触手姦

触手姦



くちゅっ ちゅっ 


絶えず水音を立てながら、伸縮を繰り返す薄い水色の触手。

山のように群れたそれらの中には、二人の青年が囚われている


青い監獄の中で悪趣味なレクリエーションが始まってから、どれ程の時間が経っただろう。

玲王は凪を連れ、ハンター達から必死に逃げた

持ち前の頭脳と状況把握能力。追手の心理を読み取り、かつ、監獄内の構造を深く把握し切っていた情報収集能力。それらをフルに活かし、大柄な体格という隠れ鬼のハンデを抱えながらも、二人は最終盤まで逃げ延びていたのだ。

仲間の絶望と悲鳴を見て、聴いて、それでも脇目も振らずに。

全ては自分と凪が助かる為。

でも、それでも足りなかった


トラップのように仕掛けられていた水溜まりにはちゃんと警戒していたのに。

流動的なそれは二人を見つけた途端に形状を変えて襲い掛かって来た。

あんなの、避けられるはずがない



ぱかりと口を開いて母音を垂れ流しながら、玲王は無数の触手に絡め取られ、悪虐の限りを尽くされている。

下半身は殆ど触手に包まれて見る事が出来ないが、少なくとも前と後ろを両方犯されている。太腿の裏から指先までは、絶えず愛撫を繰り返さていた。

規則的に揺れる身体は磔のように拘束されており、びくともしない。


涙をとめどなく流しながら、玲王は目の前を一心に見つめていた。

そこには、玲王とほぼ同じ状況になっている凪の姿がある。

唯一の違いといえば、凪は喘がないし、喋りもしないという事くらいだろうか。


「な、凪。凪····」


息継ぎの合間に言葉を紡ぎながら、玲王は凪へと声を掛ける。

あまりにも凪が静かなものだから、不安になってしまったのだ


「凪、返事、しろ」

「··········」


しかし、どれだけ声を掛けても凪は返事を返さない。

ただじっと、玲王を見つめ続けている


「お、こって、る、のか」

「···········」

「ちゃん、と、にがして、やれ、なくて、ご、めん」


揺すられる度に言葉を区切りながら、玲王は明後日の方へ吹き飛びそうな意識を繋ぎ止め、凪へ語りかけ続ける


凪は返事を返さない


ぎゅうっ、と乳首を締め上げられ、玲王は痛みに小さく悲鳴を上げる。

触手の責めが酷くなってきた。尿道すらも異物に侵入されている感覚がするし、尻の穴など見るに堪えない悲惨な状態になっているだろう。

凪もそうなのだろうか

触手に群がられて見えない凪の下半身。彼のソコも、酷く触手に陵辱されているのだろうか


その光景を想像して、ただでさえ痛みと恐怖で下がっていた玲王の体温が更に下降していく。

ふるふると唇を震わせながら、玲王は懸命に凪へと声をかけた


「なぎ、な、凪。ごめん、ごめんな」


凪は玲王を見ている


「おれ、俺が、ちゃんとお前を、にがして、やんなきゃ、だった、のに」


しかし返事は返さない


「俺、が、凪をここへ、連れて、来たのに」


じっと黙って、玲王を見ている


「おれが、俺のせいで、俺のせいで·····」


ほろほろと溢れる涙の雫。落ちる度に、その水へ触手が群がる。

なんて気持ち悪い。こんなものに犯されるなど、本来ならばありえないのに。

そう、あり得なかったのに、凪はこんなものに陵辱されてしまっている


玲王が凪をここへ連れてきたせいで


玲王の後孔へ、触手がまた液体を吐き出した。気持ち悪い。気持ち悪い。

この液体は嫌いだ。中に入ってくる度に、玲王の内臓が勝手に液体を吸収する度に、くらりと脳が震える。

玲王が玲王でなくなっていく


こんなものが、凪の中にも。

嫌だ、そんな

だって全部玲王のせいじゃないか

玲王が、嫌がる凪を、強引にここへ


酷いやつだ、最低の人間だ

玲王は凪に何も与えてやれてない

凪は玲王にずっと付き合ってくれてるのに


いや、というか、そもそも


「俺、が、凪を、見つけたせい、で」


玲王は凪でなければならないが

