途中
「レナ、大丈夫!?」
二人でもつれ込んで倒れた体勢のまま、ナミカは心配の声をかける。
「……」
「あ、もしかして痛くて声が出ないの!?」
「…………い」
「え? なんて?」
「重いって言ってるねん!!」
レナがナミカをがばっと押しのける。
「ご、ごめん……」
「ウチは大丈夫や、この通りピンピンして……っ!」
そして何でもないとアピールしようと立ち上がったレナだが、その顔が少し歪む。
「足擦り剥いてるじゃない!!」
「平気や、平気。こんなのツバでも付ければ……」
「駄目よ、ちゃんとしないと!! ええと、ええと……」
「その……絆創膏……使いますか?」
さっきからの騒動で辺りの注目は集まっている。そんな中、おずおずと絆創膏を差し出したのは女子生徒エリゼ。
「ありがと!」
ナミカはその親切に礼を言うが。
「……ちょい待ち。どういうつもりやあんた」
レナはエリゼにその真意を問いただす。
それもそのはず、女性生徒エリゼは今回の問題の発端、ナミカとレナがケンカする原因となった『あんな貧乏人、どうして生きてるんやろうな』と言われたその本人だからだ。
ナミカとレナの会話だったのでエリゼ自身はその発言を聞いていないため悪印象を持っているわけではないのだが、レナはそのことに気付いていない。
暴言まで言われたのに、貧乏人のくせに、どうして施しをするのか。
「どうしてって……レナさん怪我したんですよね? だったら早めに絆創膏をしないと……」
「そういうことやなくて……!」
「私の妹が元気いっぱいでよく転ぶんです。だからいつも持ってるんですけど役に立って良かったです」
はにかむエリゼの顔を見て、レナの中で何かが壊れた。
ウチは
「助かったわ、シェリド」
シェリドとマースは土魔法と風魔法でナミカとレナを受け止めてくれた。そのことでナミカが礼を言う。
「お気になさらず。授業で魔法理論を学んでから頑張ったかいがありました」
初級魔法を入学直後のこの時期の子が発動させることが出来るのは半々だ。シェリドは堅実な練習で、マースには才能が合ったようで発動させていた。
「よし、じゃあお礼は終わり!!」
「あれ? マース君にはお礼しないんですか?」
疑問をぶつけるシェリド。
「そ、それは……」
「あっ、もしかして気付いて無かったでしょうか。あのとき僕の土魔法だけでなく、マース君の風魔法も発動していて。風で勢いを殺してなかったら受け止められなかったでしょう」
シェリドはバタバタしてたし気付かなかったのだろうかと一から説明する。