行かないで

行かないで



うちの船長はバカだ。あほだし、考えなしだし、みんなを振り回す。だけどその明るさに、ひたむきさに、そして仲間のためなら、海賊王になるためなら、死んでもいい覚悟をもって強くなっていくどこまでも自由な人。 私はその姿に救われて、彼のためならなんでもできる。 うちの船長は変わらないと思っていた。


だけど、あの白い姿を見た時から私はずっと心の奥底にしまっていた不安が一瞬あふれ出しそうになった。ズニーシャでルフィが聞いたという不思議な声。太陽の神だという白い姿。ルフィが、私の知っているルフィが、どこか遠くへ行ってしまう気がした。


ルフィ、あんたはおいていかないよね?まだ海賊王になってないし、その後も。考えたくはないけど、あなたには生きててほしい。ちょっとだけ、私は怖くなった。私の知っているルフィが、消えてしまうような気がした。


「ねえ、ルフィ」「ん、なんだ?」「あんたは....いつまでもルフィのままよね?」

「そうだぞ、どうしたんだナミ?」 ああ、やっぱりルフィはルフィのままだ。

どうかこれからも、ルフィが、私たちの船長が、ルフィのママでいますように。



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