語られぬ逢引き

 語られぬ逢引き


「……マスター、今日もよろしいですか?」

「うん、別にいいよ。ブリュンヒルデの為だしね」

マイルーム、立香とブリュンヒルデはいつものように彼女の精神を安定させる為にとある行為を行う準備をしていた。

ありがとうございます、そう彼女は呟くと鎧を脱ぎ、ワンピース状の上着を脱いで、下着だけの姿となる。

「……あまり、見ないでください。その、恥ずかしい……ので」

「ご、ごめん!あんまりにも……ブリュンヒルデが綺麗でさ」

「ふふっ……ありがとうございます。ちょっと照れますけど、嬉しい、です♥」

口角を上げ、儚げな笑みを浮かべるとブリュンヒルデは最後に残った下着を脱ぎ、産まれたままの姿となり、マスターの前に向かい合う。

「それでは失礼しますね」

跪き、ゆっくりとベルトを外して、慣れた手つきでズボンと共に下着を降ろすと。

「あぁ……やはり大きい♥あの人以上、こんなものを前にしたら……私っ♥」

「……ブリュンヒルデ!」

「えっ……きゃあっ♥」

我慢できなくなった立香はまだ上着を着たままだというのに、片足でズボンと下着を部屋の隅に投げ捨てるとブリュンヒルデを押し倒す。

「今日はいつにも増して積極的ですね、いったいどうして……」

「……な、なんとなく」

「そう、ですか♥」

なんとなく……な筈がない。

彼がこんなことをした理由をブリュンヒルデは手に取るように理解できる。

……自分があの人のことについて言及したからだ♥

目の前にいる、自分が力強く抱きしめてしまったらその命を絶ってしまえるほどに儚く、脆い愛おしい少年(マスター)はシグルドに嫉妬している♥

自分だけが私の恋人であると、例え仮初の生であろうと今の恋人は自分であると、そう……言っているのだ♥

「……挿入れるよ」

「はい、来てください♥私の恋人、愛おしい――」

……あぁ、危ない危ない。危うく言ってしまうところであった。

自分はあくまで理性を保つためにマスターと体を重ね合わせているだけ、彼が愛おしくて……仮初の生とはいえ、彼の名前を続けていってしまったら……もう戻れない♥

「愛おしく、大切なマスター♥どうか狂った戦乙女に、貴方の鉄杭で、熱を……与えてください♥」

「……勿論!」

「あぁっ!♥」

あの人よりも、大きくて硬い肉杭が私のナカを満たしていく♥ブリュンヒルデは、この瞬間が大好きだった、あの人と繋がっていた感覚を思い出すことができるから……でも♥

でも、今は違う♥仮初の生、肉を持たぬこの体♥今、私が愛しているのは……マスター♥藤丸立香ただ一人♥

「もっと♥好き♥マスター、どうか奥を突いてぇ♥」

「ブリュンヒルデ!ブリュンヒルデ……!」

私だけを見ている、私だけを求めている♥普段は勇敢で、私がヴァルハラへ導くべき愛しい勇士であるこの人が♥まるで子供のように私を求めている♥

多くの女に愛され、求められ、その愛に答え続ける彼が、ブリュンヒルデという女だけを愛して、犯して、独占したくて、あの人への私の思いを塗りつぶしたくて♥力強く腰を振り、子宮を押し潰す♥

「イクッ……♥」

「くっ……!」

空っぽの胎の中へ熱い精液がぶちまけられる。

精液はすぐさま魔力となり、ブリュンヒルデの中に溶け、立香の魔力は彼女の一部となる。

あぁ……残念、とても残念です♥こんなに濃くて、多くて、熱いものなら……♥肉を持つ体なら、きっと♥

「……マスター、もう一度……相手してくれませんか?」

「うん、今日も気を失うまで続けよう」

この人の子を孕めたはずなのに♥

こうして人類史に語られぬ逢引きは続いていく。

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