複製達と彼女達の出会いー恐怖の楽園の過去ー
ー二ヶ月前ー
「急いでください!96号!」
「はぁ……はぁ……待ってください!52号!」
「もう、あんな所に居られません!なんで、アリス同士が戦わないといけないんですか!おかしいでしょう!」
「逃げるのは良いですけど、何処か行く宛はあるんですか!隠れ家を見つけないと!」
「そこは大丈夫です!スランピアという廃園された遊園地があります!そこに行きましょう!」
「幽霊が出るというアノ!?止めた方が良いです!」
「でも、そこしか目を掻い潜れる所を私は知りません!それに、噂は噂です!実際に見なきゃ分かりません!」
「うぅ……居たら貴方の責任です、52号!」
「……と、見えました!アレです!」
「……おや?誰か居る……って私と同じ、アリスじゃないですか?」
「む!先客ですかね?」
「あれ?貴方も私と同じアリスなんですか?」
「そうです!貴方は何号ですか?」
「……実は記憶が曖昧で……4桁で、下二桁が46である事は覚えているんですが……」
「ふーむ、成る程!XX46号、という事ですか?」
「まぁ、良いです!とにかく、私達と共に入りましょう!」
「……!はい!ありがとうございます!」
「しかし、夜なので暗いですね……抜け出すには絶好の時間なんですが……」
「……うわ!いきなり『UTOPIA』の文字にネオンが!って、今度は花火!?どうなっているんですか!?」
「待ってください、96号!今、なんか居ました!……アレは、ネズミ?」
『アハハハ!今宵モ驚カスオ客ガ、ヤッテ来タ!』
「「「うわー!出たー!」」」
「お願いです、お願いです!食べないでください!」ポロポロ
「うわーん!こんな所で人生終わりたくないです!」ポロポロ
「ああ、良い人生だったな……」ポロポロ
『……アレ?チョ、チョット、ドウシタノサ!驚イテ、泣イテ、逃ゲルナラ、トモカク、ソノ場ニ居座ッテ、泣キ続ケルナンテ!』
『どうしたの、シロ?アラ、泣いている子が3人。しかも、同じ顔。この子達はもしかして、最近肝試しに来た子が話していた、量産されたアリス、というやつかしら?』
「今度はカラス!?しかもネズミよりも怖いです!」ポロポロ
「52号!貴方を恨みます!」ポロポロ
「うわーん!今日は厄日です!」ポロポロ
『はぁ……埒が明かない。何故、ここに来たの?少なくとも肝試しではないわね?』
「……私達はある所から逃げ出しました。それでここを隠れ家にしようとしていたんです。そしたら……」ポロポロ
『私達が来た、と。……ココに住みたい、ね。とりあえず、泣き止んで。私達は恐怖に対する泣き声が好きなの。悲哀を含んだ泣き声はあんまり好きじゃない』
「「「うっ……うっ……」」」ポロ……
『良い子達。こっちに来て。とりあえず貴方達をどうするか、話し合うから』
…………………………………………
『ゴズ、来て。話し合う事がある』
『ニャハハハ!一体ニャニかニャ?』
「うわ!今度は列車に乗って猫が!」
『ウニャ?この子達は……?』
「わ、私は量産されたアリスの内の52号です!こちらは96号とXX46号です!私達3人はココに住む事を望みます!」
『ふーん、ニャル程!訳ありかニャ?』
「もう……アリス同士で戦いたくないんです!どうか、どうかお願いします!」
『しょうがニャいニャア!良いニャ!』
『チョット、ゴズ!ソンナニ、アッサリデ、良イノ!?』
『そうよ!他の複製達にはどう説明するつもり?』
『ワシが責任を持って、皆には納得させるニャ!今後、量産されたアリスちゃん達が来たら、受け入れるようにもするニャ!』
「あ、ありがとうございます!」
『ゴズ……分かったわ。でも、この遊園地の土地は無限じゃない。制限は設けましょう』
『ふーむ、じゃあ、20人までとするニャ!それニャら、パンクしニャい!』
『マア……ソレ位ナラ……』
『はぁ。まあ、良いわ。これから貴方達の事はそれぞれ96ちゃん、52ちゃん、そして……』
『XX46チャン?呼ビニクイ!単純ニ46チャンニシヨウ!』
「待ってください!46号は既にアビドスにいます!」
『ムー……、デモ、ソノ子がココニ来ル可能性ハ?』
「0ではないですが、まぁ、来ないとは思います!あの子はアビドスとその生徒さんが好きですし!」
『ジャア、良インジャナイ?ヨロシク、46チャン!』
「は、はい!ありがとうございます?」
『そして……ワシは52ちゃんを育てるニャ!』
『えっ!?待って、そういう事?じゃあ、私は96ちゃんを』
『私ハ46チャンカ!コレカラ、ヨロシクネ!』
「「「は、はい!よろしくお願いします!!」」」
………………………………………
ー時が経ちー
『じゃあ、貴方は受付の所に居てね』
「は、はい!ありがとうございます!」
『増エタネ~!アノ子デ10人目ダヨ!』
『ニャハハハ!愉快ニャ、愉快ニャ!』
『夜のネロも受け入れてくれて何よりだわ。今じゃ、アリスちゃん達に構いっぱなしね。それに……』
「見て下さい、52号、96号!玉乗りがここまで上達しました!」
「おおっ!すごいです!46号!私もクロさんのカラスと意思疎通が出来るようになりました!」
「中に何も入っていない、ハットから〜トランプが!」
「おおっ!52号、すごいです!」
「ゴズさんとのショー、今では、私の楽しみです!」
「えへへ、ありがとうございます!」
『すっかり馴染んだわね、あの3人』
『52ちゃんとのショー楽しいニャ!』
『ウン!楽シイ!』
※改めて
XX46号(46号、46ちゃん)
本来は4桁だが、下二桁の46だけ覚えている。52号、96号とは違う所で嫌な目にあった個体。52号、96号より先にスランピアに着いた。52号と96号は複製達につられ、46号と呼ぶようになった。(本家46号のことは忘れていない)
52号(52ちゃん)
96号と共に何処からか逃げ出した個体。ゴズに手品を教えてもらっている。その衣装はタキシード、シルクハット、ステッキ、黒スラックスとゴズの様相。流石に分身は出来ないが、トランプを用いたマジックが得意。
余談ー受け入れた理由ー
シロが困惑した理由。それは、後にクロが言った言葉にあります。スランピアの複製は、スランピア内に残っている来園者の『歓喜の歓声』が、裏返って、『恐怖』の存在になった、というものです。一見、そんな簡単に受け入れてもらえそうではありません。しかし、彼女達は泣いていましたね?『歓喜』とは真逆の『悲哀』という感情。ソレが彼女達を困惑させたのです。ゴズは彼女達の涙の跡を見つけました。そこから感じる『悲哀』を彼は読み取ったのです。ゴズの行動を見るに『悲しませる』行動は少なくともないです(プレイヤー泣かせなのは認めます)。だからこそ、彼女達をあんなにあっさり受け入れたのです。……如何でしょうか?これで、納得出来たならば幸いです。