凪が玲王でなければならない理由など

無いではないか


凪は才能あふれる人間だ

きっと玲王が見つけなくたって、別の人間が凪を見つけて、凪を輝かせていた筈だ

それなのに、玲王が最初に凪を見つけたせいで、凪の人生はめちゃくちゃになってしまった


「俺がぁ·····っ!見つけた、せいで·····!」


凪は玲王を見つめている

だけど何も話さない

それはきっと怒っているからだ

凪を振り回して終わらせた玲王を

心底憎んでいるからだ


「ごめ、ごめんなさ·····」


子供のように泣きじゃくる玲王

その心はぐちゃぐちゃで、もう殆ど原型を留めていない


「ごめんなさい··········」


ぎゅ、ぎゅうと玲王を締め付け、責め続ける触手。ビリリと走る感覚に、その時初めて、玲王は小さく嬌声を上げた


牙城が崩れかけている

そう察知した触手が、さらに玲王の奥へと侵入し、中でのたうちながら、液体を放出する


その液体に、玲王の正気は溶かされていく


何も言わない凪。そして、凪を見る玲王

胸の奥が絶望に支配され

玲王の瞳は虚に満たされていく


凪、凪、俺の宝物

俺が見つけてごめん

連れてきてごめん

何もやれなくてごめん

全部俺のせいだ


ああ、もう、いっそ


「見つけなきゃよかったなぁ」











レオが泣いてる

俺に返事を求めてる

けど俺は何も言えない


触手に絡め取られ、気持ち悪いぶよぶよが尻ん中に入ってきて、すぐに変な液体を出した

そしたら、体が固まって何も出来なくなってしまったんだ


声はおろか、呼吸すらも一定の感覚を保ち、凪の行動は全て制限された


見たこともないレオの表情。あんなに弱ってるのに、俺は何もしてやれない


ただ、レオを見つめる事しか


ごめん、ごめんと繰り返すレオ

その言葉を否定したいのに、やはり凪の身体は動かない

凪が怒っていて、そのせいで黙っていると勘違いしたレオは、凪に必死に謝っている


違うんだよ、違う

俺は怒ってなんかない

逃して欲しいなんて思ってなかった

レオを守りたかったのに、レオみたいに逃げるのが上手くなくて、レオの足を引っ張った


あの水溜まりだって、レオは近付かないようにしようって言ったのに、迂回を面倒がった俺がこの道を通ろうって言ったから、逃れられなかった。

俺ばかりレオに守られていた


やめてよ、どうしてお前のせいなんだ

俺を見つけた事まで否定しないでくれ

思い出まで塗りつぶしてしまったら

あの日お前に救われた俺はどうなる


レオが謝るたびに、凪の心は削れていく

言うことを聞かない身体。それを好き勝手陵辱する触手。

きっとレオも同じ目に遭っているのだろう

苦しくてきもちわるい。こんなものに犯されているのに、どうしてレオは凪ばかり気にかけるんだ


レオは凪を見て、凪の目を見て、必死に謝罪を続けている

レオが凪に何を求めているのかは分かっていた

凪も、レオにそれをあげたかった


だけど出来ない。動かないんだ

違うんだよレオ、怒ってない

レオを嫌いになんかなってない

恨んでなんかない

俺はレオと居て楽しくて、レオからしてもらった事いっぱいあるよって

これからも一緒がいいって、言いたいのに


返事を返さない俺を見て、レオの顔は絶望に染まっていく

辛うじて凪を写している瞳も、あとどれくらい保つのか分からない


パートナーが手遅れになる

その様をまじまじと見せつけられて

それでも凪は何も出来ない


レオが脆く崩れやすくなっていくのに気付いて、触手がレオを激しく汚していく

小刻みに揺れながら、レオは瞼を伏せた

とうとう凪を写さなくなったレオの瞳。ぽっかりと感情の抜け落ちたそこを見て、凪は悟る




「見つけなきゃよかったなぁ」






ああ




レオが







壊れた


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