過去ssまとめ

過去ssまとめ


キハダ「ほ、本気で言ってるのか?」

ハルト「ボクは本気です!」

キハダ「しかし私たちは教師と生徒の関係でだな…」

ハルト「卒業するまでだって待ちます」

キハダ「そうは言ってもだな…転入生の気持ちは嬉しいが」

ハルト「転入生じゃなくてハルトって呼んでください」

キハダ「う、うむ……ハルト、気持ちは嬉しいが急に言われてもだな…」

ハルト「今すぐじゃなくても別にいいです。いつでもご返事待ってます。それじゃあ今日はこれで……」

キハダ「お、おす…………。どうしたものか」



リップ「で、なんでリップに聞きに来るのよ…」

キハダ「すまん……」

リップ「キハダちゃんはどうしたいの?」

キハダ「どうしたいと言われても……生徒と付き合うわけにはいかないし…」

リップ「そうじゃないの。ハルトちゃんのことどう思ってるかよ。年の差も人間関係もこの際忘れちゃって。恋愛に肝心なのは目の前の壁を見ることよりまず自分の気持ちと向き合うこと」

キハダ「自分の……気持ち」

リップ「自分の立場とかどうしないといけないかは自分がどうしたいかを考えたあとでも遅くないわよ」

キハダ「わ、わかった!自分なりに考えてみる!ありがとうリップ!!」

リップ「ええ、お礼期待してるから♡」

キハダ「うっ……わ、わかってる」

リップ「うふっ、ジョーダンよ。リップそんなにタカピーじゃないし。そういうのは全部終わったあとね」

キハダ「あ、ああ」

リップ「まあ、しばらく1人で考えてみてね」

キハダ「押忍!」

キハダ「自分がどうしたいか…か。考えてみれば男の人と仲良くなった経験ってあまりないかもな…」

うーむ……思えば学生の頃から人と付き合ったことはないな。男子と仲が悪かったというわけではないが別段良かった相手がいたわけでもなかったしな。


生徒から告白されたことは一度や二度ではなかったがなんというか…ハルトからは本気の熱さを感じた……本気の相手を無下にするのも思うと断れなくて……


リップ『ハルトちゃんのことどう思ってるかよ。年の差も人間関係もこの際忘れちゃって。恋愛に肝心なのは目の前の壁を見ることよりまず自分の気持ちと向き合うこと』


キハダ「わかってるよ…リップ」

自分の気持ち……私は、ハルトをどう思ってるんだ?

キハダ「むむむむ………」

あれから数日経ったがなかなか答えが出ないな…。

というか好きとはどんな感覚なんだろうか?ポケモンを愛するのとも違うだろうしリップへの友情とも違う。ただ、今まで生徒に告白された時には相手が本気じゃないのがわかるからか一種の面倒くささというか、呆れたような感覚があったが、ハルト相手には無かった。否、むしろ本気で自分を好いてくれる相手がいるのに嬉しくすらあった。これは、好きと言えるのか?

キハダ「うーむわからん……教師と言えどわからないこともまだまだ多いな…」

ハルト「あっ!キハダ先生!」

キハダ「おっ、おおハルトか!」

ハルト「えへへ、名前で呼んでくれるんですね!」

キハダ「うむ、ハルトにそう言われたからな!あ、すまない…まだ私の中で答えが出てなくてな…返事はもう少し待って貰えると嬉しい…」

ハルト「大丈夫です、いくらでも待ちますよ。1年でも2年でも」

キハダ「そ、そんなには待たせない!」

多分……

ハルト「でもキハダ先生を焦らせて後悔させたくありませんから、ちゃんと考えて答えてください」

キハダ「う、うむ……」

ハルト「それじゃあまた!」

キハダ「あっ……」

ハルトは忙しないな。………後悔させたくない、か。そんなこと言ってくれた生徒…いや、そんな男性学生の時から考えてもいたかな……

ペパー「なに!?ハルト告白したのか!?」

ハルト「しーっ!声が大きい!!//」

ペパー「わ、悪い…。告白したのっていつの事だ?」

ハルト「先週くらいかな…」

ペパー「で、キハダ先生なんて?」

ハルト「先生と生徒だし困ってたかな……。返事は少し待ってほしいって…」

ペパー「待ってほしいか…キハダ先生に告白したやつはことごとくその場で断られてるって話だしもしかして脈あんじゃねえか?」

ハルト「どうかな、ボクなんてまだまだ子供だし……」

ペパー「子供だからなんて関係ないだろ?あと5年もあれば誰も気にしねえって」

ハルト「うん、そうだね!」

ペパー(一応キハダ先生の様子も見とくか…)

キハダ(そもそも私の恋愛に対する知識が少なすぎる……恋愛もバトルと同じだな。まずは勉強あるのみだ!)

