運命

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ここだけゾロがルナーリア族Part2の145

※閲覧注意

※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより

※ゾローリアの更にIFネタ

※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√

※幼少ゾロはくいなと約束する前

※くいな生存&麦わらの一味√

※CPはゾロ×日和

※IFネタの派生⇒百獣√

※キャラエミュが微妙

※文才なしの駄文

※捏造設定あり

※それでも良い方のみ、お読み下さい
























東の海への遠征帰り、不意に誰かがおれを呼んだ。

「…?…誰か呼んだか?」

知らない“声”だったが、今日はいつもの侍達ではなく百獣海賊団の配下達との遠征だった為、近くの配下達に問いかける。

「いえ、お呼びしてはおりませんが…」

配下達は不思議そうに否定をする。

「そうか…」

それに1つ頷くと、もう一度耳をすませる。

…確かに、呼ばれている。

耳鳴りの様な“声”が、おれを呼んでいるのだ。

「…おい、あっちに船を進めろ」

声の主を探す為に、船の進路を変更する様に命じる。

「…は?…しかし、あちらはローグタウンですが」

しかし、いつもの侍達ではない為に直ぐに行動しようとしない。

「……おれは、進めろと命じたが?」

「ッ!!も、申し訳ございません!!今すぐに!!」

仕方無しに強く言い直せば、それでようやく動く。

「…やっぱり侍達の方が、使い勝手は良いな」



“声”に呼ばれるまま足を進めれば、一軒の武器屋に辿り着く。

「いらっしゃいまし!!」

恐らく店主だろう男の声かけは無視をして、“声”のする所へ向かう。

そこは十把一絡げに鈍ら刀が入れられた樽で、呼ばれるまま一振りの刀に手を伸ばす。

「……おれを呼んだのは、お前か」

樽から出した刀は朱色の拵えの鞘をしていて、手にした瞬間から“声”が強くなった。

「お待ちを!!お侍様!!その刀は」

鞘から抜けば、紫色の逆巻く炎のような独特な刃紋が美しい、刀で。

刀を眺めていると、店主から静止がかかる。

「妖刀だろう」

なんて事もない様に言えば、頷かれた。

「…そうです。その刀の銘は“三代鬼徹”…“鬼徹”を腰にした持ち主は悲運の死を遂げます。ですので…」

買わない方が良い…とでも続ける筈だったのだろう。

だが…。

「気に入った!!!おれはこれをもらう!!!」

そう、おれはこの刀が…“三代鬼徹”が気に入った。

おれを呼んで、使えと言うところも。

おれの手に馴染むところも。

「説明を聞いてましたか!!?」

悲鳴の様に店主が言うが、聞いていたに決まってるだろ。

刀の事だからな。

「要するに、おれの“運”が勝つか、三代鬼徹の“呪い”が勝つかって話だろ…それに、負けるならそこまでだって事だ」

抜き身の“三代鬼徹”を空中に投げる…そして、落ちる軌道上に左腕を差し出した。

「なっ!?!?斬れ味は本物なんだぞ!!」

店主が叫ぶが…そのまま、“三代鬼徹”は刃が腕に当たる様に落ちてきて…。

 するり

不自然な軌道で、刃ではなく、峰が腕を撫でていく。

 とすっ

軽い音を立てて、床に深々と突き刺さる“三代鬼徹”。

その“三代鬼徹”を見て、ゆるりと口角が上がるのを自覚した。

「…まぁ、態々おれを呼ぶくらいだからな…。店主、いくらだ?」

床に突き刺さっているのを引き抜き、鞘に納めながら店主に声をかける。

「……」

「…店主?」

呆けた様に、刀の刺さった床の後を見ていた店主に、もう一度声をかけた。

「ハッ!しょ、少々お待ちを!!」

正気に戻ったかと思えば、店の奥にかけて行く店主。

いや…構わねぇけど、店に客だけ残すなよ…。

そんな事を考えていると、店主が一振りの刀を抱えて戻って来た。

「こちらを!!この刀の銘は“雪走”、どうかこちらもお持ち下さい!!勿論、どちらともお代はいただきません!」

そして…そのまま、その刀を差し出してくる。

黒拵えの鞘に納められた、“雪走”という刀。

“三代鬼徹”は業物だが…この“雪走”は、良業物じゃないのか?

そんな思いから、店主に確認する。

「…良いのか?」

真っ直ぐに店主はおれを見返して、頷いた。

「刀は持ち主を選びます…刀が呼ぶ程の方ならば」

そんな事を言って、“雪走”を差し出すのを辞める気配は無くて。

「…わかった。もらっていく」

おれは、差し出された“雪走”と、おれを呼んだ“三代鬼徹”を受け取った。




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