誰に共有するべきか
「ROOM、切断(アンピュテート)」
すぱり、と妖刀が煌めいて手首を一閃した
痛みは全くと言っていいほどなく、優れた刃物と使い手は相手に苦しみをもたらさないものだとよくジジイもクソマリモも言っていたが今回に関しては悪魔の実の能力によるものだろうことは分かっていた
そう、能力による痛みと害を齎さない切断
しかし切り離された手首を見た瞬間心臓を裏からひっかかれるような酷い眩暈と11年前のあの遭難の記憶が一気にフラッシュバックしサンジを襲った
膝から先を失った足、俺を生かすために断たれたもの
後悔と罪悪感
かちゃりかちゃりと静かな音を立てて爆弾の仕込まれた腕輪が切断された手首の先から抜かれた
冷や汗が頬を伝いぐらりと視界がゆれる感じがしたがローの手が触れていることによってなんとか意識を保っている
静かに、正確に、寸分たがわぬ位置に切断面が再び接着される
「終わったぞ、・・・黒足屋?」
声掛けに反応のないサンジを訝しみ注視していた手首から顔へとローの視線が移った
その視線が強張る表情を見つける前に顔を跳ね上げると
「いやー!やっと解放されたぜ!ありがとよ!!」
と務めて明るく振る舞った
手が異様に冷たくなったこと、冷や汗、抑えているがわずかに手が震えている事とその筋肉の緊張も、それらすべてにローは気づいていたが患者の背景を知らないローにはその原因を推察することは叶わなず、手首から引き抜かれた爆弾だけが鈍い輝きを放っていた