虹ヶ丘さん増植中

虹ヶ丘さん増植中

モテパニ作者

それはある日の事。

さあや「ねえ、ちょっといい?」

拓海「どうかしたか薬師寺?」

さあや「疑問なんだけど、ましろってなんで増えるの?」

ましろ(常識人)「…むしろわたしが聞きたいよ」

あまね「ふむ、すっかり慣れてしまったが確かに不思議な現象だからな」

ダークドリーム「そんなにおかしい?プリキュアやってれば増える事くらいあるでしょ」

ゆり「私も身に覚えはあるけれどましろのこれはまた別件だもの、気にはなるでしょうね」

ましろ(常識人)「(この二人がいるからこのおかしな状況にもツッコミ入れづらいよぉ)」

片やプリキュア5のリーダーキュアドリームこと夢原のぞみのコピーダークドリーム。

片や自身を元に作られたコピーのような存在ダークプリキュアがかつていたゆり。

下手な言葉は地雷になりかねない二人がいたのもあまり言及がされなかった要因である。

あまね「(そういえば最近ジェントルーとは会っていないな)」

さらにもう一人いるのだが、そちらは今は割愛しよう。

ましろ(ソラまし)「さあやちゃんはわたしが知りたいのかな?でもごめんね、わたしにはソラちゃんが…」

ましろ(常識人)「ややこしい方向に持って行かないで」

ましろ(ソラ拓)「でもちょうどいいかもね、ここで一度改めて自己紹介しちゃうのも」

ましろ(まし拓)「拓に自己アピールだね!」

ましろ(作家)「そういう事ならわたしは自分の作品を…」

ましろ(常識人)「ああまた脱線しかけてる!」

のどか「ふわぁ、改めてましろちゃん同士の会話見てると目が回っちゃいそう」

同じ顔、同じ声、しかし少しずつ違う性格。

側から見れば誰が誰かを把握するだけで混乱してしまいそうだ。

ましろ(ソラまし)「まずはわたし!ソラちゃん大好きなましろだよ!」

ましろ(ソラ拓)「そしてわたしがソラちゃんを応援したいましろだよ!」

ましろ(まし拓)「拓が大好きなましろだよ!」

ましろ(作家)「駆け出し作家のましろだよ!」

ましろ(妖精)『喋れないなりに必死に自己アピールしている』

ましろs『みんな揃ってましろ5!』

背後で爆発が起こりそうなくらい立派にポーズを決めるましろ達。

ましろ(常識人)「(なんで普段意見合わないのにこういう時だけ息ぴったりなんだろう…?)」

ここね「こういった時に加わらないって事はあなたが本物のましろなの?」

ましろ(常識人)「うんまあ、わたしは他のわたしと違って消えたりしないし」

らん「え!?他のましろんって消えるの!?」

さらっと衝撃の事実が飛び出てくる。

ツバサ「ああ、こっちではしてませんけど、うちでは寝る前とかにスーっと消えていくんですよ」

ソラ「すごいですよね!」←ましろなので怖くない

あまね「そ、そうなのか…」←怖い

さあや「ふーむ、それは姿が見えなくなるの?それともましろ本人の中に入ってるの?」

ましろ(常識人)「入ってるみたい。わたしはあんまり自覚無いんだけど他のわたしが言うには、それに夜寝てる時とか他のわたしのその日の出来事とか見る事もあるし」

拓海「記憶の共有までできるのか、なんかすごいな」

ましろ(常識人)「全部じゃないけどね。夢だって毎日見るわけじゃないし」

あげは「思い出だけじゃなくて経験も共有できるんじゃなかったっけ?最近ソラちゃん好きなましろんがソラちゃんのトレーニングに付き合ってるから体力ちょっとついたんでしょ?」

