選択と覚悟

選択と覚悟





いきなりこの軍医は何言い出すんだろうとヘルメッポは思った




「妊娠されていますね」


「女ヶ島」アマゾンリリーにて黒ひげ海賊団に突如誘拐されたコビー大佐がこの世の絶望を詰めた姿で発見されてから数ヶ月 何故男性だったはずのコビー大佐が女性になっているのかは  海賊団の中に能力者がいて女性化させるという病を受けたと報告を受けたのもその時だ。

ぶっちゃけその時の事は思い出したくもないし出来ることなら全て記憶から消してやりたい

おかげで男性だったコビーは女性になり今まで着用していた制服や下着がほとんど着れなくなり処分する事になった 


「ごめんなさい」


「僕が悪かったんです」


「あの時の判断を誤ってなければ」


「へるめっぽさん………」

それはもう普段のコビーでは考えられないほど荒れた

攫われた中の事を夢で見て飛び起きる事もしょっちゅうあった 

仕事してる時の方があの時の事を忘れる為以前の倍仕事する様になった

それ以上仕事すると身体持たないと俺や部下が止めても

「ダメなんです」

「仕事してないと」

「あのときのことが  あの手が あの声が」

「ずっと這いよってきて」

「気持ち悪くて」


そう言われてしまうと止める事が出来なかった。

だから出来るだけ一緒にいて、どうしても職務で離れなきゃ行けない時はガープ中将にお願いしてボガードさんに着いてもらったり睡眠薬を処方してもらうこともあった

だからここまで立ち直れたのもあるし、周りが腫物のように扱わなかった事と徹底した国民への情報規制のおかげなのかもしれない。


「性的暴行され悪魔の実の能力によって未来永劫女性になりました」だなんて死んでも言えるか

ただ職業上性別ばかりはどうしようもないのでそこは上手く上がやったのだろう 国民の混乱はそこまで大きくならなかった。なんなら「大佐大丈夫ですか?何か困ったことがあれば言ってくださいね」だなんて心配する女性市民が多かった。

この世界は無数に渡る人種、生物様々が共生しているが俺やコビーなど人間がいきなり性別変化するなんて聞いたことがないましてや国民の英雄であるコビーがなったとなればそれを隠す事は出来ない。

だからおそらく上は「大規模海賊討伐中にうけた事故」として処理したのだろう

そうすれば国民の同情と海賊への恨みが同時に得ることが出来る。 考える事なんてそんなものだ








閑話休題



海軍の医療知識総出で治療にあたり職場復帰したのが1か月前


「最近凄い眠いんだ」

「気持ち悪い」

「これならずっと食べられる」

そんな事の繰り返すコビーを心配してガープ中将に許可をとり軍医の中でも医療レベルが高い所に来た

そしていくつか診断を受けた所難しい顔をし

「…………大変聞きづらいのですが最近性行為は あぁいえ正確には避妊具をつけない性行為なんですが………」




そんなの聞かなくても分かってる だってこいつの発見された姿はお前も知ってるだろなんなら治療に当たった医者全員知ってるだろ?!

こいつは!!



その後はもう想像する通りだ 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、あの時 あの海賊に 黒ひげに ティーチに ごめんなさい!!!」


女性化したストレスと性的暴行されたショックでただでさえ心が弱くなり覇気の声が聞こえやすくなってるこいつにこの事実は辛すぎる。 その上


「今××週目に入っていて堕ろすのであれば後数週間で決断しなければなりません、ただ産むのであればそれなりの覚悟と父親が誰なのか、その上でご判断ください 一先ずこの結果は直属のガープ中将とサカズキ元帥にのみご報告させて頂きます。」