キハダ「しかし……どうやって勉強したらいいんだ?」

ペパー「ども、キハダ先生」

キハダ「む?おお、君はペパーくんだったな」

ペパー「はい、その……ハルトのことで少し話したくて…」

キハダ「そうか……そういえば君らは親友なんだったな」

ペパー「うす、それでハルトのこと先生はどう思ってんのか聞きたくて…」

キハダ「うーむ……そうだな……」

キハダ「正直なところ、情けないがまだわからないと言うのが本音だろうか……」

ペパー「……………」

キハダ「すまないな。君の親友相手に中途半端な返事をして」

ペパー「いえ、俺も正直恋愛とかよくわかんないんで……」

キハダ「ただ……悪い気は、しなかったな…//」

ペパー「それって好きってことなんじゃないっすかね」

キハダ「うーむ………私の恋愛が少なすぎてな…。よくわからない…だからまずは勉強から始めようと思ったんだがどう勉強したらいいかがわからなくてと困っていたところだ……ペパーくんはわかるか?」

ペパー「うーん……………」

2人「………………………………」

ペパー「あ!俺よく漫画読むんですけど漫画にはよく恋愛要素とか出てきますね」

キハダ「なるほど漫画か!あまり読んだことがないが試してみるか!」

キハダ「とりあえず店員さんが今若者の間で人気という漫画を買ってきたが…まあ地道に読んでいくか」

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キハダ「ふむふむ……好きな相手のことを思うと何も手が付かない……。それは根本的に問題があるんじゃないか?」

ハルトはバトルも勉強もいつも通りちゃんとしていたが……

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キハダ「髪に芋けんぴ!?気付くだろう普通……」

とってもらうのが恋愛なのか…?

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キハダ「好きって言われると好きになるって……随分といい加減だなこの女…!○○のことを好きと言っておいて……!」

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キハダ「今度は○○が親が決めた許嫁とデートだと!?恋愛とはそんないい加減で良いものなのか!?」

ハルトが私に告白しておいて他の……例えばミモザ先生とデートをしていたとしたら………なんかムカつくな…一発ひっぱたいてやろうか………いやいや落ち着け、ハルトはそんな軟派者じゃないはず……。

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キハダ「なぜこの2人は付き合っていながらほかの相手を突っぱねないんだ!ぬぬぬ……モヤモヤする……」

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キハダ「ふーむ……しかしなんだかんだありつつもやはり○○も主人公も相手一筋なのだな……。こんなふうに一途に熱烈な愛を向けられたら……いやさすがにこれは誇張表現もあるだろうか」

まあ参考になると言っても創作物だしな…。実際にこういうことが起これば話は別だが

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キハダ「しまった!読んでいたら朝になってしまった!?し、仕方ない……徹夜のままだが学校に行くか……」

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うーむ……勢いで読んでみたがどこまで鵜呑みにしていいものか……。世の中の恋をしている人達は本当にあんな一途に相手を思っているものなのか?

たしか、漫画の中では好きな相手のことをつい目で追ってしまうとか相手の変化にすぐ気づくとか書いてあったな。

ハルト「キハダ先生〜!」

キハダ「お!ハルトおはよう!」

ハルト「おはようございます!」

キハダ「随分遠くから走ってきたな!遅刻でもしそうだったのか?」

ハルト「いえ、キハダ先生が見えてつい…//」

キハダ「む?」

キハダ(好きな相手のことはつい目で追ってしまう……いやたまたまだとは思うが…)

ハルト「あれ?キハダ先生なんか顔色悪いですか?少し疲れているというか…」

キハダ「え?そうか?」

キハダ(あ、そういえば漫画を読んでいて寝てないんだった………)

相手の変化にすぐ気づく

キハダ(ち、違う!これはそういうのでは無い!)ブンブン

ハルト「ど、どうしました!?」

キハダ「な、なんでもないぞ!なんでも!」

キハダ(あの漫画が本当だとしたら……ハルトが○○のように私のことが大好きみたいになるじゃないか!!!//)

ハルト「こ、今度は顔赤いけど大丈夫ですか?」

キハダ「だ、大丈夫だから早く教室に行くんだ//」

ハルト「あ、はい。ではまた」

キハダ「お、おす…//」

キハダ(なんでだ……なんでこんなに………私は喜んでるんだ?//)ドクンドクン

キハダ(なんなんだ……?ハルトが言葉だけじゃなく行動で好きだと示してくれたのが嬉しかったのか……?!)

