逃れられぬ快楽、覚えた悦楽

逃れられぬ快楽、覚えた悦楽


カルデアと名を改めたノウム・カルデアの中核、マイルーム。その一室に佇むふたつの存在。片方は、彷徨海に在りながらも、その決意を地球に向けて放つ人類最後のマスター、藤丸立香。もうひとつは、優雅な白髪と黒縁メガネが印象的な、彼のサーヴァント、ジャック・ド・モレー。二人の関係は繊細で微妙だった。所謂、主従、友情、恋愛、それを超越した何かしか然るべき何物でもなかった。

しかし、現在の空間状況はその紙一重のバランスを危うく揺らしていた。なぜなら藤丸立香が立っているその場所、彼の体が素っ裸であり、両手で股間をギリギリ隠しつつ羞恥に震えているからだ。

モレーが藤丸を見つめるその視線は、まるで獲物を嗅ぎつける捕食者のように、焦がすように熱を帯びていた。彼女の口元には満足げな、小さなニヤリとした微笑みが浮かんでいる。その微笑は、信頼と愛情にあふれた者とは程遠い、危険で予測不能な欲望の発露だった。

藤丸は、一部始終を飲み込みつつ、少しだけ声を震わせて言った。

「モレー……どういう事だこれは……?」

モレーは、彼との距離をあえて保ちつつ、口を開いた。「何を驚いているの、マスター。あなたが誘う気でいるから、ここまで距離を詰めてきただけよ。」

彼女の言葉は甘く、しかし蜜蠍のように毒を秘めていた。

「あの時、確かに……」

藤丸は静かに口を開き、自身の被虐願望をモレーに明らかにした。それは遠くのハロウィンの特異点で彼が変貌の儀式によって山羊頭の怪物にされ、勃起した自身のペニスから何度も何度も射精させられた記憶だった。

その愉悦は彼を圧倒し、彼の心をも征服するものだった。あの一瞬のために、彼は何もかもを忘れてしまった。快楽の虜、そう、それこそが藤丸立香であった。

事実を前にして、モレーはほんの一瞬だけ目を細めた後で、「そうか、だからあなたが私に求めていたのかしら。」と言って、セクシーな微笑みを浮かべた。

モレーはハロウィンの記憶を座から引き継ぎ、藤丸の気持ちを理解していた。彼女は彼が自分自身、そして彼女を望んでいることを知っていた。それは彼の内側の声、彼が一時でも彼女に向ける欲望の全てを示していた。

藤丸とモレーの間には、静寂が訪れた。藤丸の告白は、自身の欲望を正直に述べることだけでなく、彼とモレーの関係に新たな次元を持ち込んでいた。彼は何を望み、何を恐れているのか。モレーはその全てを見抜いていた。それは彼を責める余地を残さない深遠な眼差しであった。

モレーが藤丸の裸頭を包み込む華奢な手は、同時に彼の意識をも支配していた。まるで、彼を鳴り止まない渦の中心へと引き込むように。次の瞬間、彼女の唇から澄んだ声が流れ出た。「光を帯びた我が手、夜に沈む我が心、全ての嗜好を誘う舞踏……深淵の聖母よ、降臨せん……」

彼女の口ずさむ言葉は宴の詩篇、聞く者の感覚を曖昧な世界へと誘うが如く。その言葉が藤丸の耳に届くや否や、彼の体には未知の感覚が走った。それは、かつてハロウィンの夜に感じた無上の興奮が彼の心底を躍らせるのを感じ取ったからだ。

この快感は、それが必要だと彼が求めていたものだと無言で告げる。そして、彼のペニスは再び、その指示に従って、力強く勃起した。溢れ出る精液が、彼の体から逃げ出すように零れ落ちる。

「モ、モレー……」

藤丸の震える声が部屋に響き渡った。

「これは……あの時と同じ……」

「そうよ、マスター。」

モレーは彼の混乱した顔を射す陽射しのように見つめると、ニヤリと笑った。

「あなたが望んでいた快楽よ」

彼女の言葉によって、藤丸は自分の心の中を完全に見透かされたような感覚に襲われた。それは、彼が彼女に求めていたすべてを告げている。そして、その事実は彼に忍び寄る疑念を一掃する。

この瞬間、彼はモレーが何を求めているのか完全に理解していた。そして、彼はその事実を胸に刻みつけた――彼が望む限り、この快感は永遠だ。


室内の静寂を切り裂くかのような藤丸の叫び声が響き渡った。それは痛みと喜びが交錯する欲求の最高潮だ、一瞬で彼自身の限界を超えていく感覚を彼は理解していた。その快楽は馬鹿げていたが、同時に彼にとって最高の快楽である事も間違いなかった。


