蝕乱
しがないSS書きCP(キョウホミ)注意だぜ!
恋を自覚したホミカちゃんの話だぜ!
そういう話が苦手な人は読まないことを勧めるぜ!
「戸惑えば戸惑う程、それは愛しているということなの」-アリス・ウォーカー
「あぁもう何んだよ…!」
何でアタシがこんな反応をしているんだろう。どうしてこんなにも顔を真っ赤にしてまで興奮しているのだろうか。バトルで負けて悔しい訳でもないし身体が悪い訳でもない。
至って普通で健康的なのに、どうして体が火照るように熱くて堪らないのだろう。まるで甘い毒のように、ゆっくり、ゆっくりと体中を廻り、着実にアタシが蝕まれていく。
ライブ中も熱に包まれて、理性が吹き飛ぶ程に楽しくなるが、それとこれとではまるで違う。これは理性を消し飛ばして落ち着こうと三本の弦を奏でても決して消えることがない。
毒霧のように、体を、心を、腐食し、融解し、メルトダウンを引き起こす。そんな時に決まって思い浮かぶのはあの男の顔。ポケモンバトルで私を負かしたアイツ。ポケモンとの絆に溢れ、才能に恵まれたアイツ。
自分のペンドラーが地に臥した時に感じたのは、圧倒的な屈辱と尊敬、そして今絶賛私を苦しめているこの興奮。あの時生じた全ての感情が、ドロッと蠱毒の如く入り混じり、複雑な感情の坩堝を創り出す。
その渦中に、心は揉まれに揉まれて踠き苦しむ。アイツは本当に罪な男だ。その情熱的な瞳といい、優しい性格…言葉では表せられない…もう全てが…愛おしく…待て、それじゃあ…
「アタシもしかして…アイツに恋してるってこと⁈」
ありえない ありえない ありえない
どうして私が恋なんか…今までどんなチャレンジャーとバトルしてもこんな感情を持つことは無かった。せいぜい熱気で興奮するくらい。それなのに一戦交えただけのアイツに、どうしてアタシが…?
アタシが一目惚れしたとでも言うのか…?だとしたらそれは…
「アタシが理性飛ばされたみたい…馬鹿みたいじゃん!」
主人の異変を察知したのか、ボールからペンドラーが這い出て寄り添う。顔を桜のように染めた主人はペンドラーに抱きついて絞り出すように呟いた。
「決めた…アイツの理性ぶっとばしてやる!」