覚醒のブラックペッパー

覚醒のブラックペッパー

モテパニ作者

ゆい「う、うぅ…」

ミノトン「あっぱれ!キュアプレシャスよ、キサマは強き者であった」

アンダーグ帝国の新たな刺客ミノトンに戦いを挑まれたゆい。

コメコメの力を借り応戦するも一人でスカイ達四人を追い詰める実力を持ったミノトンにプレシャス一人では及ばず敗北をしてしまった。

ミノトン「ではキュアプレシャスよ、キサマの首を貰う」

ゆい「え…?」

ミノトン「キサマはわれを食らうつもりだったのだろう?われはおなごの肉を食らうつもりは無いが、これも決闘の結果よ」

ゆい「ひっ!」

決してゆいにミノトンを食べるつもりは無かった。

あくまでもミノトンを見て食べ物を連想しただけだ。

しかしミノトンにそんな身内のノリは通用しない、ここからどれだけ弁を振るっても納得しないだろう。

ゆい「いや!」

ミノトン「あがくな、誇りに傷をつけるだけだぞ。…ん?」

ミノトンは何かに気づき少し下がる。

ミノトンがゆいを手にかけようとしたその瞬間白い影がその手を阻んだのだ。

ブラックペッパー「てめえ!ゆいになにしようとしてやがる!」

ゆい「拓海…」

ミノトン「キサマは、知っているぞブラックペッパーだな。なにをしようとしているかなら命をかけた決闘をわれが制し今手にかけるところよ!すでにけりはついておる。邪魔をするな!」

ブラックペッパー「ああそうかよ、だが、俺とお前はまだけりはついてねえだろ」

ミノトン「!、…ほう」

ミノトンの目の色が変わる。

ブラぺの発言は決闘宣言に等しい。

ゆい「だめ拓海!この人すごく強い、逃げて!」

ブラックペッパー「こんな状況で逃げられるわけないだろ!『デリシャスフィールド』!」

ブラぺは自分とミノトンを異空間へと連れ込む。

倒れたゆいを放置するのは心苦しいが、さすがにここには巻き込めない。

ミノトン「奇怪な術よ、ぬ!」

デリシャスフィールドに興味を持つミノトンへ光弾を放つブラぺ。

ミノトンは不意を突かれながらもなんとか防ぐ。

ミノトン「不意打ちか、ずいぶんと余裕が無いと見える」

ブラックペッパー「でりゃぁぁぁ!」

続けて光弾を放ち続ける。

頭に血が昇っていても油断はしない。

プレシャスが負けた相手だ、闇雲に突っ込んでも勝てない!

ミノトン「覇ぁっ!」

ミノトンもやられっぱなしではない。光弾を弾きブラぺに襲いかかる。

ミノトン「ふん!」

そしてミノトンが右拳を放つ、なんとかかわすも外れた拳は地面を大きく穿った。

ブラックペッパー「(なんつーパワーだ。パワーだけならゴーダッツより上かもしれねえ)けど負けられねえんだよ!」

再び光弾を放つブラぺ。しかしその光弾はミノトンの手前に着弾する。

ミノトン「チッ、目眩しか」

舞った砂埃でブラぺを見失うミノトン。

しかしこんなもの長くは続かないし、近づかれればわかる。

やってくることなどせいぜい…

思考を巡らせるミノトンの背後から光が迫ってくる。

ミノトン「読めておるわ!」

振り返り光弾を腕で弾くミノトン。

だがそれは

ブラックペッパー「かかったな!」

ミノトン「なに!?」

ミノトンが弾いたと思った光弾。

それはミノトンの腕に当たった瞬間形を変えてミノトンの腕と胴体に絡みつく。

ミノトン「拘束技!?腕が動かせん!」

ブラックペッパー「おまけだ!」

さらに二発、もう片方の腕と足も絡めとった。

ブンドル団との戦いが終わった後も拓海は研鑽を積んでいる。

デリシャスフィールドやこの拘束技もその成果だった。

ブラック「くらえっ!『ペッパーミル・スピンキック』!!!」

動けない、防げない。

そんなミノトンに渾身の一撃を叩き込む。

その一撃は確実に決まった、だが!

がしっ!

