蠢く

蠢く



「ココにいるのかウタ…?」

ルフィは、2週間前に隔離部屋から脱走してそのまま行方をくらませたウタを感染してない仲間たちと共に探して荒れ果てた町を探し回っていた。

そして、その町の生き残りから紅白の髪の女を町外れの廃墟で見かけたという話を聞き、行方不明者が沢山出てると言う警告を無視して一人で向かったのだ。

半壊した廃墟を見つけ調べると足跡が一つの部屋の扉に伸びていた。一度仲間達と合流することを考えたが、ウタが心配だったルフィは意を決して扉を開ける。

ギィッ…ベリベリ…

扉を開けると扉の内側にへばりついていた無数の糸が引きちぎられた。

「ウッ…なんだぁ…ココ…?」

部屋の中は異様な光景が広がっていた。

壁や床、天井まで絹の様にしなやかで白く覆われた無数の糸…

廊下のところどころに置かれた大小様々で人一人入りそうな繭状の茹で卵の様な器…

そしてその周りにびっしりまとわりつく掌サイズの卵の様なもの…

その中に何か蠢くものを見たルフィは恐る恐る近づく…

グシャッ!

ピギィーッ!

突然何を踏み潰す音と共に何かの生き物の奇声が響き、ルフィは慌てて足元を確認した。

そこには大きな人参ほどのサイズのデカい芋虫が下半身が潰れた状態で蠢いていた。近くの卵も数個割ってしまった様で、割れた破片からドロリとした液体を垂らしていた。

ピィーッ…ギィーッ…!

芋虫はルフィの方に向けて何かを訴えかける様に奇声を発しながら潰れてない上半身を伸ばす。ギョロギョロと向けるその目は人間の目そのものだった。

「ウッ⁉︎ウワァッ!」

グシャァッ!

ピギッ⁉︎

ルフィは湧き上がる嫌悪感からその芋虫を踏み潰した。

「ハァッ…ハァッ…なんなんだココは…ウタは大丈夫なのか…⁉︎」

ルフィは冷や汗をかきながら子供ほどの大きさの卵状の器の中身を確認するためにビリビリと破る。

「ウグッ⁉︎」

そこにはドロドロに溶けた男の死体が入っていた。

そして足下を見ると器の下に蠢く芋虫たちが下に垂れたドロドロの液体を啜っていた。

「ッ⁉︎」

思わず飛び退いて叫びかけるのを我慢する。

一体なんだこれは⁉︎

ウタは無事なのか…⁉︎

ベシャッ…

突然部屋の奥から何かの音がした。

「う…うぅ…」

女の呻き声が聞こえる。

「この声…ウタだ⁉︎ウタ、待ってろ!今助けに…」

ルフィはようやくウタを見つけられたと部屋の奥に飛び込んだ。


「ングオ"オ"オ"オ"オ"オ"ォオオオォオッ⁉︎産ばれるぅう"うぅうぅッ!!!???」


ブリュルルルル!ボビュルルル!ボドボドボド!


そこにいたのは、裸で四つん這いになりながらこちらの方に尻を向け股から先ほどの卵を十何個も産み落とす幼馴染のウタだった。

「ウ…タ…?」

呆然として立ち尽くすルフィ。彼が見ている幼馴染は痙攣しながら白目を剥いて大きく腹は膨れ上がり、尻と胸などに先ほどの芋虫がウゴウゴとへばりついていた。ウタの口からは第二の口が限界まで伸びており、産み落とす快楽でピクピクと痙攣を繰り返していた。

「オ"ッオ"ォッ…あッ…ルフィ♡あはは、来たんだ!」

喘ぎながら第二の口を口内に仕舞い込んだウタは、ルフィの存在に気がつき笑顔を向ける。

「なに…やってんだお前…?」

「何って?出産だよ?痛いってイメージあったから怖かったけどこんなに気持ちいいなんてね…ふぁんッ⁉︎」

ズゾゾソッ!

愕然とするルフィに淡々と説明するウタが突然嬌声を上げる。ウタの股に芋虫たちが集まり、ぱっくりと開いた女の部分を吸い出したのだ。

「ウタ⁉︎待ってろ今すぐに…」

驚いたルフィが芋虫を引き剥がそうとすると、ウタが手で制止した。

「もぉ〜、せっかちさんでしゅね〜?もっと優しく吸わないと…!」

まるでウタは、子供をあやすように芋虫たちに語りかける。体勢を変えて座り込むと、無数の芋虫たちが彼女の胸にまとわりつきその胸を吸い出した。

ブビュルッ!

胸の先端から白い母乳状の液体が噴き出す。

「ウタ⁉︎それは…⁉︎」

突然のことにルフィが驚く。

「あぁ、コレ?また身体を改造して栄養満点の分泌液をおっ〇〇から出せるようにしたんだ!(ヂュルルル!)んオ"ッオッ⁉︎ウフフ…みんな落ち着いてね?ママのおっ〇〇は逃げないからね?」

「ママ…?」

まさか虫の苗床に…⁉︎遅すぎたのか…?

最悪の結末を想像するルフィにウタは抱き上げた芋虫たちを優しく撫でながら語りかけた。

「そう!『私』と『ルフィ』との『赤ちゃんたち』だよ!可愛いでしょ?」




「…は?」




ルフィはその言葉を聞いてポカンと口を開けた。

それを無視するようにウタは笑顔で話を続ける。

「ほらルフィ、覚えてる?あの夜愛しあった時のこと?」

「あの夜…ッ⁉︎」

ルフィはその言葉を聞いて青ざめた。ウタが失踪する3日前、感染したウタが放つ蛾のフェロモンの色香に耐えきれなかったルフィが一度彼女と交わってしまったことを。感染させられたと思い、普段あまり入らない入浴をしチョッパーの検査や殺虫薬も飲んで安心していた。

だが、彼女の目的は感染ではなかった。

『繁殖』だ。

聖母のような笑顔を虫たちに向けるウタを見ながらルフィはふと思い出す。

廊下で踏み潰した虫を…卵を…

悲しい目で何かを自分に訴えかける虫の嘆きを…

「俺たちの…子供…うぷっ…ウゲェエエエエエッ!」

急な吐き気に耐えきれずルフィはその場で蹲って嘔吐した。

「ねぇルフィ?子供たちの名前いっぱい考えなきゃね!シャンクスも知ったら驚くだろうなぁ?こんなにたくさんの孫のおじいちゃんになるんだから!きっといい家族を作れるねルフィ?」

笑顔で語りかけるウタの声を聞きながら吐瀉物の上に倒れ込むルフィ。彼が意識を失う前に見たものは、自分の吐瀉物に群がり啜る我が子たちだった。

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