赤と蒼
8歳差ルウタたまらんマン4人で夕食を食べたあと、エースがふと口にした
「なぁ兄貴 兄貴って“赤髪のシャンクス”っていう海賊と戦ったことあるんだろ?」
「? 何で知ってるんだ?」
「ウタから聞いたんだよ 昔海兵だった頃にやりあったんだって それでさ、グレイターミナルで偶然手配書を見つけたんだ これ」ペラッ
「あっ シャンクスだ すごーい!また懸賞金が上がってる!」
「えっ…! こんな額の海賊と兄ちゃんは戦ってたのか…!」
「それが海兵の仕事だからな まぁ、何度かやったけどシャンクスには敵わなかったよ」
「すげぇ〜…! 兄貴はそんな強いやつに何度も立ち向かっていったんだな…! なぁ兄貴! そのシャンクスってやつと戦った時のこと教えてくれよ!」
「わたしも気になる! 戦闘の時はいっつも船内で隠れてたから見たことないんだもん!」
3人が好奇の眼差しでルフィを見る
「ん〜 じゃあ最初にシャンクスと会ったときのこと教えてやるよ!」
「「「やった〜!!」」」
―――
2年前… 偉大なる航路…
「懸賞金10億4000万ベリー 赤髪のシャンクス ここ最近で最も勢いのある海賊団の大頭です 小規模な海賊団ながら個々の戦闘能力は高く… お二人共話聞いてます?」
「「ぐお〜… zzz…」」
2人の海兵は、寝ていた
「あの…」
「ハッ!! 起きんかァー!! ルフィー!!」ゴ ン ッ !!
「いでェー!!!」
“英雄” 海軍本部中将モンキー・D・ガープ と “蒼翼” 海軍本部少佐モンキー・D・ルフィである
―――
「わしゃあお前に期待しとるんじゃ! 相手は赤髪! 気を引き締めィ!!」
「わかったよじいちゃん… \ゴンッ!/いでェ!!」
「“わかりましたガープ中将”じゃろうが! 言葉遣いはしっかりせぇ!」
「わかりましたガープ中将…」
「まぁまぁガープさん その辺にしといてやってくれ じゃねえとこいつの頭がたんこぶの山になっちまいますよ」
船上には、海軍大将“青雉”クザンの姿もあった
「わしの孫なんじゃ! しっかり育てにゃならん!」
「にしてもクザ… 大将青雉に、じい… ガープ中将まで来て… その赤髪って奴はとんでもなくやべぇのか?」
「異例とも言えるスピードで懸賞金を伸ばしています 赤髪個人もそうですが、それを支える仲間もまた一筋縄ではいかない強豪揃いです」
ボードには、赤髪だけでなく赤髪海賊団の船員の手配書も貼り出されている
「そんだけの奴らを相手にするんだ ガープさんに着いてくのがお前1人だけだと不安だからおれも来たってわけ」
「ルフィを鍛えるためにも他のもんは来てほしくなかったんだがな お前も強情だのう」
「こんなかわいい後輩を敵陣に放り込むなんて可哀想じゃないですか… 万が一のためにもいてやったほうがいいでしょう」
「余計な手出しは無用じゃぞクザン こいつもどんどん成長しとる ちょっとやそっとじゃ死なんわい」
「そりゃ子供の頃からジャングルに放り込まれりゃ死ななくなるよ… \ゴンッ!/いでェ!!」
―――
一方 レッド・フォース号には緊張が走っていた
「お頭ァ!! 西の方に海軍の船が1隻見えるぜ!」
「1隻? 妙だな… 無人船ってことは無さそうだが…」
「待ってくれお頭… 今見聞色で感じ取ったが… あの船にとんでもねぇ覇気を持ってるやつが3人いる…! こりゃ大将格が本格的に潰しに来てるのかもしれねぇ!」
赤髪海賊団の一員、狙撃手ヤソップが顔を青くする…
「そうか… こりゃあ派手な戦闘になりそうだな…」
「シャンクスゥ… 大丈夫なの…?」
赤髪の足元で、小さな女の子が体を震わせていた…
「安心しろウタ そんな簡単にやられるような海賊団じゃないぜ? ただデカい戦闘になるかもしれない 奥で隠れてるんだ」
「わかった… 怪我しないでね…」
「おう さぁて野郎共… 戦闘準備だ!!」
船長の一喝が、開戦の狼煙となる…
―――
「見えました!! 赤髪の船です!!」
「よーしルフィ!! 先陣切ってみせぇ!!」
「よぉし!! “月歩”!!」
覇気を纏いながら、ルフィがレッド・フォース号へ向かって飛んでいった
「へぇ… あれが…」
「“六式”とかいうCPが持っとった戦闘技術じゃ 無理言って教えてもらってルフィに叩き込んでみたが飲み込みが早くてのう 今じゃ飛んでる姿を見て“蒼翼”なんて呼び方されとるわい」
「カッコいいじゃないの… ルフィ」
―――
「なんだぁ!? 海兵が1人空飛んでこっちに向かってきてるぞォ!」
「おいおい… 能力者か?」
「それとも最近名を上げてきた“空飛ぶ海兵”かもな!」
「…! 来たか!」
「…! あれが赤髪だな! まずは挨拶代わりに!」
“蒼翼”と“赤髪”の拳が交わり…
ド ン ! !
