補足と解説

補足と解説


過去スレに投げたけれど補足と解説つけたかったなと特に思った三作を長くなったのでTelegraphで纏めて載せときます。

誤字脱字等軽く修正しています。


【進化】

ある昼休みの時間に一人の男子、Aが教卓の前に立って叫ぶ。

「みんな!俺いいことを思いついちゃったんだよ!」

当時クラスの中でお調子者かつ人気者だったAの言葉に何か面白いことが始まるかもしれないと、みんながAに注目した。

「この前授業で進化って習ったじゃん?あれするとでっかくなるポケモン多いじゃん?」

そう言うとAは短パンのポケットから青いアメを何個か取り出した。

「俺早くおっきくなりたいんだよね!だから今から進化しちゃおうと思いまーす!」

そう言いながらそのアメの包み紙を解いていくAにクラスから「なにそれ?」「ふしぎなアメじゃん!よくそんなに集めたな!」「いいね!」「せっかくだから一気に食べようぜ!」なんてヤジが飛ぶ。

それに満足げな顔をしたAは手のひらにいくつものふしぎなアメを乗せると、一気に頬張った。

その瞬間Aの体がぼんやりと光だして────


正直ここから先のことはあまり思い出したくない。

これは俺がポケモンスクールに通っていた時に実際に起きた話だ。

当時の俺はAがどうしてああなってしまったのかも分からず、ただ泣き叫んでいた。

…最近読んだある神話の本にこんな内容書いてあったんだ。

昔は人もポケモンも同じだったから結婚するのは普通の事だったと。

もしこれが本当なら俺たちのご先祖にはポケモンがいるってことだ。

偶々その血が濃い人や早く進化するポケモンが先祖の人もいるだろうな。

それでも完全にポケモンの血を引いている訳では無い。だからきっとAはあんな、まだらに…。

なあ俺の話を嘘や妄想だと切り捨ててくれてもいいけれど、頼むからお願いだ。

どうかふしぎなアメを食べようとしないでくれ。

Aの二の舞いにならないでくれ。

中途半端な進化ほどおぞましいものはないんだよ。



補足

虫タイプは進化が早い子が多いですね。そういうことです。


【ある廃棄された研究所にて】

『⬛月⬛日

試作品が 完成したが これは 失敗作だ

もう少し エネルギー効率を 良く しなければ』  

『⬛月⬛日

交換装置が 完成した

もう 使える エネルギーが ないため 次の日に 実験する ことにする』 

『⬛月⬛日

実験は 無事 成功した

あとは わたしと あの ポケモンの 精神を 交換する だけだ 』

『⬛月⬛日

なかなか 値が 張ったが なんとか 買うことが 出来た 

やはり この ポケモンは 美しい』

『⬛月⬛日

例の ポケモンの 抵抗が 激しく 装置に 入れるのが 難しい

少々 しつけが 必要だ』 

『⬛月⬛日

ついに 来た !

わたしの 夢が 叶う日が ! 』

……日記は ここで 途切れている


不思議な 赤い 装置が ある

装置の 中は 空っぽ !


不思議な 青い 装置が ある 

装置の 扉は 外から ロックが かかっている ようだ

ロックを 解除しますか ?


装置の 中は ひっかき傷 だらけ !

……隅に 骨が 転がっている

どうやら ポケモンの 骨の ようだ



補足

日記の持ち主の夢は叶いました。

ただ二つほど誤算をしていました。

一つは装置の扉に外からロックがかけられることを交換先のポケモンに見られていたこと。

二つはしつけの結果ポケモンの体が想像以上に弱ってしまっていたことです。装置を内側から壊せないぐらいに。

今の日記の体の持ち主は然るべき団体に保護されて、幸せに暮らしています。


【母性または洗脳か】

数年前に道端に落ちてるポケモンの卵を見つけ、親のポケモンも近くに見当たらなかったから持ち帰った。

辞めておけば良かったのに。

暫くして拾った卵が孵ったのは、ちょうど自分が部屋にいる時だった。

大きく揺れ、音をたてながら徐々に割れていく卵を見つめているとピカッと光り出し瞼を閉じる。

そして目を開けて唖然とした。

何も、無かった。

卵の中身どころか殻さえも。

あれから毎日夢を見る。

夢の中であの子は抱っこと言い、こちらに甘えるように手を伸ばしてくる。

それに自分ははぁい、と返し今日もまた笑って抱き上げるのだろう。

時間と共にあの子が段々と大きくなっていくのが怖くて悍ましくて哀しくて、そして何故か堪らなく嬉しくて。

…それがとても恐ろしい。



解説

語り手が卵を拾った際親のポケモンがそれの近くにいなかったのは、もうこの子は無事に生まれることはない所謂手遅れだと察したからです。

実質水子の赤ちゃんポケ幽霊からの刷り込みと絆されるもしくは洗脳を受ける人間を書きたかったんですが、上手く描写出来なかったから質問が飛んだやつです。

正直答えをぼかした方が読んだ人がどんどん悪い方に想像してくれていいかなあと考えたのと、これ答えたら怖くなくなるよなあと思って返信しなかったんですよね。

色々考察してたり質問くれた方がいたら本当に申し訳ないんですけども、こんな感じの理由ふわふわ雰囲気ホラーSSでした。

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