蹴りを入れた足が掴まれた。腕の拘束がいつのまにか解けている。

ブラックペッパー「効いてないのか!?」

ミノトン「効いたぞ、少し、な!」

言葉とともにブラぺは地面へ叩きつけられる。

下が砂地とは思えないほどの衝撃がブラぺに入る。

ブラックペッパー「ぐはっ…」

ミノトン「自信満々に放ってくるからどれほどかと思えば、先程戦ったキュアプレシャスの一撃に比べればまるで及ばん!己の力不足を棚に上げとっておきの技なら根拠も無く効くと思い上がったか?浅い!」

ブラック「がっ…!」

再び地面に叩きつけられる。今度は意識が飛びかけた。

ミノトン「軽い!」

ブラック「ハ…カ…」

そこから間髪入れず首を握られながら持ち上げられる。

ミノトン「弱い!」

ブラックペッパー「ッ!」

宙に放り投げられた後全力のパンチくらってしまった。

声すら上げられず吹っ飛ばされるブラぺ。それでも意識を手放さずデリシャスフィールドを解除しなかったのはギリギリの意地だ。

ミノトン「所詮伝説の戦士にあらず。術を解けい、キサマなど取るに足らぬ」

見下ろされながら告げられる。我ながら無様としかいえない。

ブラックペッパー「(なにやってんだ俺、この戦いは絶対負けられねえはずだろ!)」

己の癒しの力で傷を治し立ちあがろうとする。

しかしすぐ治るほど傷は浅く無かった。

ブラックペッパー「(まだだ!もっと力を振り絞れ!力を貸してくれデリシャストーン!)」

拓海はさらに強く念じる。するとそれに応えるようにデリシャストーンは強い光を放った!

当然ミノトンもそれに気づく。

ミノトン「なんだ?あのひか…」

光を視認した瞬間、短い言葉を発し切る前にミノトンに強烈な衝撃が襲った。

ミノトン「ぐわっ!これは…」

急な出来事に困惑するミノトンだが、歴戦の感がそれは攻撃であると告げる。

それから一瞬後迫る追撃をミノトンは辛くも防いだ。

その攻撃の正体、それは当然ブラぺだ。

しかし疑問はそこではない。

ミノトン「(先程までとは速さも重さもまるで違う!いったいなにが!?)」

拓海がピンチを迎えたこの瞬間急激にパワーアップした。

などと流石にそこまで都合のいい話ではない。

拓海のこの力の秘密。それは拓海のデリシャストーンにあった。

拓海のデリシャストーンはブンドル団との戦いの最中、敵のボスゴーダッツによって致命傷を負った拓海の身代わりとなり一度壊れた経験がある。

しかしその後ゴーダッツとの最終決戦にて、デリシャストーンの第一人者ジンジャーによって作り出された『ほかほかハート蓄積装置』の力でおいし〜なタウンに今までに無い大量のほかほかハートが集まり、それは拓海のデリシャストーンを復活させたのだ。

その時拓海は、いやその場の誰もが、ジンジャーの後継者に選ばれたシナモンすら気づかなかった。

拓海のデリシャストーンは元に戻ったのではなく生まれ変わったのだと。

無理もない。

おそらくあそこまでほかほかハートが集まった事例は存在しない。

その影響を多分に受けたデリシャストーンに大きな変化がもたらされるのは、ある意味必然と言えるのかもしれない。

誰もそれに気づかなかったがゆえに治る前と同程度か少し上くらいの出力しか引き出してこなかったのが、今拓海の求めに応じ解放された!

