才能が無いなりに
ドラゴンタイプ
彼らはいずれも強力なポケモン揃いである……が、それと同時に彼等を立派に育て上げるには他のポケモン達とは比べ物にならないリソースや時間が必要になる。
だから、ドラゴンタイプ使いにはそうする忍耐力が必要だ。
それを才能と呼ぶのなら、僕にはそれがなかった。
ハクリュー、キバゴなど……里のドラゴンタイプ達を育ててはみたけれど、最終進化まで育て上げることは出来なかった。
それでもドラゴンタイプへの憧れを止めることは出来ず……僕はドラゴンタイプにシンカできるヒトカゲだけを連れて里を出た。
「僕はスズノ……ドラゴンタイプを使いたくても使えなかった、落ちこぼれの竜使いの里のトレーナーさ」
里を出たあと、〇〇(主人公)という名前のトレーナーに出会った。
彼と戦い、旅をする中でもっと強くなりたいという思いと……ドラゴンタイプを使いたい、育て上げられるようになりたいという胸の内で燻ってた想いは日に日に強くなって行った。
その証拠に……僕の手持ちにはドラゴンとタマゴグループが同じポケモンと、高名なドラゴン使いの使うドラゴンタイプ以外のポケモンばかり集まっていたから。
「強いね、キミは……。きっと、あの里でもキミは立派なトレーナーに……」
ジム巡りを終えた頃、モガミや姉さんから故郷が開発で観光地に変わるという情報を聞いた。
僕は……それを聞いて里に戻ろうと決意した。
開発を止めるためじゃない、寧ろ……。
「開発を止めるためにモガミや〇〇くんと共闘?まさか……僕は都市開発を進めてもらうために戻ったのさ」
久々に帰った竜使いの里、そしてそこに住む沢山のドラゴンタイプ……彼等を見た時、心の奥底で燻らせていたドラゴンタイプへの憧れが爆発した。
……しかし、未だ大器晩成な、強力なドラゴンを育て上げることは難しかったため未進化から徐々に慣れていくことにした。
その間も、強いドラゴンへの憧れは止められなかった。
吐くほど勉強して、寝る間も惜しんで必死になって努力して……ボックスに入れっぱなしだった4匹の強いドラゴンタイプを育て上げることが出来た。
高揚感と共に……疲れも襲ってきた。
ここまで苦労して漸くドラゴン使いになれる……自分の「才能」の無さには改めて驚かされる……。
だが、僕の中の都市開発への賛成はより確固たる物になった。
……さぁ、開発に否定する者たちの前に立ちはだかろう……前は負けてしまったが……コイツらなら彼等相手でも優勢以上には持って行けるだろう。
この里が里ではなくなれば……きっと、僕のようにドラゴンを使えず苦しむ者はいなくなる。
ドラゴンポケモン以外のポケモン達が入ってくる……それならば僕は……思い出が幾つ消えようが構わなかった