誘われる若者たち
穂乃果side in
バーサーカー達には霊体化してもらい私達が先行してホテルへと入る。
「いらっしゃいませお客様、ご宿泊でしょうか?」
「いえ、私たちの叔父がこのホテルの最上階に泊まっているので顔を見せに」
そう言って首につけたネックレスを揺らす、魔力を込めることで暗示をかける事が出来る便利な代物だ。
「なる…ほど…畏まりました、どうぞ」
暗示にかかったホテルマンは自然と案内してくれる、最上階の一つ下の階にエレベーターを止めて貰いそこから階段を使って工房へと乗り込むことにする。
エレベーターから降りて即結界の中と言う可能性を考え危険を覚悟で階段から乗り込むことにしたのだ。
「…2人共出てきてくれ」
「ここまでは順調ですね」
「気ぃつけろよ?ここからどんな罠があるかわかったもんじゃねぇ」
そう言ってライダーを先頭に、バーサーカーを殿にし私たち4人は階段を上る。
最上階と下の階の中間に当たる階段の踊り場にて、ライダーが何かを確認した。
「これは…結界ですね、細かい内容までは分かりませんが凡そ侵入を防ぐものではなさそうです」
軽く解析を掛けてみたが確かに侵入を防ぐのでは無さそうだ、かと言ってこんなところでまごついていても意味は無い
「さっさと行くぞ、とっくのとうに補足されてんだならここでダラダラ解析するよりはなるようになれだ」
アイツはさっさと中に踏み込んで行った。
「…特に問題は無いな、行くぞ」
「主殿!流石にそれは無防備すぎます!!!」
そう言ってライダーも中に侵入しに行った。あの主従は無鉄砲なのか…或いは本能的に危険を探知しているのか
「マスター、置いていかれるぜ?」
「ちょっ!待ちなさい!」
───
さて、廊下に出たのだが…
「…ゴーレムだな、犬型だ」
「可愛くありませんね…」
犬型の自立式のゴーレムが複数体設置されていた。まだこちらを補足してはいないようだ
「よし、バーサーカー行っちゃって」
「おう!」
その言葉とともにバーサーカーがすごい勢いでゴーレムを潰しに駆け出す、うずうずしていたのだろう。斧の一閃でゴーレムを全て吹き飛ばしてしまった
「終わったぜ、歯ごたえねぇなぁ」
「まだ本命は残ってるから温存しておいて」
そんな感じにバーサーカーがこちらに戻ってこようとした瞬間、なにかの術式が発動した。
「まっ!?ライダー!こっちに!」
「主殿!!!」
───しまった、分断か!ふたりが別の部屋へと引きずり込まれていく
「隼人!!」
「待ちやがれ!!!」
バーサーカーが追いかけようとするが距離があったのが災いした、追いつく前に扉が閉まり強固な結界が貼られてしまった。扉に斧を叩きつけたバーサーカーは半分キレている。一旦冷静にさせなければ
「バーサーカー、扉は後で」
「つっても!!…いや、確かにそうだな」
状況判断程度はできるようだ、他の扉から先程倒したゴーレムと同型のものや人型、或いは蛇型など大小様々な形のゴーレムが出てくる。防衛機能とはいえいくらなんでも数が多すぎる…!
「さっさとカタをつけて2人と合流するわよ」
「任せな、五分以内に全部片付けてやる!」
雷鳴が轟くような音とともにバーサーカーがゴーレムたちへと向かっていく。私も礼装を装備しサポートに回る、サファイアを加工した礼装を装備しゴーレムに高圧水流でできたカッターを叩き込んでいく。
───隼人クン…無事でいなさいよ…!
穂乃果side out