読書
のどかな休日の日向ぼっこ、アタシはソファに腰掛けた眠りから目覚める。重みを感じてる膝の上でギムが本を静かに捲り読んでいた。
「ふひゅひゅうー、ギムくんも子供扱いされることに慣れたのかな?」
夏葵がおどけて、ギムをからかう。
「えぇ?」
まったく、翔太郎の悪い癖が脈々と伝わってしまってるのかな…とでも言いたげな不貞腐れた雰囲気を周りに漂わせる。
「ほらさっ、前に筋トレをしていたでしょ?」
「あ〜思い返すとやってたな。例えば、腕立て伏せとかさ」
夏葵の言葉に私は同意した。子供の体は軟体だから、筋肉痛になりづらいけど柔らかいのは未熟な証でもあるから無理に鍛えるのは辞めることにしたらしくって3日程で無事終了したんだけどね。
「ギムくんが、筋トレ始めたのは久しぶりに礼音から本の読み聞かせをせがまれたのにナチュラルな陽動で礼音の膝に乗せられる方になったから…」
「そういうことは、覚えてなくていい。言わないでいい」
父親に比べれば暴走列車じみた所が少ないギムにしては早口で、強硬な表明だ。まぁ…フィリップさんも知識以外の部分なら落ち着いてることを追記する。
「体長のことは気にすんなよ。同じ音声でも体調のがアタシはよっぽど心配になるし、現在進行系でギムのこと尊敬してるんだぞ」
上っ面は、礼音の存在をお構いなしとしているギムから贈られた棚ぼた風味づけの恩寵で、今までも思ってたことを飾らずに話す。
「礼音ちゃんも言っていらっしゃるのでございますから、ギムくんはもっとお気楽に子供ライフ楽しもう」
頭上から見下ろす夏葵。目線が合って、それからアタシのほっぺをムニムニと突いてくる。
「アドバイスをくれてありがとう。ボクは、現代持っている本を読み終わったから新たな本に、取り替えてくるよ」
抱えた本はそのままで立ち上がって振り返りアタシ達を見つめる。
シンと冷たい氷で造られた整った顔立ちをしているギムに込められた熱の一端がちらつく視線。顔が良い。いや〜ギムの目は、本当にキレイなんだよな。
「私も礼音の隣で読もー!」