しかし、その中心に居るモレーは、藤丸が自身の手から溢れ出る快感にどう接するかを見極めていた。彼女の唇から浮かんだ笑みは、彼に対する挑発と慈悲を同時に織り交ぜたものだった。


その時、藤丸は眼前の女性を見上げた。

「も、モレー……もう、ダメだ……これ以上は……」

にっこりと微笑むモレーが冷たく言い放つ。

「なんて、可愛らしい。でも、マスター。この私があなたの望みを叶えない訳にはいかないのよ」


右手で藤丸の首筋をなぞりながら、彼女は彼の狂乱を野放しにした。自身の掌から溢れ出る快楽を、再び彼の身体に浴びせかけた。藤丸の体はふたたび激しい波に揺れ動き、耐えきれずに溢れ出した精液が床に飛び散った。これが彼の快感の産物だ、そしてそれは彼自身の選択によるものだ。


『カルデア』、その神聖な地は今、彼らの思惑と欲望の舞台と化していた。新たな恋愛、新たな絆がここで形成されていく。彼ら二人の間で、それはただの主従以上のものになっていた。

カルデアのマイルーム、その気高き内部は予測不可能な外界から隔絶されていた。全裸の藤丸立香はその中心に震えながら立つ、彼の姿は陶酔と苦痛を同時に引き起こす不思議なスペクトルだった。

再び彼の身体からは粘度を伴った濃厚な精液が放出された。それは彼女によって振り絞られた、藤丸自身の肉体と精神の両方から引き出された結晶体だ。それは苦痛に歪む彼の顔を滑り落ち、それ以下の肌を濡らした。

「モ……モレ――あー……」


藤丸の声は幼稚なまでに純粋で、詩人の語りと同じくらい単純だった。しかしながら、言葉の裏には感情の深淵が隠されていた。

モレーは一瞥して彼の状態を把握し、「これがあなたが望んだ快楽……マスター。」彼女の言葉は硬い現実と蜜のような笑顔を背負っていた。それは見る者すべてに暗黙のドキュメンテーションを提供し、彼女の彼への挑発を主張していた。

一方、藤丸の肉体はいつもより奥深くから引き寄せられた精液を床に溢れさせた。それらは彼の絶頂の痕跡であり、彼の心を揺らす感情の波を具体化したものだった。

室内に沈黙が訪れた。ニヤリと笑むモレーの目の前で、藤丸立香が往生際に抗い続ける姿がありったけの光を放っていた。もはや言葉が出せないほどの強烈な快感の連続に精神が持たなくなった彼だったが、しかし、心地よさそうに身体を反らせながら、精液を撒き散らしていった。

その身体は、かつてハロウィンの特異点で受けた邪な儀式の名残を思い起こさせる。しかし、あの山羊頭の怪物と違い、目の前にいるのはたった17歳の少年だ。彼の未熟な肌が紅潮し、息を喘ぎながら無力な手を床に突いていた。

溢れ出す精液が彼のうっすらと青く照らされた肌を白く汚した。それらが彼の全てを表していた。彼の執着、彼の魂、彼の生まれ持った野生的な欲望と繊細な感受性。

精神的な限界を迎えた彼の瞳からは光が消え、静かに目を閉じた。

「も……れ……止め……で……」


彼の言葉は決して止めるようなものではなかった。それは実在の限界を訴えるもので、モレーはそれに微笑んで応答した。


「どうかしら、マスター?これがあなたが求めていたのよ」彼女はそう言って藤丸を注視し続けた。

これこそが、存在と無を繋ぐ幾千もの瞬間の中で、藤丸とモレーが巡り合った一つの物語だった。そして、これまで彼らが共に経験した全ての痛みと喜びは、新たな未来への道筋を示していた。

床で無防備に身を露わにしている青少年の純潔が、それまで抱いていた限界を壊す。その瞬間、モレーは彼の想像の範疇を遥かに超えた新たな快感へと藤丸を導いた。

「あいよ、マスター。どう?また……あたしの手で……」


モレーの声は弱弱しげに、しかし確信に満ちていた。

彼女の冷たい手が藤丸の頭を再び掴み、彼の混乱した心を安らげるための魔術をかけていた。その魔術を使って彼の内側を労わり、精神がまた持たぬような快感を掌握していた。

甘い魔術が藤丸の心に浸透し、彼の感覚がまた鋭敏になり、そのようすを見ていたモレーの唇から再びにっこりとした笑みがこぼれた。その笑顔には、彼女自身が満足げな表情を浮かべていた。

