覇気の話

覇気の話

んあ

 ※回想→戦いの最中っていうかんじです。

 キャラや世界設定が、がばがばなところがあるので注意してください。ちょっと一瞬ニカ?が入ります。誤字脱字は目を瞑ってください!!!あいどんとはぶ 語彙力!!!!!

ローの呼び方は他の方の神SSをまねさせていただきます(土下座)。

 正史ロー→’ロー’ IFロー→ロー









「覇気は能力を破れる?」

 ローはそう、言われたことを返した。

 ここはポーラータンク号の甲板。ローは始めて来たときよりもかなり自我を取り戻し、自分の意思や欲しいものもちゃんと言えるようになってきた。それもこれも、麦わらの一味やハートのクルーたちの助け合ってこそだった。

 そうして過ごしている内に、始めて彼がここに現れてからかなりの月日が経った。それに見合う進捗もちゃんとあった。あと少しであちらの世界のドフラミンゴに刃が届きそうなほどに。

 そんな中、’ロー’は覇気や能力の話をよくするようになってきた。

 「あぁ。おれも四皇戦で学んだとこだが、過剰な覇気で能力は破ることが出来る。それをうまく使えば、そっちのドフラミンゴにも対抗できるだろう」

 ’ロー’はそう教えてくれた。’ロー’にとってもそれは大切な情報であっただろうが、ローからすればとてもとても大きい朗報だった。

 なぜなら彼はあちらにいた頃、そのイトイトの実の能力で存分に弄ばれていたのだ。今となっては思い出したくもない記憶だが、それはトラウマとなってローに根強く絡みついてしまっている。

 それを防げるかもしれないと知った瞬間。ローは片方しか残っていない手を強く握った。彼の心に大きな希望が湧いた。こちらにきてから、初めてと言えるくらい、とても大きな、希望が。

 ローは正直、自分は強い方だと思っていた。だがそれも数年前の話。ドフラミンゴに捕らえられてからは、自分の弱さ故の途方もない無力感に襲われていた。実際、別の世界のルフィや’ロー’と比べると、今の自分は体力的にも筋力的にもかなり無力であった。

 ところが、覇気となればどうだろう。

 腕っ節の自信が無くなった今のローでも、そこからなら手助けになるのではないか。助けられてばかりではないのではないか。

 「そうなのか・・・・・・」

 「そう力まなくてもいい。おれたちが何かをしようとする前に、ついた瞬間、麦わら屋が飛んでいくだろうしな」

 そうだろうなと思い、ローは少し笑みを溢した。友達ではないと何度も繰り返していたが、ちゃんと’ロー’は彼らのことをある意味でも信頼しているようだ。「あいつは本当に・・・・・・作戦も聞かずに・・・・・・」とぐちぐち小声で文句を言う’ロー’を見ながら、本当に頼りになる人たちだと思った。


 自分は、頼りすぎて亡くしてしまったから。

 同じ過ちだけはしでかさないよう、そう心に決めた。








 「はずっだたんだがな・・・・・・」

 今、目の前には自分の元凶であるドフラミンゴが、あちらの世界の’ロー’と戦っていた。一番の適役であるルフィに至っては、すっかりとドフラミンゴの罠にはまり、別の場所で戦っている。ドフラミンゴも、こちらに来る彼らは格段に強くなっているだろうと察し、的の配置を細かく決めていたのだ。

 あちらの世界のドフラミンゴと比べると、今戦っているドフラミンゴは格段に強い。彼らが強いことは承知しているが、さすがに苦戦しているように見えた。

 そう現状を察しながら、ローはゆっくり下を見た。

 もう足手まといにはならないと、そう決めたのに。もうこれ以上迷惑かけたくないと、そう思っていたのに。

 今となってはまたドフラミンゴに捕まり、自分用の小さな鳥籠の中で、膝をついて自分のための戦いを眺めることしかできない。ああ、なんて腑抜けの話だ。

 鳥籠の柵代わりの糸に手を当てて、ゆっくり下に下ろした。ただ撫でただけなのに、ぽつりぽつりと血が垂れてきた。

 昔は自分で傷を付けてしまっただけでかなり怯えていたはずが、今となっては何も感じない。それが良いことなのか、はたまた悪いことなのか。それはローに区別できるものではなかった。

 自ら傷をつけたなんて知ったらドフィはおそらく憤慨するんだろうな、とローは意味もなく笑った。どんなものであろうとも自分で傷を付けたいと思うのがあの男だ。──たとえ、自分の能力であろうとも。

「は」

 そこでローに、一つのアイデアが浮かんだ。

 ──なぜ、あの時の会話を思い出したのか。なぜ、あのとき’ロー’がよく覇気や能力の話をしてたのか。なぜ、ドフラミンゴは海楼石ではなく自分の能力でローを捕らえていたのか。

 思えばローにとっては簡単な話だった。あの時の話と今までの経験を思い出す。

 覇気。それは全人類の全ての人類に潜在する力である。

 ──過剰な覇気は、能力を破ることができるということ。自分が捕らえられてしまうかもしれないという可能性を、もしかしたら’ロー’は、予想していたのかもしれない。だからあの時、ローによく話をしていたのかもしれない。彼は経験からいつも最悪の事態を考えているのだという。ドフラミンゴが海楼石ではなく、自分の能力でローを捕らえているのは、何かがあったときにすぐに手が出せるから。ドフラミンゴ自身も、能力者だから。

