診察
「…うん、心音なんかも問題なさそうだ。前に診た時よりよくなってるな。」
チョッパーの診察を受けていたウタは不思議な感覚だった。
今も服をまくり上げたところに聴診器を当てられて、本来なら羞恥を感じる状況なのかもしれないけど、どうにもそういった思いは浮かばなかった。
「ウタ?どうかしたのか?」
「…ねぇ、チョッパーくんってオスなんだよね」
「バカにしてんのかァ!!」
「あ、ごめん!そんなつもりはなかったんだけど…」
ウタはすぐに謝ると
「ナミちゃんやロビンさんの診察もしてるんだよね?」
「?もちろんだぞ?医者だからな」
「体も見たりする?」
「診察の時とかはな。あとはたまに一緒に風呂にも入るけど」
「魅力的とか思ったりしないの?」
そこでウタの意図してることを理解した。
「おれはヒトヒトの実を食べてるけど、トナカイだ。そういうのはないよ」
「そうなんだ」
恥ずかしいような思いはなかったのにどこか安心している自分がいることに、ウタは?を浮かべた。
「これで診察は終わりだけど、ウタからなにかあるか?」
「ううん。…あ、もし時間があればなんだけど、ルフィの話聞かせてくれないかな…」
「いいぞ!おれにも小さいころのルフィの話聞かせてくれ!」
・・・・・・
2人で一緒にお茶を飲みながら、チョッパーが一味に加わった時の話や彼から見たルフィについて。また、ウタの思い出について話した。
ルフィと仲間や関わってきた人たちの話を聞く中で、自分の知らない間に彼は人と関わり、自身も人として大きく成長している。
そんな事実やそんな彼と自分を比較してウタは少し落ち込んだ。
それを察してかは分からないが、チョッパーが言う。
「ウタはルフィにとって特別って感じがするな。」
「そう?」
「ウタといるときのルフィは宝物を大事に扱うような感じで、おれたちの知っているルフィとなんか違うんだ。」
少し意外だったけど、まだ知らないルフィを知れたのはウタのおかげだな。というチョッパーの言葉にウタは少し心のモヤモヤしたものが少し晴れた気がした。
そんな2人のところにルフィがやってきて、何しているのかと聞いてきたが、2人はお互いに視線を合わせると、そろって内緒!と答えた。