訪問

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神永 side in

日が沈み始めたので俺たち一行は帰路に就いていた。

「しっかし結構買ったなぁ」

俺は両手にどっさりと荷物を抱えながらそうぼやく

「まぁいいでしょ?前も言ったけどこんな美人2人と一緒にデート出来たんだもの」

「確かにそうだけどさぁ…」

「それともなぁに、私たちに持たせるって言うの?」

また意地悪い質問を…

「そんなことさせねぇってのってもう着くか」

「そうね、それにしてもライダー?あなた随分黙りこくってるじゃないどうしたのよ」

確かに昼以降ライダーの様子が少し変だ

「…いえ、特にはおふたりがそのような関係とは露知らず、あのような格好で主殿に抱きついたりなど…と思い少々」

あ〜確かに、婚約者いる男に云々って考えると確かにライダーみたいになるが…

「気にしなくていいわよ、ライダーなら隼人クン任せられるもの」

美作はバッサリと言い放った、コイツは本当に…

「おい、俺の意見はどうなるんだよ」

「あら、貴方からすれば両手に花が合法的に行えるのよ?なにか文句でもあるかしら」

「…ないけど」

「ムッツリ」

「主殿…」

な、なんだよその目は!2人して可哀想な生き物を見るような目をしやがって…なにか言おうにも墓穴掘ることにしかならなさそうだから黙るか…

「…あ、空が綺麗だぞほら一番星」

「露骨に話を逸らしましたね」

「ええ、そうね」

…早く家に着いてくれないかなぁ!

───

何とか帰宅して早々、美作は礼装の準備をしていた

「…ランサー陣営のとこへ行く準備か?」

「ええ、今夜中にランサーを落とすわよ」

「なら俺も用意した方がいいか」

そう言って2人で今夜の戦闘に向けて準備をしていると

「…主殿、客人のようですよ」

ライダーがそう伝えてくる、一旦作業を止め玄関に向かうとそこには

「全く、随分手薄な工房じゃないか」

アーチャーのマスターである、フィリアがいた。

「っ!?フィリア!なんで!」

「そう声を荒らげるな、近所迷惑だろう」

「せめて要件を聞かせて貰えないかしら?」

居間から美作が宝石片手にやってきた、後ろではライダーが即太刀を抜けるよう手を添えている

「なに、君たちを攻撃しに来たわけじゃないのさ」

そう言ってフィリアは右手を見せてきた、そこにはあるべきはずの、令呪が存在していなかった。

神永 side out


ライダー side in

「悪いなあげてもらって」

フィリア…アーチャーのマスターである女性が座りながらそういった。

「いや、問題ないが…」

「それで?一体どんな御用なのかしら」

美作殿が話を切り出す

「私たちの陣営は聖杯戦争で負けた、アーチャーも退去してしまってねその連絡に来たのさ」

あの捉えどころのなかったアーチャーがやられた…?

「待ってください、あのアーチャーは片手を落としていました、それでも十分戦えるはずでは」

「何簡単な話さ、キャスターに私が捕まり令呪で自害させたそれだけの話だ…」

そういったフィリア殿の顔には後悔と悔しさが浮かんでいた。

「…何があったか教えて貰ってもいいか?」

「ああ、良いとも少し長くなるがね」

そう言って彼女の口から話されたのはキャスターの恐ろしさを伝えるには十分な内容だった。

ライダー side out

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