解ける

 解ける

8歳差ルウタたまらんマン

「ルフィ! おはよう! 結婚して!!」


「おはようウタ… 結婚はしねぇ…」


―――


「今日も海は穏やかだね〜 こんな日は結婚日和だよ! 結婚しよ、ルフィ!!」


「だから結婚はしねぇよ…」


―――


「みんな〜!! ルフィはわたしと結婚して赤髪海賊団に入るの〜!!」


「だから! 結婚はしねぇ! あとシャンクスはこっちに覇気を飛ばすんじゃねえ!」


―――

悩みが増えた…


前までは後ろを付いて回ってるだけだったウタが最近はことあるごとに求婚しだすようになった…


原因は主に2つ…


先日行ったエレジアでのトットムジカ事件… 最終的には事件を乗り越え立ち直ってくれたが、あの日以来熱を持った視線をウタが送るようになった…


もう一つは… ベックマンが余計な入れ知恵をした


『ワリぃなルフィ ウチの歌姫様がお前をご指名したんだ さっさと結婚するなりウチの海賊団に入るなり覚悟決めちまえ』


最悪だ… 海賊になる気もないが、下手をすればロリコンのレッテルを貼られる…


村のみんなは「マキノとはどうなったんだァルフィ!?」だの「あの娘も可愛いじゃねぇか! 罪な男だな!」だのからかってくる…


挙句の果てにはシャンクスの飲酒量が増え毎晩のように覇王色の覇気をおれにだけ向けて飛ばしてくる…


前にもまして村での肩身が狭くなった気がする… 


今日もマキノのバーで周りに冷やかされながら宴に参加だ…


「なぁルフィ… おれのウタを嫁に貰うからには… 命を懸けろよ…」


「だから嫁にはしねぇよ…」


「ルフィ! 家族ってのはいいもんだぞ…! バンキーナの顔を思い出すとおれは…!」


「あんたは家族のとこに顔出してやれ 東の海にいるんだろ?」


「おいル「あんたはもう喋らないでくれ… 災いのもとだ…」


ここ最近の宴はこんな感じだ…


「ふふっ… 今日も楽しそうね ルフィ」


「これが楽しそうに見えるかよ… 頭痛が止まんねぇ…」


「ねぇルフィ! もうそろそろ次の航海に出るんだよ! また一緒に行こうよ!」


「……あのなぁウタ、あの時は嫌な予感がしてたし、実際やべぇことが起きちまった 万が一のことが起きないために付いてっただけだからもう航海に出るつもりはねぇよ」


「え〜〜!! ルフィはわたしが誰かに盗られちゃってもいいの!?」


「お前を盗ってくやつなんて相当な物好きだけだよ」


「酷い!!!」ガーン!


「………なぁルフィ そろそろ意固地にならなくてもいいんじゃねぇか?」


シャンクスが表情を柔らかくして話した


「ん?」


「おれたちだってもういがみ合ってねぇ 仲間はみんなお前を信頼している」


「………」


「無理に仲間になれとは言わないさ ただ、少しくらい羽根を伸ばしたっていいはずさ」


「シャンクス…! 良いこと言うね…!」


「ここに来たときのお前は、それはそれは酷い顔してたぜ…? 過去を詮索するつもりは無いが、相当なことがあったのは察する」


「………ふん」プイッ


「だからこそ… エレジアでウタのコンサートを見てた時のお前の顔は… これまでのお前からは考えられないくらい良い顔してたぜ?」


「えっ!?」「ハァ!?」


ウタとルフィ、2人が同時に驚いた


「なんだ…? 気付かなかったのか? お前信じられないくらい笑顔だったぞ?」


「ねぇルフィ… わたしの歌を聴いて感動してくれたの…?」ウルウル


「う、うるせー! 確かに良い歌だったけどなぁ、自分の顔なんて見えねぇよ!!」


「あっ! こいつ照れてやがるぜ!!」


「あら、その時のルフィの顔見てみたかったわ…」


皆が一様に、ルフィをからかって楽しんでいた


「ともかくだ! 海に出て冒険してみてもいいじゃねぇか! 誰もお前を咎めやしないぜ?」


「……… ハァ…」ガタッ!


ルフィが立ち上がり、出口に向かって歩き出した


「あ… ルフィ…」 「おいルフィ!」


バーを出ようとした時、ルフィが立ち止まった


「……… シャンクス!」


「お、おぅ… どうした…?」


「……… 考えとくよ…」


「え…?」 「……! ルフィ!」


「じ、じゃあな!!」


そうしてルフィは、勢いよく店を出た


「…〜ッ! お前ら!飲み直しだぁ!!」


\オォーー!!/


(良かったわね… ルフィ…) 


―――


「……へへっ… 楽しみだな…」


軽い足取りで、ルフィは帰路に着いた…

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