二度目の邂逅

二度目の邂逅


最初は呪物の回収が任務の筈だった、しかしたかが呪物と言っても特級呪物だ、しかもよりによって“両面宿儺の指”と言う超特級、明らかに等級違い、最低でも一級、もしくは特級術師が出張らないといけない内容だ、なのにその唯一フリーで動ける特級術師と来たら。

──所詮呪物の回収だし恵でもイケるイケる‼︎回収出来るまで帰ってこないでね⭐︎


とか宣う始末、あとで絶対ぶん殴る。


と決め込んだのは良い…問題は目の前のコイツだ‼︎何だこの呪力‼︎下手すると宿儺の指より……‼︎


「どしたん?腹でも痛いんか?」


何だコイツの呪いの量と質‼︎あらゆる呪いが混ざり過ぎて意味分かんねえ‼︎道理で宿儺の指の呪力を感知できねえ筈だ‼︎コイツが発する呪力で宿儺の呪力が曖昧になってんだ‼︎っていうか呪力抑えろよ‼︎こっちの気も知らずのほほんとしやがる目の前の男にあの教師が被る。


──そして今、目的の呪物はあった、あったんだが突然豹変した例の男──虎杖悠仁によってその呪物が取り込まれてしまった。


呪物だぞ‼︎死亡不可避だ‼︎いや、万が一、億が一の可能性がある‼︎場合によってはこの場で……


「あ、戻った」


──は?さっきまでの雰囲気は何処はやら虎杖悠仁は最初に出会った時の雰囲気に戻った、すると奴の頬先が裂けまるで口みたいな形を取る。


『ありがとう‼︎悠二‼︎これで漸く彼と出会えたわ‼︎やっぱり私と宿儺は運命の赤い糸で結ばれた存在なのよ‼︎』


「んお?おぉ良かったな万姉ちゃん、ずっと会いたがってたもんな、おめでと‼︎」


『巫山戯るな小僧‼︎何だこの密集地は‼︎貴様どう生きたらコイツらを──』


──?なんだ、俺は今何を見せられている?女の声がしたと思ったら虎杖とはまた別の声がした、恐らく宿儺?だコイツら?他にも居るのか?判らねえ、判らねえけど…本当に判りたくねえけどこれだけは分かる、自分じゃ勝てねえと思うけど、アレを使えば──。


「虎杖悠仁、お前を呪術規定に乗っ取って……ここで──」


「はーいストップ、恵」


「あれ、アンタ…」


「「五条先生/いつかの不審者‼︎」」


俺が術式を使おうとした瞬間、そこには安心できる最強が居た、この人が来たなら、もう大丈夫だろう、て言うかいつかの不審者?どう言う事だ?2人は知り合いなのか?


「いや〜、10年ぶりくらい?大きくなったねー、あの後僕大変だったからね?」


「先生、もしかしてソイツと知り合いなんですか?」


「ん?勿論、僕が学生時代の時にあった…今呪術界で僕の次にホットな話題を持つ、生きた呪物、【呪相図】の虎杖悠仁君で〜す‼︎」


──‼︎コイツがあの呪相図の虎杖悠仁かよ‼︎何処にでも居る様な名前だったから判別付かなかった‼︎って言うか写真くらい末端に回せよ総監部‼︎


「それで?宿儺の指はどしたの?まさかとは思うけど…」

「ソイツが取り込みました」

「わりい、万姉ちゃんが俺の身体使って飲み込んだ」


『宿儺に愛を教えるのは私の役目よ‼︎流石の悠仁だろうとソレは渡さないわ‼︎』


「だそうです」


「ンマジかー‼︎」

「宿儺と代われるかい?大丈夫と思うけど念の為ね」


「宿儺と?アンタ怪我しねえ?」


なんて心配されるけど10年前なら兎も角今の僕が怪我をするなんてほぼあり得ない、何故なら──


「大丈夫、僕最強だから」


と、その言葉を発した瞬間虎杖悠仁の雰囲気が豹変する、やはりどの呪物も強さの一点だけは譲れないのだろう、僕のこの言葉に全員のスイッチが入った。


「恵、そこから絶対動かないようにね、死ぬから」


可愛い教え子に警告し目の前の超弩級の呪いに視線を配る。


「可愛い生徒の前なんでね、カッコつけさせて貰うよ、お爺ちゃん、お婆ちゃん‼︎」


アイマスクを取る、どれだけの呪いが込められているかの確認もあるし何より──。

──生の眼で見た方が分かりやすい。


帯電した虎杖の拳が五条悟に命中する──前に五条悟は虎杖の背後に回り込んでいた。

(途轍もなく早い?いや、違うな)