 今までの行動全てが、今、行動するためのヒントになっているような気がした。

 

 ぐっと、左拳を強く握る。

 海楼石の錠を付けられていないことが唯一の救いだった。体の中のエネルギーを一気に、外に出してぶつけるようなイメージで。しばらく覇気を使っていなかったとしても、彼の中に経験は生きている。

 やっと、自由になれそうだ。それだけの理由で、彼はまだ縋りついている。それは、大好きで大切な人が、命をかけてまでローに与えてくれたものだから。

 恩人のおかげで自由となり、その恩人の敵討ちために戦い、敗北し、捕らえられ、同盟者や仲間も死に絶え、絶望を味わった。だが彼はまだ、今一度自由になろうとしている。──十四年前も、今も、自分を捕らえていた鳥籠を破ろうとして。

 あの時自分たちを拒んだ壁を、今、壊してやる。そうして、ローは自由になれる。

 あの人からもらった自由を、もう一度。

 仲間たちとの思い出の後日談を、もう一度。

 もう戻らないあの仲間たちとの日々を、思い返すために。





 ──ローは、覇気を世界に放った。


 











「いってらっしゃい、キャプテン。」


















「くそッ・・・・・・!」

 ’ロー’は、ドフラミンゴと未だ交戦中だった。

 元々の世界でも苦戦していた相手だ。あの時よりも’ロー’は強くなっているが、それは相手も同じ事。それに、自分の目の前のドフラミンゴは自分が知ってるよりも長い期間を過ごしている。その分、鍛えられる時間が増え、このドフラミンゴは強くなっているということだ。

「さすがに、痛めつけるだけの日々を過ごしていたわけではないようだな・・・・・・」

 ’ロー’はそう悪態をつく。元の世界でドフラミンゴを倒したルフィが、別の地点で戦っているとなると、自分はその時間稼ぎとなるのが一番だった。ところが、今となってはその時間稼ぎもどこまで持つか。

 「どうした? ロー。もう終わりか?」

 そう考えてくると、目の前のドフラミンゴは’ロー’を煽ってきた。能力を破れることが分かっているとしても、今はそんな隙は一切ない。見慣れない新しい技も増え、能力を破る隙が無ければ、かなり苦戦することは目に見えていたが。 

 「まさか、ここまで強くなっているとはな・・・・・・」

 不甲斐ない。そう思いながら’ロー’はゆっくりと立ち上がり、どこから攻撃が来ても良いように、鬼哭を強く握りしめて身構えようとする。

 「遊びは終わりだ」

  瞬間。そう言いながら、ドフラミンゴがこちらに向かって襲いかかってきた。

 「くッ!」

 ’ロー’はとっさの判断ですぐ横に飛んでよけようとする。だが、不意に体ががくんと傾いたような衝撃が、彼を襲った。彼は驚いて自分の脚を見る。すると、

 「しまった!」

 彼の右足にはいつのまにか細い糸が何重にも絡みついていた。

 ここからではもう’’ROOM’’も間に合わない。’ロー’はすぐ鬼哭を突き出して受け止めようとする。だがこのドフラミンゴの勢いに勝てるかはどうかは定かではない。

 そして、いまにもドフラミンゴの手が’ロー’に触れる瞬間──、


 ガシャン!!!!!!


 とてつもなく大きな音がして、彼らは手を止めた。

 砂埃が舞い、明らかに何か固いものが崩れたような音がした。

 すると、砂埃の中になにやら人影が映った。

 ドフラミンゴは訳も分からず呆然とし、’ロー’は何かを悟り、「ようやくか」と声を溢した。

 その人影には、右腕がなかった。青色ががかった黒髪で、うつろだが、何かを決意したような、強い目をしていた。

 「──お人形ごっこはもう終わりだ、ドフラミンゴ」

 その人影は、おもむろにそう言い放った。

 ドフラミンゴは血管が浮き出るほど怒りの表情を向け、’ロー’はすこし笑みを浮かべた。歩いてくる彼の後ろには、無残な姿になっている鳥籠があった。コツコツと、足音が鳴り響く。治療をしても、少し歩いただけで激痛がはしっていた脚。だがそれもこれも、自由の前ではもはや気にしないものだった。 

 人影──否、トラファルガー・D・ワーテル・ローは、吠えた。


 「もうおれは、お前の人形じゃねェ!!!!!!」

 

 ──ローは、捕らえられてから初めて、自由になった。

 

 一人は唇を噛みしめ、一人はそれでこそ’おれ’だと呟く。そして、戦いに参加しようとたった今駆けつけた解放の戦士は、ニシシッと白く笑った。

 そして、彼は声を張り上げて、叫ぶ。






「おれは!!!!!もう!!!!自由だ!!!!!」






FIN




あとがき

 え?ここで終わるの?となると思いますが、この後どうなるとかは皆様のご想像次第と言うことで・・・細かい設定な違いや矛盾点もいっぱいだと思いますすみません。カッコよくしよう!とか思っときながら演出の仕方がクソ。こいつこんなこと言う?みたいなことはあると思います。本当にごめんなさい!!!!!





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