蛇姫語 ~再会~

蛇姫語 ~再会~

ウタルテットの不当な読者koum

「あ〜、あそこでルフィを無理やりにでも船に乗るのを邪魔して、女々島に連れてったら、違う道があったのかのぅ」

「姉さま、またその話?」

「あのころの妾は若かった・・・」

九蛇の船は補給のために停泊中。

酒を呑むことぐらいしかすることがない。

うだうだと昼間から飲んでいたら、ソニアが絡んできた。暇なやつめ。

「聞いてないし・・・ちょっと飲みすぎじゃないの? 同じ七武海のサー・クロコダイルが海軍に捕まったんだし、 少し気を引き締めたが良くない? アラバスタはここから近いし、海軍も殺気だってそうよ」

「ふん! むしろ遅すぎるくらいじゃろ。あんないかにも何か企んでますって顔で、正義の味方の振りをしおって。そもそも同じ穴のムジナの海軍が捕まえられたのかも怪しいわ」

海軍に正義などない。

利を取ろうとするであろう鈍重な海軍では、見るからに狡猾なクロコダイルを捕まえられるか、怪しいものよ。

海賊同士のいざこざで、うっかり負けたところを捕まえたとかの方がしっくりくるわ。

「海軍から招集あったら、ちゃんと行ってよ、姉さま。さすがにクロコダイルがやらかしているからマズイって」

「またソニアが行ってまいれ! 判断は任す。ソニアの判断で持ち帰った依頼ならばこなすぞ」

「また?! 七武海の招集会に出席するの、めちゃくちゃ居心地悪いんだけど」

「妾を呼び出すならルフィを寄越す。ルフィが出せぬならば、こちらはソニアを代理とする。これまでそれで通してきておる。ここまで来ておるが、故にこれからもいける」

「10年も前に勢いで結んだ約束が、よくも今まで続くよねぇ。板挟みに合う私はたまったもんじゃないんだけど・・・」

「それだけ海軍はルフィのことを引きずっておるんじゃろ」

「姉さまもね」

「妾は全然、気にしておらん!!!」

「え〜〜? さっきだって・・・」

「何も言っとらんわ!!!」

 ソニアは細かいことを気にしすぎる。物事は要点を押さえれば良いのじゃ。

「とにかく! 民草に迷惑をかけず、海賊探して略奪して回っておれば、海軍は文句を言わぬ。七武海の本質はそれじゃからな。それ以外の雑用は海軍だけで片付けるのが筋よ」

「ルフィと絡んでからは品行方正ですもんね、うちの海賊団。何も企んでないし」

ドフラミンゴなど、腹に一物抱えた七武海の連中を思い出す。あの辺と比べたら、九蛇海賊団は特に疑われる要素はないし、実際にやっていない。

「海賊といえば、この島に別の海賊団がいるそうよ」

「ほぉ。海賊狩りと呼ばれる七武海がおるというのに、いい度胸しておる。何か情報はあるのか」

「アラバスタから来た無名の海賊団らしいんだけど・・・今は島でライブするって準備しているみたい」

「は? ライブ? 音楽の? 変な海賊団じゃな。それ海賊か?」

「天使の歌声って、実際に聞いた人が噂してるって。結構、人が集まるみたいよ」

色々な意味で、かなり怪しい。

海賊の定義としては、世界政府の機関に出国・渡航届を出さずに、国から国へ無許可で渡る連中のことを指す。

反政府的な芸風の音楽隊なのか、イベントに紛れて盗難や人さらいでも、やらかそうとしている可能性がある。

きな臭い。

そもそも海賊を名乗っていたら、施設を抑え人を集めることも大変だろうに、どういう経緯でライブが開催されようというのか。

少し興味が湧いてきた。

「どうせ暇しておったところじゃ。マリーゴールドにも声をかけて、ライブとやらを冷やかしに行くかの。ああ、船員もライブに参加するのは良いが、戦闘は妾が良しとしてからじゃと伝えておけ」

「ライブってんなら一般人だらけだろうから、やるなら終わってからってことね」

「所詮、無名の海賊団じゃ。九蛇海賊団とバレたら逃げるかもしれん。伝達には一般人のフリも頼む」

「了解〜」

 

 

 

 

 

 

絶句した。

「久しぶりだなァ! ハンコック!!」

絶句するほかなかった。






 

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