(電気を纏う術式?いや、呪力特性が電気なのか‼︎恵の鵺と同じか‼︎この呪力にこの子の肉体のパワーと呪力強化が乗った一撃‼︎下手な一級なら一撃でダウンだ)

「まだまだやれるでしょ?」


『ったりめえだ!』


直後に虎杖の指に呪力が溜まる──。


『放射』


凄まじい呪力と破壊の奔流が校舎屋上を襲った、のちにこの出来事は地上から登る彗星としてちょっとしたニュースになった。


「おい!邪魔すんじゃねえ‼︎」

『ハッ‼︎目の前に極上のデザートが用意されてんだ‼︎お行儀よくしてられるかよ‼︎』


(中々の戦闘狂達が集ってる様だね、呪力過多、手札も豊富で殆どが未知数、しかもこの中には呪術全盛の平安を生きた術師と…そのトップである宿儺も居る)

バシュン!

「おっと、危ない危ない」


「おい!」


『悠仁の身の危険に兄たる俺が出張らない理由があるか⁉︎』


(今のは穿血か…加茂家の相伝術式を使ったとなると、呪胎九相図ってとこかな)


『ほら最強、そこ,足元注意だよ』


「ん?」


また一つ新たな声により警告された五次は足元を見る、するとそこには複数のレシートが散らばっていた。

(レシート?これが──)

『再楔象‼︎』


その詠唱に反応しレシートが燃え尽き様々な物が飛び出してくる、しかしその全てが五条の直前で止まってしまう。


(レシートを媒介に物を出す術式?いやこの場合は契約書かな、なんにせよ滅茶苦茶使い勝手の良い術式持ってんじゃん構築とはまた違った利点がある)

(んー、全部止められたね、呪力による防御じゃない…となると術式による防御だが…天使?)

(成程、無下限術式か)


「成程ね、大体わかったよ、戻ってこれるかい?」


「あ?戦いはここからだろうが」


「今度また戦ってあげるからさ、早く戻ってきてくれないと本当に処刑しないといけなくなるんだよね、良いのかい?その子が死んでも」


「…チィ‼︎」


「お?戻れた」


「おかえり、虎杖悠仁」


(凡そ一分弱…身体を空け渡しても即座に戻ってきてる、しかも両面宿儺は何の反応もない…やはりこの子は凡ゆる呪物を取り込んでも何の問題もない肉体の持ち主‼︎過去千年…いや呪術史始まって以来の人材だ‼︎)


「さて恵、ここまでの事を見て虎杖悠仁はどうすべきでしょう?」


「即座に処刑すべきです、本来の呪術規定に則るならば、でも生かしてください」


「私情かい?」


「私情です、何とかしてください」


「まっかせなさい‼︎可愛い生徒の我儘だ‼︎無理矢理にでも押し通すよ‼︎」


こうして2人目の現代の異能と現代最強は出会ったのだった。


──少々時間遡って

in虎杖荘

「この気配…宿儺よ!そこに宿儺が居るわ‼︎悠仁ちょっと身体を貸しなさい‼︎」

「待て待て待て‼︎面倒な事起こすな‼︎目の前のトゲトゲ絶対術師だろ‼︎」

「関係ないわ‼︎何人たりとて私と宿儺の仲を切り裂く事は不可能なのよ‼︎」

《えー?変わった瞬間に伏黒殺すなよ?》

「私は‼︎今‼︎すぐに‼︎宿儺に会いに行きたいの‼︎もう良いわこうなったら力づくで行くから‼︎」

「あれ?何で俺ここに居るんだ?」

《よっしゃ‼︎代われた‼︎待ってなさいよ宿儺ー‼︎あなたに愛を教えるのは──》

「……マジかあの女、愛とやらの力だけで悠仁の身体乗っ取ったぞ」

「ん?俺を取り込み無事な奴がいたか…どれ…」

「漸く会えたわね‼︎宿儺‼︎ずっと待ってたのよ‼︎」

「は?何故お前がここに居る、と言うより何だこの中はあらゆる生得領域が入り混じっているではないか‼︎呪いの蠱毒かここは」

「あれが呪いの王か…なんと言う存在感、魂レベルで格が違う‼︎」

「ん?よく見たら生前の姿に戻ってるのか、ソレで?周りの奴らは何だ、コイツらも呪物か?」

「羂索が作った呪物を悠仁…羂索の子でありこの肉体の主が全て取り込んだんだよ、流石の羂索も予想外だったみたいだが、まさかお前まで入ってくるとは思わなかったよ堕天」

「天使も居るのか…ん?羂索が作った呪物をこの小僧が取り込んだ?」

「その上で悠仁は羂索が新たに乗っ取った女の体で腹を痛めて産んだ子だ」

「…キッッッッッショ」

『分かる』

なんてやりとりが宿儺顕現直後にあったとかなかったとか


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