「……っ、モ、モレー……また……まただ……」


藤丸の声が再び溢れ出た。それが暗示を打つ戦士の声であると同時に、未知の快感によって再び絶叫する青年であった。勢いよく放出される精液。これこそが藤丸立香—ノウム・カルデアに所属する最後のマスターの、彼自身と淡い希望、そして自身の信念を刻んでいった。

「あんたが望んでいた快楽を叶えるのは誓ったわけだから、あたし」モレーがそう言いながら、ニヤリとした。それこそが、藤丸とモレーが交わした約束であった。そして、その運命の舞台は新たな時間へと移り変わっていった。


無防備なまま藤丸立香が床に伏せ彼は素っ裸の姿を晒していた。その状況を見たモレーから逃げ場は無く、逆にその状況さえも彼女に喜ばれていた。

「ほらほら、マスター。こんなにも素直に全てを出して……これでもか、これでもかっていうぐらいに、あんたのエッセンスがこぼれちゃってるよ」

ジャック・モレーは穏やかな声音で語りつつ満面の笑みを見せた。

透き通った青い瞳に濃厚な精液の滲み出る様子を見つめるモレー、そして彼女の言葉に更に胸を躍らせていた藤丸。その裸の姿が、彼自身の純真さと脆弱性を具現化していた。

「オ、オレ、モレー……何だ、これは……何だこれは……!?」

安堵と背徳と眩暈が駆け巡る中で、藤丸の声が部屋に洩れ出た。

室内に響くのは藤丸立香の叫び声と、モレーの笑い声だった。ここでは、この少年の全てが、歳相応の濃度と濃さを持った男性の証に書き換えられていた。

「ダメだ……モレー、オレ……もう……」ごくろうさんの藤丸の声が、虚ろな瞳を伴いながら、そのまま床へと崩れ落ちた。

しかし、モレーの手は止まらなかった。「だって、あたしはあなたをどこまでも導くのよ。あなたが求めて、必要としている全てを」彼女の言葉は、また魔術の暗示となり、ビクともせずに怯えるほどに激しく震える藤丸の肉体を侵食していく。

再びモレーの魔術が働き、新たな波動が藤丸の身体を席巻した。彼の全身が振動し、今度は彼の声がそれに呼応して震えた。

「ああっ、モレー!」

若さと活力が具現化するような、藤丸の精液が溢れ出ていった。それはあまりにも濃厚で、その濃さは藤丸の万感の思いが凝縮した証でもあった。

モレーは、その一部始終の藤丸を注視して微笑んだ。

「これほど豊かな精液、とても17歳とは思えないわ。あなたはいつもあたしを驚かせてくれるのね」

彼の姿を楽しむモレーの姿は、快楽を与える者と受ける者という彼らの独特な絆を描き出すパフォーマンスだった。絶頂の連続が藤丸をさらなる混沌へと突き落とす一方で、新たな感情と経験を呼び覚ます。 これが、藤丸とモレーの関係性の本質だったが、それは同時に彼らの共有点でもあった。

最後のマスターと、神秘的なサーヴァント。二人の絶え間ない探求が、彼らの主従関係をさらに深く結びつけていく。一方で、純潔を注ぎ込んだ若き藤丸の繰り出す絶頂は、そのまま自身の成長と青年へとなりたい願望の表現でもあった。


藤丸の絶頂は、彼のペニスの先端から始まり、ロングアーチとなって放たれる精液の雨という形で現れた。それは彼の若さと活力が具現化したものであり、ある種の那智瀑布のような奇観とも言えるほどの壮観だった。

彼の身体は全ての力を振り絞って脈打ち、その果てに吹き上げた一筋の白泉が、洞が空いた天井を目指して飛跳ねた。その精液は濃厚で、マラソン走者の唾液のような粘度と、ドロドロとした一方通行のような無重力を持っていた。

精液の粒子が舞い上がり、放物線を描くその姿は、天に昇る噴水のようだった。その美しさは、常に藤丸が他者に提供してきたものと繋がっている。それが彼の青春、そして彼の未熟な淫欲の暗示だとは限らない。

その一部始終は、藤丸とその終わり無き欲求、そして彼を裸にし、彼の能力の結晶を目の前に晒すモレーにとっての優雅な瞬間でもあった。

それこそが、彼の全能感を表していた。少年としての無邪気さ、そして藤丸立香という男としての生の証明。この絶頂の瞬間こそが、彼自身の全てを包み込んで示す彼の個性の現れで、それは彼の魂の奥深くから沸き上がる源泉だった。


