見えぬ理想、届かぬ思い
「シャドウ、コレで最後だ…俺と戦え」
「は?」
やはりこうなったか。最初に私が抱いた感想はそれだった。
王女として様々な人間を見てきた故に理解していた、そして刃を交えそれは確信に変わった。彼らは師匠に近しい人間であると。それはつまりどちらも捨てきれない"何か"を抱えていると言うこと。その理想が何かは知らないが、それらをぶつけ合うまで納得しないだろうことも
「…良いだろう。相手になってやる」
ほらやっぱり。
なら私が友人達にできることは一つだ。
「白騎士…いきなり何を」
「黙っていなさいシャドウガーデン。」
「邪魔をしないでちょうだい、シャドウは戦いを終えたばかりで…」
「邪魔?……ずいぶん滑稽ね、あのバカを理解できなかったあなたたちに邪魔などという資格はないわ。」
「なんですって…!」
「今の私たちにあの戦いに踏み入る資格はない、観客は観客らしくあの舞台を眺めるしかない。……どうしても踏み入りたいと言うのなら、私を倒していくことね。」
誰だろうと、彼らの邪魔をさせないことだ。
「シャドウ、コレで最後だ…俺と戦え」
「は?」
いきなり何を言い出すんだ、私が抱いた感想はそれだった。教団との決戦が終わり、誰も彼も疲労困憊のはず、それは敬愛するシャドウとて例外では無い。そして張本人である白騎士だって例外では無いはず。
「…良いだろう、相手になってやる」
主は応えた、訳がわからない、私の知っているシャドウなら確実に応えない、混乱を誤魔化すように白騎士へと声を上げて…
「白騎士…いきなり何を」
「黙っていなさいシャドウガーデン。」
剣姫に邪魔をされた、ただ彼に近しい強さを持っているだけのくせに、何故邪魔をする、誰にとっても得はないこんな戦いになんの意味があるのか、そう問い詰めるように声を上げ
「邪魔をしないでちょうだい、シャドウは戦いを終えたばかりで…」
「邪魔?……ずいぶん滑稽ね、あのバカを理解できなかったあなたたちに邪魔などという資格はないわ。」
「なんですって…!」
「今の私たちにあの戦いに踏み入る資格はない、観客は観客らしくあの舞台を眺めるしかない。……どうしても踏み入りたいと言うのなら、私を倒していくことだ。」
私だって理解したかった、彼のそばに寄り添ってあげたかった、そう叫ぼうとするのに声が出ない。
そんな事をしているうちに、戦いは始まってしまった。どちらも全力だ、目まぐるしく戦況が変わり、所々目で追えないほどに壮絶な戦い。今まで見たことのない技を互いに放ち、ぶつけ合う。何故、何故あなた達はそんな簡単に彼のことを理解できるの、私たちでは理解できないの、どうして、どうして、どうして彼は私たちに話してくれないの、そんな淀んだ思いさえも、彼らの戦いの音に呑まれていく。