追憶

追憶


昔、酔った百王子から聞いた事がある。

「俺らって悪魔なんだぜカルナ」

それに俺はこう答えた。

「なるほど合点がいった」


一目見た時から何か違和感を覚えていた。

表層は人間だが一番下の部分が何か他の人間とは違うような、そんな違和感だ。

だがそれでも──。


初めて悪魔だって信じてもらえたとケラケラ笑う百王子に言う。

「確かにお前たちは悪魔だが……人間でもあると思う」

百王子は不思議そうな顔でこちらを見た。

「お前にはそう見えるのか」

「そうだ」

「そうか……それなら嬉しいな」


この特異点に来てから昔のことばかり思い出してしまう。

そう自嘲しながらも俺は洞窟の中に入り……そして目的の人物を見つけた。

「何をしている。アシュヴァッターマン」

「……カルナ?」

旧友は幽霊を見るような目で俺を見た。

Report Page