ましろ(常識人)「筋肉痛もセットだったけどね…」

さあや「へぇ、経験まで」

さあやはそれを聞いて少し考え込む。

ましろ(常識人)「さあやちゃん?」

さあや「話を聞いてて気になったんだけど、もし増えた方のましろに子供ができたらどうなるの?」

ましろ(ソラましとまし拓)「「わたしとソラちゃん(拓)の子供!?」」

ましろ(常識人)「そういう事じゃないと思うよ!?」

さあやの爆弾発言に意中の相手がいる二人のましろが反応する。

あまね「言われてみればだな。正直私も興味が湧いたが、そのところどうなんだ?」

ましろ(常識人)「知るわけないよ!」

本体は案の定知らないようだ。

なので増えた方、興奮していない作家達に目を向ける。

ましろ(作家)「悪いけとわたし達もわからないよ。実際試しでもしないと」

らん「自分のことなのにわからないものなの?」

ましろ(ソラ拓)「逆に聞くけど普通の人も自分の体のことは習わないとわからないよね?」

ここね「ぐうの音も出ない正論…」

仮にましろに今のましろのような状態の先達がいれば話は別だが、今のましろのような人間はましろ以外覚えがないので流石にそのような深い部分まではわからなかった。

ましろ(ソラまし)「だったらわたし達で確かめよ!ねっ!ソラちゃん!」

ソラ「ええっ!?わたしたち女の子同士ですよ!?」

ましろ(ソラまし)「大丈夫!成せば大抵なんとかなるだよ!」

ひなた「それヒーローじゃなくて勇者のセリフだし…」

ましろ(まし拓)「拓…早いかもだけど作っちゃう?」

拓海「早いも何もする予定ねーよ!」

※このS Sの拓海は未経験です。

ましろ(常識人)「そもそももしわたしに影響あるかもしれないなら絶対やめてよ!いや他のわたしにだけでも大問題だよ!」

さあや「まあ…そうだよね。その解明は機会があったらにしておくよ」

ましろ(常識人)「機会…」

自分以外のましろにそのような機会きていいのか、そう思うましろであった。

ゆい「ご飯はみんなどれくらい食べるの?」

ましろ(作家)「妖精のわたし以外はそんなに変わらないよ」

ゆり「むしろあの子はなんなの?一人だけサイズも違うし」

ましろ(ソラ拓)「あの子はわたし達もよくわからないかな…」

ましろ(妖精)「ニコッ」

妖精のましろはその質問に何を答えるでもなく笑顔でいた。

ダークドリーム「……」

拓海「どうかしたか?ダークドリーム」

途中から黙っていたダークドリームが難しそうな表情を浮かべていた。

ダークドリーム「私からも質問いい?」

ましろ(ソラまし)「うん。答えられるものなら」

ダークドリーム「じゃあ…あなた達本体のましろから出たり入ったりしてるけど、その、怖くないの?ましろの中に戻って二度と外に出られなくなったりとか」

みんな『!』

その疑問に周りのみんなも息を呑む。

理由もわからず起きている不思議な出来事、ふとした瞬間起こらなくなってもおかしくない事なのだ。

特にダークドリームはコピーの存在であり一度消えた事すらある。

そんなダークドリームにとって決して無視できる話ではない。

しかし、

ましろ(ソラまし)「ちっとも怖くないよ」

ましろ(ソラ拓)「例えわたし達が出て来れなくなってそれで消えたとしても、"わたし"はちゃんとここにいるから」

ましろ(まし拓)「むしろ戻れなくなる方が怖いかな」

ましろ(作家)「だってそうなったらわたしは虹ヶ丘ましろじゃない違う誰かになっちゃうから」

ダークドリーム「!?」

予想していた答えとはまったく違うもの。

ダークドリームはましろ達にわずかばかり仲間意識のようなものを感じていた。

だがはっきりと自分とは違うと思い知った。

ダークドリーム、そしてジェントルーはコピー元であるのぞみやあまねとは違う一個人としての存在を望んでいる。

しかし彼女らは違う。

あくまで全員虹ヶ丘ましろでありまたはその一部である。そういった共通認識でいるのだ。

彼女達の意思表示に少し雰囲気が重くなるが、

さあや「それで結局増えたましろ達ってどういう存在なの?」

知的好奇心を満たしたいさあやがそれを破る。

ましろ(常識人)「そうだよ!そこが一番気になってるんだよ!」

拓海「話がズレにズレてたな…」

主題である増えたましろ達はなんなのか?から段々とましろ達のパーソナルな部分に話が以降していたのにようやく気づく。

ましろ(ソラまし)「わたし達がどういう存在か、一言で言うなら"わたし"の可能性、かな」

さあや「可能性…?」

ましろ(ソラ拓)「そう、わたしの中にある無数の可能性」

ましろ(まし拓)「その中でもより強くなったわたしが出てきた者」

ましろ(作家)「それがわたし達だよ」

ましろ(常識人)「(え?じゃあわたしこんなふうになるかもしれないってこと?)」

あげは「うんうん、ましろんは小さい頃から何にでもなれそうな子って思ってたよ」

ましろ(常識人)「その評価は嬉しいけどこの状態で喜んでいいのかな!?」

さあや「無数の可能性から出てきたって事はましろの中には他にもましろがいるってこと?」ましろ(ソラまし)「うん。ほとんどのわたしは中から出られないけどいろんなわたしがいるよ」

