道楽

幾度目かの意識がはっきりする感覚。

あぁ、またはじまるのか。

奴らに、或いは自らの手で、

押し潰して、壊して、封じ込めて、目を逸らしていたもの。それを無理矢理拾い上げられ、直され、植え付けられた。

“初期化“の瞬間も何度もやれば流石に慣れてくる。

吐き気がする。

また奴らの道楽に付き合わされるのだ。

『苗床の皆さん、こんにちは！』

スピーカーから聞こえてくるのはいつも通りの女性の声。この声の主の正体に気付いたのは何度目だったか。

『視聴者様のご要望により、今回は趣向をガラリと変えております！』

ブオンと音がなり風景が変わる。てっきりいつも通りのあの会場だと思っていたが何かが違う。否、これは、

『苗床の皆さんは覚えいますでしょうか？』

忘れる訳がない。だってココは、

『──そう！青い監獄の内装です！！』

『わたくしの記憶を覗いたあるお方が「なにこれ楽しそう！」ということでこの星に来る前の皆さんの生活を再現して頂くことになりました！！！』

『3週間後、試合があります！！試合のルールやマッチングの順番は全く変わりません！！』

『もちろん報酬も用意してます！全勝したチーム、そしてハットトリックされた方にはご希望のものを差し上げましょう！』

『では、皆さん頑張ってください！！！』