輪っかを上向きに

輪っかを上向きに


サウザンドサニー号に植えられている航海士ナミの大事なミカンの木

その根元で人形のウタはじっと木を見上げている


そこに通りかかるのは変t船大工フランキーと狙撃手ウソップ

「アゥ、どうーしたウタ?」

「ナミの木に何か用か?」

「キィ?キィキィ、ギィギィ。ギーーー」


ウタと話すためにしゃがんで尋ねると、身振り手振りでウタが説明する

ウソップはまぁまぁな長さの付き合いで何となく理解し、フランキーも気分で理解する


どうやらナミの木の世話をいつも手伝っているが、上の方の世話は誰かに持ち上げてもらわないとできなくて申し訳ない

さらに細かい作業ができず、あまり役に立ててないのではないか

ナミだけで作業した方が早く終わるのに、ナミが気を使って手伝わしてくれているのではないか


などなど考えていながら一人で木を見つめていたとのことだ



普段のウタであればこんな弱音は吐かないのだが、W7での出来事で自分ができることについて改めて考え直して出した結論が悲しくて聞かれるまま答えてしまった

答えてから、(どうしよう、こんなこと伝えても困らせるだけなのに…)

そう考えて落ち込むウタの紅白輪っかがどんどん下がっていくのを見ながらウソップとフランキーは顔を見合わせ頷き合う


「ウタ!このウソップ様に任せておけ!!やるぞフランキー!」

「アゥッ、スゥーパァー面白そうでやりがいがあるじゃねぇか!」


二人がそう宣言すると気合を入れるために拳をぶつけあい、すぐにどこかへ走り去っていった


あとには首を傾げてよくわからない雰囲気を出すウタが残っていた
















数日後、ミカンの木の前に麦わらの一味が集合している

木の近くには何か大きなものがあり、布で包まれており中身はわからない

そして数日食事の席とウタの寸法を測る以外では姿を見せなかったウソップとフランキーが晴れやかな顔で布の前にいる


「ちょっとベルメールさんの木に少しでも傷つけたら賠償金たんまりもらうわよ」

「やべーブツなら直ぐにおろすからな」

「スゲー大きいな!一体何見せてくれるんだ??」

「ふふ、楽しみね」

「なんなんだろーな、ウタ」「キィ?」

「ぐーーーー」


正体不明のものに警戒をあらわにするナミとサンジ、純粋に楽しみにしているチョッパーとロビンとルフィとウタ、興味がないのか立ったまま寝ているゾロ


そんな仲間を前にしてウソップとフランキーは不敵な笑みを浮かべるばかり

全員がそろったことを確認すると二人で一気に布をはぎ取る


布から合わられたのは左右の色が紅白で分かれ、大きいアーム2本、小さいアーム2本と中央に小さな操縦席らしきものが付いた重機らしきものが現れた


さて!紹介しよう!!これこそは変態船大工フランキー様&開発の名手ウソップ様による合同超大力作!!!

「「スゥーパァーウソタンキー号Part1!!」」

(ウソップ+ウタ+フランキーの意)


まずはボディ、操縦者たるウタに合わせてカラーが紅白に分けているところはもちろん、ワンポイントにひょうたんのマークと宝箱のマークがおっしゃれ~


続いて4本のアーム!大きなアーム2本は大荷物を運ぶときに使用、小さいアームは細かな作業に最適!

アームは操縦席から自由自在に操作できるぜ!


操縦席はウタの大きさに合わせているので他の誰にも触れない唯一無二のウタ専用席

さらに上下に移動できるので高所の作業でも目線を合わせることが可能

ルフィ、お前は絶対に絶対に触るなよ


本体の移動にはキャタピラがついているためデッキ上の移動はどこでも可能

おーっと芝生は傷つけない柔らか仕様だ、安心しな

まだ階段の上り下りはできないが、いずれは改造を重ねて可能とする予定だ


動力?もちろん万能エネルギー源:コーラなのである!!エコだぜ!

大きい?大丈夫、使わない時はこうこうそれそれ折りたためばコンパクトに収納可能


あとは、こんな機能とそんな機能と追加予定の昨日は・・・・・・・・


数日に及ぶ徹夜作業によって爆上がりしたテンションのままウソタンキー号の説明を行い、説明終了後には高笑いとともにその場でぶっ倒れて、チョッパーが医者ーーと叫び、ナミとサンジとロビンのため息が聞こえるなか・・・・・


目を輝かせるルフィの頭の上にいたウタの紅白輪っかがピコピコと上向きに絶えず動いていたのを最後に功労者の二人は意識を手放した






その後ウタはウソタンキー号の小さいアームで釣り竿をつかみながら大きいアームで釣った魚を運んだり、ナミの木を小さいアームでお世話したり、芝生で寝ているゾロをそっと運んだりとなかなかの活躍を見せている


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