ましろ(ソラ拓)「それでも互いを妬む事もなく仲良くやれてるよ」

ましろ(常識人)「(ほんとにわたしの中どうなってるの!?それとも外に出られないだけでみんなそうだったりするの!?)」

ましろ(まし拓)「でも中には外に出すには危険なわたしもいるんだよ…」

ましろ(作家)「そんなわたしに限って存在が強かったりするからみんなで止めたりするよ」

さあや「危険なましろっていうのは?」

ましろ(ソラまし)「例えば、プリズムショットを撃つことに快感を覚えるようになってしまったトリガーハッピーなわたしとか」

らん「すっごい危険!」

予想外の危険人物に一同驚愕

あげは「ましろん…そんな欲求が…!」

ましろ(常識人)「可能性!あくまで可能性だから!」

正直可能性がある事も認めたく無いのだが、さすがににそちらは誤魔化せないので認める。

ここね「よくそんな危険な相手止められるね」

ましろ(ソラ拓)「わたしの中にはミラージュペン無いもん」

ここね「そこは都合良く無いんだ…」

プリキュアになることによって生じた可能性であっても変身アイテムが無いので変身はできない。

当たり前なのだが、ましろの中がわからないので出てくる答え全てが驚きだ。

ましろ(ソラ拓)「そしてわたし達にとって危険な存在…!」

ましろ(まし拓)「拓と男の子をくっつけたい腐ったわたし!」

拓海「なんじゃそりゃ!?」

話を一方的に聞くだけだと思っていた拓海に思わぬ不意打ちがくる。

あげは「ましろん///」

ましろ(常識人)「可能性!」

可能性の話、か細いがましろにある逃げ道である。

ましろ(ソラまし)「わたし達としては出てきてもいいんじゃない?って思ったんだけどね」

ましろ(作家)「そっちのわたし達がどうしてもだめって言うから」

ましろ(ソラ拓まし拓)『もし拓海くん(拓)が影響受けて男の子好きになったら困るよ!だって拓海くん(拓)と付き合うのはソラちゃん(わたし)だもん!』

あまね「だそうだ、愛されてるな品田」

拓海「…どう反応すりゃいいんだよ」

ソラ「あはは、ましろさんってば」

さまざまなましろ事情があるのだとこうして話を聞くだけでわかってくる。

そんなふうに話しているとましろ達は少し表情を重くする。

ましろ(ソラまし)「そして、わたし達の中でも危険な存在…」

ましろ(ソラ拓)「みんなを自分のペットにしようとしている…」

ましろ達『飼い主のわたし!』

拓海「か、飼い主…?」

ツバサ「ど、どういう事ですか!?ましろさんの家ではペットは飼ってないはずですよ」

ましろ(まし拓)「言ったでしょ、みんなをって」

ましろ(作家)「ソラちゃんや拓海くん、他のみんなをペットにしようとね」

ソラ「わ、わたし達を…!」

あげは「ましろん…!?」

ましろ(常識人)「もう可能性として認める事が負けな気がしてきたよ…」

さあや「それでそのましろはどうしたの?」

ましろ(ソラまし)「わたし達は他のわたしが出てくるのを邪魔したり説得したりはできるけど…」

ましろ(ソラ拓)「他のわたしを消したりできるわけじゃない」

ましろ(まし拓)「仮にできても自分にそんな事したくないしね」

ましろ(作家)「もしかしたら、いつか出てくるかもしれないね…」

話を聞いていたみんなは一斉に息を呑む。

いつかくるかもしれない恐怖に対して…

〜〜〜

???「待っててねソラちゃん、拓海くん、みんな、もうすぐ行くから」

彼女はもうすぐそこまで来ている。


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