなく察するからである。どうせ「娘は渡さん!」とか色々言われるのだろう。いや、逆にそれで済めばいい方だろう。明らかにやばい人物から「会いに来い」と言われたのだ。普通なら絶対無事には済まないだろう。


数日後、イクイとアースはとある喫茶店でドゥラメンテを待っていた。

「はあ…気が重い…」

「またまた〜これからお父さんと会うっていうのに〜」

イクイからしたらアースも割と我儘な性格ではあるのだが、父親であるドゥラメンテはこれ以上なんだろうなと推測してしまう。冷や汗と顔色の悪さだけは見せてはいけない。緊張はしているが。

「連絡来たよ!お父さんもうすぐ着くみたいだから待っててねだって。」

何も変哲もないどこにでもあるただの喫茶店。しかしイクイにとっては近くにある物全てが恐ろしかった。

「あっお父さんだ!」

「!」

嗚呼、何気なく店員に頼んだ銘柄もよく知らないこの紅茶が最後の晩餐か…父さん母さん今まで育ててくれてありがとう…ジオごめん…私◯ぬかも…そんな事をイクイは瞬時に考えた。

「君がイクイノックスか?」

「はっはい!娘さんとは色々と…」

「君か…そんなに恐怖しなくていいが…別に君をあれこれしようとは思ってないぞ。」

「良かった…てっきり娘は渡さん的な事言われて生き埋めにされるかと…」「君、流石に俺にも常識はあるぞ!何故そんな事を…」

イクイはドゥラメンテにことの詳細を話した。

「ふふ…確かに半分は事実だ。しかし俺とて引退すれば大人しくなるぞ!」

「お父さん昔ヤンキーだったの?」

「まあそんなところだ。ところでイクイ君だっけ?まあ落ち着いて話そうか」

「はい…」

「まあそんなビクビクしないでくれたまえよ。未来の義理の息子になるかもしれんヤツを痛めつけたとか噂が流れてみろ、俺の評判が下がって色んなヤツらに迷惑がかかる。」

「はい…(ん?今ドゥラメンテさん私のこと何て…)」

「ところでイクイ君、質問いいかい?」

「はい…なんでしょうか…」

「君はレースが…いや、走るのは好きかい?」

「はい…好きですけど…」

「ほう…いい相手になりそうだな…」

「えっと…どういう事で…」

「気にするな。…聞いてみただけだ。」

それがどういった意味か、理解できなかった。まあ多分そういうことなのだろうが。

続く…かも

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