ブラックペッパー「はぁぁぁ!」

ミノトン「ぬぬぬぬ!」

力は跳ね上がっても拓海は近接格闘においては素人だ。

ミノトンの技術と経験が拓海の拳を自分に届かせない。

しかしミノトンにも余裕が無い、防御に手一杯で攻撃に転ずる事ができない。

ブラックペッパー「ラァッ!」

絶え間ないラッシュ攻撃では埒があかないと拓海は拳を大きく振りかぶり力を集約する。

ミノトン「ッ!」

喰らえばただではすまないとミノトンの武人の勘が告げる。

両手を交差させて己のアンダーグエナジーも纏い全力で防御の姿勢をとる。

ミノトンの行動は本能でとった行動、それゆえに迅速だった。

だからこそ早過ぎた、拓海が行動を完了する前にミノトンの行動が完了してしまった。

それが拓海に別の行動への猶予を与えてしまった。

攻撃のエネルギーを即座に拘束用の技に転用し、ミノトンを拘束した。

ミノトン「しまった!」

ミノトンが失敗を嘆く暇も無く拓海は目の前から姿を消す。

ミノトン「(上…!)」

気配を元に拓海を察知する。しかし今のミノトンにはなにもできない。

ブラックペッパー「『ペッパーミル・スピンキック』!!!!!」

先程と同じシチュエーションで同じ技、しかしその威力は比べものにならないほどの差があった。

ミノトン「ぬ、うぉぉぉ!」

とんでもない威力のキックを受けたミノトンはなす術も無く倒れた。

ブラックペッパー「俺の、勝ちだ!」

拓海は大きな声で勝鬨を上げた。

ミノトン「ぐふっ、見事よ。ブラックペッパー」

ブラックペッパー「悪いな、わけわからない力を使ったとはいえ勝ちは勝ちだ」

ミノトン「かまわぬ、それもオヌシの力よ。敵の力にケチをつけるなど武人にあるまじきことをするつもりは無い。さあけりはついた、われの首を取れ、なんならキュアプレシャスに食わせようとかまわん」

ブラックペッパー「…いらねえよお前の命なんて、ゆいだってお前を食おうとなんてしない。アンダーグ帝国のやり方は知らねえけど、もうゆいに、いや他のみんなにも手出しするな。それが俺の望みだ」

ミノトン「ふっ、聞けぬな。われは命ある限りプリンセスエルを連れ帰らなければならぬ。そのためにはプリキュアとぶつかるのは避けられぬよ。これはわれ個人の意思では決められぬ事。が、今回のような決闘は辞めるとしよう。それはわれの自由意志だからな」

ブラックペッパー「…そうかよ」

そして拓海はデリシャスフィールドを解きゆいを連れて帰るのだった。

〜〜〜

拓海「///」

ゆい「むー」ギュー

翌日のこと、ゆいの家の縁側にて拓海にゆいがくっついている姿が目撃されている。

ここね「どうしたの、あれ?」

あまね「ああ、聞いたところによると新たなアンダーグ帝国の刺客がゆいを襲ったのを品田が助けてからずっとあんな調子らしい」

ツバサ「アンダーグ帝国め!プリンセスだけで無くゆいさんまで襲うなんて!」

ましろ(常識人)「それにしたってなんで仏頂面でくっついてるのかな?」

あまね「助けてくれた事は嬉しいが、自分のために危険を犯した事に対する怒りもあるらしい」

らん「あーブラぺバレの時と似た感じかー」

ゆり「わからなくもないわ。もし自分のために大切な人が万が一の事態になれば自分を許すのはとても難しいもの」

一同『(重い…)』

ゆりの実体験を込めた一言は周りの空気を重くする。

のどか「で、でもゆいちゃんも拓海くんも無事でよかったよ!ゆいちゃんも心配が大きかったからあんな風になってるけど嬉しくて甘えてるのも伝わってくるし、一人で悪い人やっつけちゃった拓海くんもすごいよ(わたしも拓海くんのカッコいいところ少し見たかったなぁ)」

重くなった空気をのどかがなんとか整える。

次第に皆の緊張も解けて談笑の雰囲気へと変わる。

そんな中一人だけ暗い顔でいる人物がいた。

ソラ「(拓海さん、あんな強いミノトンを一人で…ゆいさんのためにそれだけ頑張ったって事ですよね。もしわたしが同じ目に会ってもあなたは…いえ、なに考えてるんですか!わたしはヒーローを目指してるのに誰かに守られる事を考えるなんて)」

ましろ(ソラ拓)「(ソラちゃんの気持ちわかるよ。女の子が好きな人に守られたいって思うのは当たり前の事なんだから)」

ましろ(ソラまし)「(あの人に頼らなくったってわたしがソラちゃんを守るもん!)」

ましろ(まし拓)「(わたしも拓に守られたい!)」

ましろ(常識人)「(今日出てきてるわたし多くない!?)」

ミノトンの襲来によりプリキュアたちに少し変化が訪れた。

その変化が今後にどんな影響を与えるのか、それはまだ誰にもわからない。


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