見えないからこそ、知れることもある
白 紫苑さん魂魄消失事件から、少し元気が悪くなってしまっていますね。それに、本来責任を感じる必要も無いのに思考を閉ざしてるような気もしますし。
本来であれば、平子さんなどの隊長の責務であり紫苑さんは補助であり生きて帰り戻ったソレだけで成果としては得ているのですから。
蒼穹さんもそう思いますよね?
まぁそれは心情等を無視したものであり、他の人の事など予想でしかなく本質的には分かり得ない事は重々知りそして思ってますから私の責任を感じなくても良いと言うのは………神経を逆撫ですることかも知れません。
「こんにちは、紫苑さん今日も暑いですね。」
私はそう言いながら、藍染さんとかから任される仕事を巻いてきたのか人の少ない何処かの涼しい木の下でウトウトと眠っていた。彼女に付いていた毛虫を素手で、ぶちぶちと何匹か取って潰しながら声をかけた………ここ涼しいので良いのですが、夏だとやはり虫が沸いてしまうのですよね。
せっかく綺麗な肌が、爛れてしまいますよ?
そう考えながら、潰した手を見れば毛が手に刺さり。毛虫の体液が広がり毒のように、ヒリヒリと痛みを覚えた。
「……………起こさないで、くれんかぁ?あれ芦原なんでこんなところにいるん、夢かぁ。」
布をかけて最低限の虫除けをとも、考えますが起きて生きたものにわらわらと囲まれてたら。女の子ですからね、トラウマになりますよ、男の子の方でも寝起きに虫に囲まれるのは寝起きには悪いでしょう。
「紫苑さん、ちゃんと芦原ですよ。少し霊薬の材料とかの教材取りに行ってたときに見かけまして。お声かけしちゃいました。」
すこし突然起こされて、気分が悪くそして私がここにいることがあまり信じられないのかまた夢の中だとして眠りにつこうとする紫苑さんをここには霊薬の材料を取りに来た芦原ですと言いながら私は引き留め隣に腰を掛け。起きるまでに、潰した虫を彼女の眼に入らないよう横に寄せた。
「芦原先生、仕事中ってことか私に何て構うとる時間なんてあるん。溝にすてとぉならこれ以上無いと思うけどなぁ。」
紫苑さんは、気だるげに目覚め。日々仕事お疲れさんと棒読みで言いながら、私に構うのは時間の無駄だろうから構わないでくれと不貞腐れるように顔を背けた。
「なら勝手に居させて貰いますね。これお邪魔の代金としてお水どうぞ。」
「……………」
私が横においた、水を流石に暑さのなか涼しい場所とはいえ眠っていた為。そして眠りから起きた後のどうしようもない喉の渇きには、素直なのか受け取り水で喉を潤す音が聞こえた。
彼女は今は色々出歩いたり、人と親睦を保っているようで良かったですが………それすらなくなってしまったら自縄自縛とだんだん自分で自身を責めて苦しくなりますから。
「足りなければ、まだありますよ。」
「そこまでいらわぁ、それに芦原もいるやろ。」
まだいるかなとポンポン持っているだけ、水筒を横においていったら紫苑さんは脱力するようなそれか呆れたようにここまで飲んだら気分悪なると断られた。
「それもそうですねぇ。」
私は笑いながら、続くこと言葉を考え口に出した。
「魂魄消失事件、何で貴方だけここに戻れたんでしょうか。」
本当ならもう少し精神が、安定してから切り込む方が良いのですがそれより前に動かれてしまったら彼女の心構えができませんからね。
私は、紫苑さんに顔を向けるが自身の目は直射は暑いと言いながら布で隠した。
「それは運が良かったか、平子隊長等守ってくれたんやろねぇ。」
紫苑さんは、思い出したくないと怪訝そうな表情のみ浮かべさっさとやめようとたちきるように言い放つ。
目が覚めてから、藍染副隊長が見つけてくれそこで移動か何かをしたぐらいしか記憶がない。それに関する記憶も虚化した隊長と交戦し負けたしかなかったんですよね。
「……………………私が聞いてるのは違いますよ?言い方が悪かったですね、言葉とは難しいものです。
何で隊長の集団をまとめて虚化出来るような人が、貴方を巻き込み虚化させなかったのか?です。」
守ってくれたとは言うが、虚化させれば関係はありません。まとめて事態の目撃者ごと処分できるんですから、元々いた隊長格だけではなく追った隊長格も、虚化されている点から見れば明らかです。
何かしらの事を起こす時には、終われないように目撃者を潰すのが当然の事です。それに虚化は、自然に起こる風邪のようなものではありませんからね。
テロであれば、隔離した場所で行う理由は一切ありませんし一般隊士の眼前にて虚化を行い自隊の隊長が隊士を害し殺すと言う事実を何点か作り上げる方が効率的ですから。
………考えると理由は、実験。それなら、確実に観測するために虚化前でも後でも、その場に居合わせる必要がある。
紫苑さんが、何らかの理由で帰らされたのなら………実験としてもっとも大切な観測が浦原さんは出来ないことになりますね。
「そこまで、価値がなかっただけ………」
「魂魄消失もありますし。価値がないなら虚化させれば、そのまま消せますよ。
一石二鳥とは、この事です。」
そこまで価値がなく無視され、何事もなかったと眼を見開きながら言われるが、価値がないならそのまま消されていると私は笑った。
紫苑さんは自信家なんですね、自信があることはいいことです。
「……………」
あれ黙っちゃいましたね………?
私は笑顔を無くし、表情を変える。私目線の話でしか無いのですがね。
「実験は観測しなければ、意味がないです。あの時居たであろう、今いる人には気をつけて。」
黙って考え込んでいるだろう、紫苑さんに最後に言いたかった事だけ伝え。私は、何か相談があれば美味しいお茶でも用意してますから来てくださいねと言って腰かけていた所に影がなくなった場所から立ち去った。