まさか私もハルトの事が好きだとでも……?いや違う、そんなわけ………!


リップ『年の差も人間関係もこの際忘れちゃって』


そんなわけ…………ない、ことはないか?

もしかして私はまだ心のどこかで教師と生徒だからと思ってるのだろうか……。

ハルトの気持ちを真摯に考えて返事をすると決めたのに、私は本当にダメだな……。

キハダ「さて!反省したところで今日も気分一転して頑張るか!」

あの主人公のように恋愛のことばかり考えて私生活を厳かにしてはいけないからな!あの漫画は教訓にもなったな!

ペパー「あ、キハダ先生おはよっす」

キハダ「おはようペパーくん!」

ペパー「なんかいい事でもあったんすか?」

キハダ「なに、ただ勉強になったと思っただけだ!」

ペパー「………?ああ、昨日の漫画の話ですか」

キハダ「ああ、意外とためになるものだな」

ペパー「なんだ……俺はてっきりハルトに対して少しは脈アリにでもなったのかと……」

キハダ「あ、えと…そのだな……//」

ペパー「?」

キハダ「私自身の答えはまだ出ていないが……その、ハルトが本気であることを改めて自覚したというか……//」

ペパー「信じてなかったんすか?」

キハダ「いや、もちろん信じていたさ!でも……想像以上の答えを行動で見せてくれた、というか…//」

ペパー「そういうやつですよ、あいつは!」

キハダ「そ、そうだな……//まあとにかくそれで、まだ好きと断言は出来ないがその、嬉しかった……//」

ペパー「……そっすか!それ言ってやったら多分ハルト喜びますよ」

キハダ「そ、それはダメだ!告白の返事も決めかねているのに変に期待させるようなことは言えない!」

ペパー「そ、それもそうですね……あぶねえあぶねえ……」

キハダ「と、とにかく私はもうしばらく考えるからペパーくんもこの事は秘密にしておいてくれ!」

ペパー「わかりました」

キハダ「それじゃあ私は授業があるからペパーくんも遅れないように!」

ペパー「うっす」



キハダ(ふふっ♪ハルトは私のことがそんなに好きか♪そう思ってもらえるのは嬉しいものだな♪ハルトが私を……いや、これは本当にそうなのか?あくまであれは漫画の話、だよな?いやでもハルトは私が好きで…………で、でもこれくらい普通の事だったらどうすれば………)

キハダは普段マイナスなことを考えない分マイナス方向に思考がいってしまうととことん悪い方に考えてしまうタイプ。

キハダ「うっ………うぐぐぐぐぐぐ…………」

クラベル「キハダ先生、どうかされましたか?」

キハダ「い、いえ、なんでも………」

キハダ(こういう時は………あれしか)


放課後

リップ「だからなんでリップに聞きに来るの」

キハダ「確認したいことがあって……」

リップ「恋心は自分で考えないとって教えたでしょう?」

キハダ「私のことじゃなくてハルトのことだ」

リップ「ハルトちゃんの?」

キハダ「今日ハルトがだな……遠目からでも私のことをすぐ見つけたり私が徹夜明けなのにすぐ気付いたりがあってだな……//」

リップ「へぇ(ハルトちゃんやるじゃない)」

キハダ「こ、これはハルトが私のことを本気で好きだと思っていいのだろうか!?//」

リップ「………………………………」

キハダ「り、リップ?やはりリップもわからないか?」

リップ「キハダちゃんはそう思ったの?」

キハダ「ま、漫画でそれは本気で好きなサインみたいなことが書かれていたからそうなのかなぁ、とは思ったんだが………」

リップ「が?」

キハダ「あくまで漫画は漫画だし……もしこれくらいは普通のことで私が1人舞い上がっているだけで自意識過剰だとか思われたらどうしようかと思ってな……」

リップ「ふぅ………(やれやれ、世話がやける子ね)」

キハダ「ど、どうだろう?リップはわかるか?」

リップ「もちろんわかるわよ」

キハダ「本当か?!」

リップ「でも教えてあげない♪」

キハダ「なぜだ!?」

リップ「宿題よ、自分で考えてみて」

キハダ「むぐっ……し、宿題か………」

リップ「大丈夫、キハダちゃんならきっとわかるわよ」

キハダ「む、無理を言うな……私はそんなことわからないぞ……」

リップ「いいえ、わかるはずよ。そうね………3日後までに答えを聞かせてね♪宿題は忘れちゃダメよ、せ・ん・せ・い♪」

キハダ「むぅ………」 

キハダ(やっぱりリップはいじわるだ………)


