足跡
「行こう……」
言って、手を伸ばした。
いっそ諦めてしまえば、もう傷つかなくて済むのに……。
治ってもいない傷に見ないふりをして、貴方はまた戦場に帰っていく。
正義感とかそういうのじゃなく、ただ仲間のために。
そんな貴方だから、皆の指導者になったのでしょう。
隣で戦う私は、先陣を切る貴方と、同じものを見れているかしら。
敵を討ち、味方が討ち取られる。
繰り返す屍の道を、私達も続く。
……この先に何が待ち受けていようと同じこと。
ふらふらの貴方と並んで歩く。
具足を履いた貴方と、素足の私。
足跡の形は違うけど、歩く道は同じでありたい。