読まなくていいおまけ
「『名もなき神々の王女』の破壊を急がなければ…!」
「…?」
蒼白な顔色のリオの耳にピピッ、という電子音が届く。
どうやらセミナー内で使用しているチャットアプリにメッセージが届いたらしい。
リオは端末を開き、その文言を黙読する。
開いたのはそのアプリ本体ではなく、既読マークを付けずに読める別アプリだ。
『リオ会長』
『お疲れ様です。早瀬です。』
『今週ですが、どこかでお時間を頂けませんでしょうか?』
『今期のミレニアムの支出について少し御相談したいことが───』
調月リオは、静かに端末を閉じた。
その顔には数多の冷や汗が浮かんでいた。