キハダ「まったくリップめ……考えておけと言われても私に恋愛のことがわかるわけないだろう……」

しかし教師として宿題と言われると弱いな…。

生徒の手本となるべき教師が宿題を放棄するわけにはいかない!

…………とは意気込んだものの、わからないものはわからないな。

ミモザ先生あたりに相談してみるか。


コンコン…


キハダ「失礼します。ミモザ先生、少しいいか?」

ミモザ「あ、キハダ先生どもー。今日はどこの怪我?」

キハダ「今日は違うんだ!ちょっと、相談があって…」

ミモザ「相談?はぁ…まあいいけど。私で答えられるなら…。とりあえずコーヒーでも入れるんでちょっと待ってて」

キハダ「押忍」

ミモザ「どぞ」

キハダ「どうも。ズズッ…ニガッ……」

ミモザ「それで、相談ってなに?」ズズズッ

キハダ「ええっと……」

キハダ(まさか生徒に告白されたとは言えないし……どう言おうか)

キハダ「これは、ゆ…友人の話なんだが…」

ミモザ「はいはい(キハダ先生の話かな)」

キハダ「せい………年下の男の子に告白されたらしくて」

ミモザ「(せい?)ほうほう、どのくらいの?」

キハダ「10と……2?3?くらいだったかな?」

ミモザ「ブーーッ!!」

キハダ「おおっ!?大丈夫か!?」

ミモザ「ゲッホゲッホ……!だ、大丈夫じゃないし………なにそのびっくり情報……」

キハダ「そんなに驚くか?」

ミモザ「驚くわ!!ほとんど事案じゃん!!」

キハダ「じ、事案!?そんな大事じゃない!?」

ミモザ「まあキハダ先生……の友達が断ったなら問題ないけど(私もたまに生徒から冗談半分で言われるし)」

キハダ「それが…今回ばかりはちょっと事情が変わってきて……本気で告白してきた子を無下に出来なくて……」

ミモザ(事案の香りが……)ズズズッ

キハダ「それで、だな……ちょっとこの漫画読んで貰えるか?」

ミモザ「え、学内で漫画読ませるの……」

キハダ「没収したものということでどうにか」

ミモザ「えぇ……まあ読むけど」


キハダ「どうだった?」

ミモザ「どうって……」

ミモザ(別によくある少女漫画だったけど)

キハダ「ハル………告白してきた子がこの漫画の○○と同じ本気で好きなサインをしてきたんだ!」

ミモザ「……………はぁ?」

キハダ「こ、これは私を本気で好きと捉えていいのだろうか!?//」

ミモザ(もう隠さなくなってきたし!)

ミモザ「ど、どうでしょうね……具体的にどんな感じ?」

キハダ「遠目からでも私のことにすぐ気づいたり私の隈を察してくれたり……」

ミモザ「ふむ………まあ難しいラインだけど。そうだと見てよさそうかな」

キハダ「やっぱりそうか!よかった!」

ミモザ(その反応の時点でキハダ先生も好きなんじゃないのかな……)

ミモザ「まあそうは言っても、私もあんまり恋愛経験とかないのであくまで一意見程度に参考にしてもらえると」

キハダ「お、押忍…」

ミモザ「キハダ先生はそういう経験ないの?」

キハダ「残念ながらそういうのには疎くて……」

ミモザ「でも案外自分で気づいてないだけで経験してるかもよ?」

キハダ「うーん……しかし25年気付かなかったのに気付けるか……」

ミモザ「自覚した今なら気付けるかもよ。試しに自分で考えてみるといいかも」

キハダ「お、押忍!!」

ミモザ(よし、切り抜けた……。同僚の恋愛相談とか初で緊張したぁ……。もし万が一事案になったら校長に全部投げよ……)ズズズッ…


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