視覚的太陽
数年前にワタシは友人と決闘(デュエル)とした時に知らずのうちに呪術的存在の『縛り』を結んだ結果、ワタシの視界は七色に蠢き始めた。しかも口調もエセ中国人になってしまって、最初は親戚を訪ねようと玄関まで行ったけど口調を突かれてから全てがパニックになった事さえ今は懐かしい。
その記憶すら凌駕する自体に現在陥っている、サングラスを落とした事だ。あのサングラスはパニクった時、呪術師に拾われて和らげる為にもらったもの。目をつむり地面の小石の感覚を指が受け取る、砂と石ばかりで固形、ましてや眼鏡は見つからない。人混みはワタシを避けたり、偶にぶつかったりしてしまう。だが、誰もが自分で手一杯。そのまま無視されていく。
「やらかしたアル……やらかしたアル!」
渋谷の人間がごった返す歩道、探しものをする彷徨くワタシは邪魔扱いされるのが普通。そこに通りかかる善の塊、太陽の様な化身。焔陽介が通りかかったのだ。
「あれ、春秋」
「この声は焔サうお眩しッ」
つむっていても分かる、暗闇にくっきり写る光の人影は颯爽おかしくてこの状況じゃなきゃ笑っていた。
「なんか探してる?」
「ワタシの生命線でアルサングラスを落として探してたとこアル」
「もしかしてこれ?」
焔は春秋の手にサングラスを押し付ける。拾った時落とした人を探そうとしていたが、なんだが見覚えがあると思い、もし近くに居なかったら別の機会に渡そうとしていた。
「! それアル」
素早くゲーミングの視界を見ないように耳にかける。
「ふー……助かったアル」
「そうだ、予定ないなら昼飯食べようぜ」
「いいヨ〜、今回はワタシの奢りネ」
「よし、マッ○で全種類の食べ比べしよう!」
「そんなに食べるつもりアルか……」
流石に激辛料理店に連れてくのは相手に申し訳ないから、とちょっとした配慮のため大量のハンバーガーを二人で食べることになった。