解雇から一ヶ月

 解雇から一ヶ月



 99様の書かれたクビにされた社員の勝手な妄想です。恐らく99様の解釈と違うと思います。

 暴力描写、性行為描写あります。少しばかりリョナのが強いかもしれません。汚喘ぎありません。あんまエッチくありません。

 そして駄文です。






















 あのクソ社長に解雇されてから約一ヶ月が経った。あの直後、もう飛び込んで死んでしまおうかと帰宅途中、昼間の駅でうじうじと悩んでいたが其れは辞めた。だって「つまらない」から解雇されるなんて可笑しいだろ。普通だったら無茶苦茶だと解雇されるのはアイツの方なのに。運の良さと実家の太さだけで生きてきたボンボンが。其う考えていると希死念慮は泡の様に溶けていき、代わりに脳が灼ける程の憎悪が湧いてきた。まあ端的に云えば「面白可笑しく」復讐しようと決めた。其処からの一ヶ月はあれこれ考えて用意し、気色の悪い笑顔が止まらなかった。




 夜、元社長が高級住宅街の自宅高層マンションへと向かう姿を静かに追う。……クソボンボンが。………まぁ、妬みは今は置いておこう。後で存分にぶつければいいのだから。

 ぎゅ、と金属バッドを握る。脳の高揚感とは対称的に其れは冷たく冷えていた。

 「社長」

 「…………へ?」

 元社長はつまらない声を出してこちらに振り向きかけた。その綺麗な横っ面を金属バッドで打撃する。中高共に選手に憧れたと云うありきたりな理由で野球部に入っていた為上手く殴る事が出来た。ぎいいん、とバッドに振動が伝わる。思いの外此方は冷静らしく、手は震えていなかった。そしてクソ社長は紅梅の長髪を綺麗に揺らしてアスファルトへと倒れていった。ごつ、と頭から落ちたらしく重い音がする。スニーカーで蹴るも反応は無い。どうやら貧弱過ぎてあんな一撃で気絶してしまった様だ。髪を引き、雑に呼吸の有無を確認してからワゴン車へと突っ込んだ。








 

 「…………ん………」

 熱い息が顔に掛かる不快さで目を覚ます。おまけに臭い。…………嗚呼、なんだっけ、ベッドに入った覚えがないぞ。ていうか頭が痛いぞ。……いや、何だか全身が……特に尻の穴が痛いような………。

 「―――――――――――あ、起きましたか?おはようございます。………っってももう夕方ですけど」

 そう嘲笑混じりの声で云うのは……………誰だ?

 「…………………誰だ?」

 そう、思った儘の事を口に出すと眼前の男は拳を握り、容赦無く顔を二、三度打ってきた。………松陰先生みたいだ。………嗚呼いや、今は思い出に浸ってる場合じゃないぞ、僕。………………………。…………………。…………………………………………………。……………あ、思い出した。一ヶ月前クビにした社員だ。とことんつまらないヤツだったから雇用後半年もせず解雇したんだっけ。マジでつまらん以外の感想の無いヤツだった。

 「は、あーあ。やっぱ、社長にとって俺って其の程度の人間だったんですね。まぁいいや。これから払拭してけばいい話だし。」

 ヤツは僕の頭を掴み、ぐ、と躯を押し当ててきた。それと同時に下腹部へと強い衝撃が走る。内臓を押し上げられる感覚に目に火花が散り、口からは血が飛び出た。……………………コイツ、僕を犯してるのか?

 然し、そういった思考は打ち消されてしまう。

 「うっわ、汚な。アンタ吐血し過ぎなんすよ。掃除しろよ。ほら」

 髪が引かれ、血液の水溜りが出来ている床へと顔が押し当てられる。そのまま何度も何度も叩き付けられ、外から内から血の匂いが滲んでくる。其の間にも雑なピストンは止まる様子を見せない。

 「……ん、ぐ、っ………。クソ、…っ」

 「は、今、クソって言いました?何様のつもりです今更。アンタはもう社長じゃないでしょ。唯の俺の奴隷ですよ。奴隷」

 床へと伏していた顔を上へと向けられるとヤツの気色悪い顔が見えた。後ろ手に拘束させられていた手は解かれ、何をされるのかと思えば左手の薬指に開いたペンチが充てがわれていた。

 「……え、?」

 其の疑問符と共にバキ、と重い音がする。痛みがジワジワと漏れ出し、絶叫と感覚が追い付いてくる。然しヤツは絶叫を煩いと又此方を殴りながらも爆笑していた。

 「っ、ふ、は………………はは。ははははははははははははははははははははは。………あー…、ね、どうです?どうです社長。面白い?面白いですか?可笑しいですか?可笑しいですよね」

 「………は?」

 「つまらないって、アンタがそんな理由で俺を解雇したんだ。だからアンタに特上の、面白い復讐を仕掛けてやろうと思ってさぁ…。唯甚振るだけじゃつまらないだろ?お前にクビにされて家族に逃げられて親に責められた俺の苦しみを超えることなんてできないだろ?精々、綺麗な顔歪ませてくれよ?社長」

 ……ああ、と下腹の律動に呆然と躯を、脳を揺らしながら思う。

 後、此の生活は何日続くのだろう。










 もう、何日経ったかは分からない。指は足に至るまで総て砕かれ、爪も又剥がされていた。……もう、自分の体の惨状は理解しない事にした。

 相変わらず殴られ嬲られの日々だった。嬲られ、の方は体がバグったのか少しだけ快楽が湧きつつあった。尻の穴が盛大に裂けているのにも拘わらず変な話だ。

 「…ん、っ、ん………」

 喉が痛くて喘ぎ声を出すのが辛い。然し喘がなくては無駄に殴られてしまう。

 ヤツは僕を愛おしそうに眺め、汗か血で額に張り付いた髪を丁寧に剥がした。

 「………気持ち良いですか?社長」

 「…………ん、…………ああ」

 問われるが儘に応えているとヤツが少し、悲しそうな顔をした。

 「…………怖い、ですか?」

 「……………」

 何を言ってるのか意味が分からない。コイツは僕をこうして楽しい筈なのに。面白いのは好きだがコレは別だ。

 「ああ、…大丈夫ですよ。社長。会社にも、新聞社にも、御家族にも、久坂さんにも、アンタが敬愛する吉田松陰先生にもアンタがハメられて殴られてる写真、送っときましたから。警察が来たら一緒に死にましょうね。社長」

 おもしろいですか?おかしいですか?と耳元で囁かれる。

 「お前みたいなの雇ってクビにしたヤツは誰だよ。……僕だよ」

 ………何故だか、溜息が零れた。

 

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