運命の悪戯

運命の悪戯


注意

・2年後軸

・島の捏造

・二人は会話しない

・お互いにハイパーデカ感情を持っている(恋愛的矢印はない)

・短い

・前半はミス・ゴールデンウィーク、後半はMr.3視点

・その他もろもろ

上記を読んだうえで大丈夫でしたらどうぞよしなに。



「ザラ、もう着きそう?」

「もうちょっと先。ごめんね、いっぱい歩かせちゃって。」

「それは良いけど...」

ザラと一緒に観光地になっている島に来たのは、そこに良い緑茶があるから。

気候がどうこうでお茶が美味しいっていうのが有名らしい。

「色んな種類のお茶があるわね。あっちは花ノ国のお茶らしいわ。」

「それもちょっと気になるかも...後で寄ってみましょうか。」

「ええ。」

二人で話しながら歩いていると───見覚えのある姿がすれ違う。

「!」

向こうは青い髪に赤い鼻でピエロみたいな男の人と一緒に居るみたいで、変装した彼はわたし達のことなんて見もせずに歩いていく。

思わず振り返ってその背を見てしまった。

どんどん離れていくその背には声なんて掛けられない。

「(...だって、そうしたら駄目だものね)」

───わたし達はもう足を洗っている。

彼らに声を掛けてしまえば他人から見て海賊の仲間という意味が生まれてしまう。

Mr.3と最後に電伝虫越しの会話をしたときに取り決めたことだ。

顔が歪みそうなのを軽く手で顔を叩くことで何とか抑えた。

「さっきの...Mr.3、かしら。」

「ううん、きっと気の所為よ早く行きましょザラ」

口早に捲し立てつつ元の目的地方向へ向き直って、彼女の腕をぐいぐいと引っ張ってその場を離れる。

...彼がわたしのことなんてさっぱり忘れて生きていけますようになんて、そんなつまらない願いを心に宿しながら。






「ここ、茶が有名なんだったか?」

「そうだ。レディー・アルビダに聞いてな。」

「あーアイツっぽい、何だかんだそういうの好きだかんな...」

バギーと二人でこの島に来たのはたまたま少し暇が出来たからだ。

「お前の目的は紅茶だろ?ならあっち方向じゃないのか。」

「いや、裏通りに良い茶葉を取り扱っている店があると教えて貰ったからそっちへ向かおうと思ってな。」

バギーと話しながら歩いていたが、ふと背に視線を感じる。

「(何だ...?)」

歩きながらそれが消えたのを確認して足を止め振り返る。

その小さな後ろ姿は見覚えのあるものだ。

「ギャルディーノ?なんか見っけたか?」

「...ああ、そうだな。」

帽子こそ別のものを被っていたがあれは間違いなくミス・ゴールデンウィークだ。

隣に居たのはミス・ダブルフィンガーだろう。

離れていく背に声など掛けられるものか。

...そうしてしまえば、彼女たちの自由が奪われる。

もう二度と関わらない、それが私なりのケジメだ。

「(『相棒』と過ごしたあの時間は悪くなかったが)」

彼女が生きていく人生に、私のような裏の人間は必要ない。

「おーい、置いてっちまうぞ。」

「お前...道が分からんのに置いていくつもりカネ」

バギーの言葉に呆れながらゆっくりと歩き出してその場を離れる。

どうか彼女が自由に生きられるように、とらしくもない願いを心のうちに抱えながら。

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