贅沢

贅沢


かな「やっぱいいホテルだけあってベットも柔らかいわね。」

アクア「そうだな。」

かな「ツインだけど大きめのサイズだし。」

アクア「…そうだな。」

かな「人2人寝れそうなサイズよね…」

アクア「…」

かな「…そっちに行ってもいい?」

アクア「…」

アクアは少し端に寄り無言で自分の布団を持ち上げ有馬を受け入れる準備をする。有馬は自分の寝てたベットからアクアのベッドへと移動した。

かな「暖かいわね。」

アクア「俺が寝てた場所だからな。」

かな「そうじゃなくて。」

アクア「知ってる。」

かな「もう!」

頬を膨らませ怒ったふりをする有馬。それをクスクスと笑うアクア。直後に有馬も笑い始めた。

かな「…私幸せなの。親からも事務所からも見離されてた私をあーくんは救ってくれた。それからいっぱい楽しいことやつらいこと経験して、時には喧嘩もして、いろんなことがあって付き合って、『私愛されてるんだ』って。」

アクア「そんな大した…いや、有馬がそういう風に思ってくれてて嬉しいよ俺も。」

かな「今までは誰もいない時を見計らって体重ねてきたけど…今は正式に交際の報告もして、二人っきり、だから…」

暗くて顔はよく見えないが有馬からの熱がアクアに伝わる。その熱に言葉にアクアの心臓の鼓動が早くなる。これから…有馬と…という時だった。




かな「何もしない!!!」

アクア「はへ?」

衝撃の言葉を叩き込まれた。

アクア「…なんで?」

かな「だって今まではその…隠れてこそこそだからこういう機会があれば絶対だったじゃない?でも今は正式に交際発表したからそばにいられる!今までじゃこんなことできなかったの!これってすごく贅沢じゃない!?」

アクア「…」

かな「じゃあおやすみなさ〜い♪」

そういうと有馬はすぐに眠りについた。昼間はレジャー施設ではしゃいだから疲れていたのだろう。そして明日は観光地に行く予定だ。有馬のすぐに寝る判断は正しい。


ただ、アクアはなかなか眠りにつくことができなかった。



かな「起きてあーくん!もう朝よ。」

可愛い彼女の可愛い声が聞こえる。時計は7時を指している。

かな「今日は観光地巡りね。楽しみ!」

嬉しいそうな彼女を見てまぁいいかと思う気持ちの中にどこか釈然としない気持ちもある。そう考えているとあることをアクアは思いついた。

アクア「有馬。」

かな「なにあー…」

名前を呼ぶ前にアクアは有馬をベッドに押し倒した。

かな「あ、あーくん?」

アクア「昨日有馬は『できることをあえてしないのが贅沢!』って言ったよな?」

かな「う、うん。」

アクア「なら本来観光に行けるのに行かないのも贅沢だと思わないか?」

かな「はへ?」

そうだ観光地なんてその気になれば日帰りでも行けるんだ。だったら昨日のモヤモヤの借りをここで返しておこう。

かな「や、優しくしてね…?」

アクア「…善処する。」


2日目の本来の目的は達せられなかったが夕方、親睦を深めた2人の姿がそこにはあった。

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