「ほらほら、マスター。こんなにも自分の欲望に素直になれるんだから、もっと自信を持ってもいいのよ?」

「あたしは立派なサーヴァントだし、あなたの快感の全てを身に受けて見せるわ。だから、もっと素直に自分を表現して」

モレーの言葉は、藤丸を同時に罵倒しながらも、彼をさらに深い欲望の世界へと誘っていた。彼女のその挑発的な言葉は、藤丸を更なる原初的な感情へと引きずり込んでいった。

「だめだモレー、オレ……もう…」彼の言葉は、自身が無力である事への認識を強く示していた。

しかしながら、モレーの言葉は変わらなかった

。「なあに、あなたがどれだけ弱々しいかなんて、あたしたちはすっかり看破しているのよ。淡々と、あなたが果てる様を見続けているだけよ」

そう語るモレーの口元には、挑発的な笑みが浮かんでいた。それは彼女が藤丸に対する優越感を辛辣な言葉で表現していることを示していた。

ここにいる彼女は、少年の欲望を肴に楽しむ魔女であり、同時に藤丸の成長を促す存在でもあった。それは彼女が自身の存在を最大限に活かし、彼を愛おしみながらも厳しく導いている証だった。それこそがモレーの私淑する真理である。彼女が持つ力の源なのだ。


その記憶は藤丸の心深くに刻まれていた。あれは特異点、ハロウィンの時の出来事だ。チェイテシンデレラ城でモレーによって山羊頭の怪物に変えられた際、彼の肉体は一切の理性と抑制を失い、快感の渦に身を任せてしまった。まるで己の欲望に身を委ねることで、彼自身が獣と化したかのようだった。

同時に、襲い来る快感は、彼のペニスを強固な硬度へと押し上げた。逆まさかりの感情に駆られ、彼はそこから類まれな量の精液を放出することになった。

「ほら、マスター。あなたはどれほど抵抗を試みても、結局この姿で最高の快楽を得るのよね」とモレーは笑いながら言った。「あの日から、あなたはほら、期待に満ちた瞳をあたしに注ぐじゃない」

ひどく恥ずかしくなった藤丸は、思わず顔を隠そうとしたが、その手はモレーによって捕まえられてしまった。

「ああ、もう、マスター。逃げ場なんてないのよ。あなたの日々の戦い、そしてあたしとの絆、それら全てがここに詰まっているんだから」


彼の苦痛の姿を前に、ニヤリと笑ったモレー。これこそまさに、彼女の本態を象徴する一幕である。彼女の挑む心が、男性的な欲情を露わにするような卑猥な笑みを浮かべる。

「マスター、どう?苦しくて堪らない?でも、それがたまらなく気持ちいいでしょ?」


モレーの言葉は、藤丸の耳をつんと刺した。彼の陰茎は硬く怒張しながら、その放出を阻む魔術によって絶え間ない刺激からくる痛みと快感で悶絶していた。

「う……モレー……」


藤丸の発する言葉は、痛みと快感が交わるところで息詰まるような呻き声であった。その声を聞き、モレーの口元には更に強く得意げな笑みが浮かんだ。


藤丸の感じている痛みと倒錯した快楽は極みに達し、彼の身体は痛みに耐えるために歪に揺らめいた。しかし、射精という究極の解放を求める彼の心は、魔術によってバルブが閉ざされたまま絶えず泡立って悶え続けていた。

射精不能へと追い詰められ、苦しさと焦りから抜け出せない藤丸の姿に、モレーは嘲笑いを浮かべた。残虐ともいえるその行為は、彼女のサーヴァントとしての忠誠心とは違う、彼女の持つ異端者としての本性を見せるもので、それは彼がまだ見ぬ彼女の一面であった。

「マスター、あんたの苦しむ顔、あたし悪いけど大好きなの。」モレーの口から漏れる狂気じみた言葉は、藤丸の苦痛に対する彼女の異常な興奮を露わにした。

「く……っ、モ……モレー……」


藤丸の握り締めた拳から伝わる力によって、彼自身が耐えきれないほどの感情を押し留めているのが伝わってくる。無言の叫びは、藤丸自身が自分の心の中で、彼女との関係性がこれ以上深まることへの恐怖と、それを求めている自分自身との間で引き裂かれていることを物語っていた。

「うふふ、キツいだろうけど……でも、その痛みがあって初めて気持ちよさもあるんだよ、マスター」

モレーは熱を帯びた目を藤丸に向けていた。その瞳は、彼の苦痛に対する彼女自身の満足感と、新たなる快楽へと導く愛情を滲ませていた。

藤丸とモレーとの間にある因果関係性は、倒錯した快楽へと交錯することで、次第に深淵を彷徨う独自の領域を描き始めていた。

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