進水式
荒れ狂う海と打ち付ける雨。
その中に浮かぶ船の上に私たちはいた。
「みんな!あの灯台の光の先が"偉大なる航路の入口よ」
"偉大なる航路"の話はシャンクスから聞いている。かつて海賊王が走破した海で今は彼が残した宝を求めて海賊達が跋扈する海。そして…シャンクス達がいる海。
「よっしゃ偉大なる海に船を浮かべる進水式でもやろうか!!」
「ウタ!進水式おまえも一緒にやろう!」
「キイ!」
こんな人形の私でも仲間として扱ってくれるみんなに感謝しながら私は樽に飛び乗った。
「おれはオールブルーを見つけるために」
「おれは海賊王!!!」
「おれァ大剣豪に」
「私は世界地図を書くため!!」
「お…お…おれは勇敢なる海の戦士になるためだ!!!」
私の夢はなんだろう?元の姿に戻ること?シャンクス達と再会すること?…ううん、それもあるけれど──
「キイ!(私は私の歌でみんなを幸せにするために!)」
本当の私の事も、かつて交わしたこの約束も、もう誰も覚えてないけれど。それでもこの夢が私の心臓。
それに私だって海賊だ!元の姿に戻って、シャンクス達と再会して、歌でみんなを幸せにする──未来の海賊王のクルーならそれくらい強欲で構わないだろう!
「「「「「(
行くぞ!!!
"偉大なる航路"!!!!
)」」」」」
───伝説は、始まった。