船上に黒い閃光が走った
「! おいおい…! 覇王色の衝突…!」
「とんでもねぇ奴が来ちまったぞ…!」
赤髪海賊団の面々も、その光景に息を呑んでいた
「お前が…! “赤髪のシャンクス”!」
「はじめましてだな…! “蒼翼”!」
「おれのこと知ってんのか!?」
「そりゃそうだ! お前さん有名人だぜ!」
「お頭ァ!! 軍艦に乗ってる海兵が見えたが… 青雉にガープが乗ってやがる!!」
「なんだと…!? うちと戦争でもおっ始める気かよ…!」
副船長 ベン・ベックマンも、異様な事態に当惑を隠せなかった
「お前ら…! こいつの相手はおれがする…! お前たちは軍艦から目を離すなよ…!」
「へへっ… それじゃあ思いっきりやろうぜ!!」
―――
「ハァ… ハァ… つえぇな…!」
「ゼェ… ここまで食らいついてくるとはな…!」
一進一退の攻防を繰り広げるも、状況は赤髪の方が優勢であった
(そろそろケリつけねぇと…! こっちがやられる…! ……ん?)
赤髪との戦いの中僅かに成長していたルフィの見聞色が、無意識にある“声”を捉えた
(…クス …シャンクス)
(声…? しかも女の子…?)
(大丈夫だよね… シャンクスなら負けないよね…)
(誰だ…? …!)「うわっ! 危ねぇ!!」
赤髪の一閃が、蒼翼の頬を掠める
「おいおい… 戦闘中に考え事か!? そんなんじゃ昇進できないぞ…!!」
「海賊に昇進の心配なんざされたくねぇよ…!!」
―――
「結局… まともに戦闘してたのは蒼翼だけだったな… 何だったんだ…?」
「本気でおれたちを捕まえるつもりではあったんだろうが… どうにも意図が読めんな…」
「大丈夫かよお頭… 随分手酷くやられたが…」
「あの野郎無茶苦茶な動きで攻め立ててきやがって… 見聞色で読んでも対処に手間取っちまった… まぁ次はこうはいかんさ」
「シャンクスゥ… 死んじゃやだよ…」
「バカ言え! お前を残して死ねるかってんだ!」
―――
「流石に無理じゃったか…」
「そりゃそうでしょうよ… おれが助けにいかなきゃ最悪な事態になりかねませんでしたよ…」
「まぁこれも経験じゃ! ルフィならこれを糧にもっと強くなれる! わっはっはっは!!」
「お前さんも苦労するな… ルフィ…」
―――
「いやぁ~ シャンクスとは何度かやり合ったけど… 本気で死ぬかと思ったのはやっぱ一番最初にやり合った時だな!」
(カープのじじい… 兄貴にどんな無茶させてんだよ…)
(むしろなんで兄ちゃんは今こうやって生きてるんだ…?)
2人が顔を青ざめる中、ウタは頬を赤らめ体をくねらせていた
「はぅ… ルフィ…♥」
「ん? どうしたウタ」
「そんな昔からわたしを感じ取ってくれたんだね…♥」
「あー… 確かにあの時聞こえた声はウタのだったんだな 納得したよ」
「ウタが赤髪海賊団の船に乗ってたってのも本当だったんだな…」
「やっぱりわたしとルフィが出会うのは運命だったんだ…♥」
「んー… そうだったのかもな!」ニカッ!
「「えっ!?」」
「ルフィ…♥ 大好き…♥」パタッ
「「「ウターー!?」」」
こうして、夜は更けていった…