ふざけんな  思わずクソ野郎と言いたくなった。






中将は「本人に任せる」と難しい顔をしていたがあの大きい手で小さくなったコビー抱き締めて背中を摩っていたのでまだ良かったのだが問題はあのサカズキ元帥だ


「話は聞いた。いつ堕ろすのだ」

「子供が出来たのならまだいいが相手が海賊しかも四皇」

「まさか産むつもりは無いよな」

「ポートガス・D・エースがああなった様にいつか生まれたその子もそうなるんだぞ」

出るわ出るわで途中から聞いてられなくてコビーを抱きしめて耳を塞いでもうなにも聞こえないようにしたかった


処刑された元海賊王の息子については中将が言ってたがそこは俺達には関係ない  

とにかく本人の気持ち次第だ 海軍にいる以上堕ろすのも地獄産むのも地獄 どうしろと…………


「へるめっぽさん」

「…ん」

「ぼくは、ぼくはどうしたらいいんですか、このこを お腹にいるこの子をどうしたらいいんですか」

そういうコビーは母親になろうとしているのか大佐でいようとしているのか

「お前の痛みを変わってやれるなら今すぐ悪魔でもなんでも契約して変わってやりてぇよ でもそれは悔しいが出来ねぇ」

「だから その代わりお前の判断は俺は全力で受け入れる」

「産むって言っても?」

その言葉を聞いた瞬間コビーの目に光が戻ってきたと同時に元帥が叫んだ

「産むのか?!その瞬間貴様は海賊四皇の子を産んだとしてインペルダウンへ即刻送り二度と日の目を見れないようにするぞ!!」

海賊四皇の子を海軍将校が産むとなったら設立以来の大問題だ ましてや英雄扱いされてるコビーが


でも

「産んだとして自分が海賊四皇の息子じゃなくてお前と俺の子だってずっと教え続ければいい」

「でもいつか知るかもしれない、顔があの、その、似てくるかもしれない」

「そしたらその時知りたくなった時に教えればいい」

「元帥だって産まれてくる命=海賊になるなんて直結な考えなわけないですよね 意識なんて俺がそうだったように出会う人でその選択肢は変わり変われるんですよ」

俺は頑張った あの時親父に人質にされて砲撃されそうになった時あいつが守ってくれたように



「だがなぁ!!!」


その時鶴の一声ならぬ中将の声が入った

「あーー良いか?」

「なんだ?!」

「もしコビーが子供を産んだ場合の後の全責任はワシがとる」


?!?!?!?!   流石に俺もコビーもびっくりした

ガープ中将何を言ってる……?


「わしとエースの関係は知ってるだろう?あれと同じようなものだと思えばいい」

「そんなもので片付くと思ってるのか?!中将!!」

「似たようなものだろう?」


ぶわっはっはっはと中将は笑うが後ろにいるボガードさんは呆れてるしコビーは呆然としてる 

いやどうするんだこれ 俺はもうコビーの命と生活が保証されればなんでもいい 

「一先ずこの件は軍法会議にかける!いいな!」

そう言ってサカズキ元帥は出ていった。  

…………赤子を産むか産まないで軍法会議するの単純に海軍時間の無駄では? 他にやる事あるだろ そうヘルメッポは思ったが今までの事が怒涛すぎて考えるのをやめた。




そこからはもう文字の如く怒涛の展開だった

軍法会議は当たり前だが元帥命令で開かれたし中にいる赤子(予定)コビーの処遇をどうするか また産んだ時のパートナーをどうするか まさかコビー大佐が結婚もせずに独り身で赤子出産したなんてモルガンズに耳にはいられたらそれこそ海軍の終わりだ 

無駄過ぎる会議を重ねに重ね決定した事項が以下の通り


・コビー大佐が出産を希望した場合は全責任をガープ中将及びボガードが請け負う


・生まれてきた子は海軍の管理下に置き週に一回の定期報告を義務づける


・不穏な行動を見せた場合は即刻懲罰対象となる


・対象年齢になった時海軍へ入兵してもらう


・パートナーはヘルメッポ少佐とする





…………最後なんだよ?!?!意味わかんねぇよ 

いや俺以外適任者いないと思うけど むしろ他にいたら聞きたい

確かに俺も軍法会議に呼ばれて少将以上がごまんといる中に一少佐が色々審問受けたが いやあれは拷問だった思い出したくもない。


ただ色々聞かれて あいつのセンシティブな部分も聞かれて今すぐあいつ連れて海軍やめてやろうかって思ったけどそうしたら怒そうだし我慢して我慢して我慢して  

やっと審問が終わるって時に椅子に座ってたガープ中将が「あーーヘルメッポ少佐 いいか?」とか言うから背筋が伸びた


「わしはお前らが雑用の時から見ている、そして曹長軍曹になって今では大佐と少佐の関係だ」

「だがこれからはまぁ、コビーの選択次第だがパートナーとなり守るものも増える」


「お前にはその覚悟はあるか?」




そんなもの答えはひとつに決まってる

だから背筋がこれでもかってぐらい伸ばして言ってやった





「 そんなのあるに決まってます 」

「あいつとあいつの中にいる子は俺が守ります」








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