親子喧嘩

親子喧嘩

いつもの平和な日常


「......いま、なんじだ。」

「まだお母さん来てないし4時前くらいか?」

「んん、手ぇ動かせない......」

「は〜、二度寝するか」

ぽやぽやーっとした頭で時間確認をしようとしてあ、時計は昨日壊れたんだっけと思い出す。推測タイムに入るけど、まぁ正直よくわからないな。というか勢い良く起きたから布団が飛んでいった......手が動かせないから布団元に戻せないんだよなと思いながらも二度寝の体勢に入ろうとした所で、母が部屋に入って来た。

「おら!特訓するよ!刃物研いで来た!」

「ん〜......はいはい、っと!!」

「いきなり投げないでよ危ない。私今手動かせないんだから」

きーんと大きな声が耳に響いて、二度寝をする気も失せてしまった。はいはいと雑な返事を返すと布団が凄い勢いで飛んでくる。急いで避けたが、手が動かせないせいでバランスが取れずに転びそうになった。のでブーブーと文句を垂れる。そうすると母は「はいはい、じゃあ外したるよここだけね」と言って手と手を離させてくれるのだ。

「よっし!えやー!!」

「はい遅い。」

てっ、と頭に手刀が入る。あ〜馬鹿になるやめてよ〜とか少しチョケて、ばたりと倒れる

「ちょっと、威力強くない?頭、ぐわんぐわんする......」

きゅー......と言った漫画表現か?みたいな感じで倒れて頭を抱え、撫でながら文句を言うと、手加減した方でしょ首飛んでないしとか帰ってくる。首飛んでないし???えこわ。手刀で死人出るやんこわ。流石にバイオレンスがすぎひんか?とか思っていると、母は私が起きた勢いで投げ飛ばし、ついでで母もお手手で投げ飛ばした布団を整えに行った。

「ん〜......つかれた。」

倒れた体勢からごろんっと仰向けになり、母が布団を整えているのであろうガサゴソという音を聞きながらぼやーっと呟く。

「こんなんで疲れてたら術師やってけないよ〜?」

「いいよべつに......術師じゃ無いし」

ほっ......と、少しじじいのような声を出して起き上がる。パシパシと布団を叩き整える母の姿が見える。あー、首飛ばされてたかもしれない叩きが布団に披露されてる......などと叩かれた時の衝撃でまだ少しふわふわした頭で考えていると母が口を開く。術師では無い。そして術師になる気もそこまで無いし。そう口を開きかけ、辞めた。もしかしたらなるかもしれんし一応やめとこ。ってやつだ。

「あ、そうだもうすぐ朝ご飯だよ」

「ま......じかぁ。因みに今日のご飯担当は?」

「?お母さんしか無いでしょ他の人がご飯作ったことあった?」

「無いね......」

もうすぐ朝ごはんだよという言葉に絶望に暮れる。多分世の中の幼稚園とか小学生の子達も毎日絶望に暮れてるんだろうなと思う。絶望に暮れてる君たちへ、キミタチとワタシゎ……ズッ友だょ……!! 何言ってんだろ私......いやー、母の料理はちょっとー、羽毛布団の羽毛のほうが美味しいというか、何というかな出来だからなぁ......羽毛布団の羽毛が美味いのは普通のことだから比較対象にならないか。ちょっとだけ希望を持って誰が料理するのか聞いてみる。私だったら羽毛布団を出せるぞ!!と思いながら。まぁ当然母が料理する。というか母以外が料理するとか無いでしょ(意訳)と言われ絶望の底へ__⭐︎ 展開になったけどなくそ!! 酒は嫌いだけどテメェの料理を食うくらいなら酒を飲むとか勢いで言えたら良かったのに。

「はーい、ご飯。」

「食べてねまた昼前に来るから。」

「はい......頂きます。」

一口食べるとあら不思議。どんな珍味でもこれを表現するのは無理だろうといったような味が口に広がり、それを咀嚼すると、まるで【自主規制】を擦り潰して【自主規制】と混ぜたような味がする。炭や土、はたまた家の壁の方がぜってぇ美味いわてか実際あれむっちゃ美味いもんな......今日はいつもより三割、いや五割増しで不味い気がする......不味い、料理とも言えないだろ……ってものを何とか全部口に掻き込み、私はばたりと眠り(気絶とも言う)についた。

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