無限の可能性という名の虚空

無限の可能性という名の虚空

ゴルゴンダ&デカルコマニー

お久しぶりですね、先生 。私達と初めて出会った時、記号についてお話した事を覚えていらっしゃいますか?


ありがとうございます、先生。では、今回のご要件をお話しましょうか…


先生、貴方は『能美ショウコ』の事をどう解釈していらっしゃるのでしょうか?


────『"私の大事な生徒"』ですか、実に貴方らしい解釈です。ですが、私達はあの少女を『虚空』と解釈します。


いえ、そういう風に解釈する事しか出来なかったという方が正しいのかもしれません……。

そういうこった!


彼女は認識をする度にそのテクストを変化させています。彼女のテクストは揺らぎ歪み正され整えられる事を繰り返し、その度に違う解釈を導き出すのです。その様は、まるで彼女が無数の解釈を有している様でした………


そうですね……何が言いたいのかというと、彼女には"何も無い"のです。全てにおいて無、"虚空"だからこそ、彼女の解釈は常に変動しているのでしょう。


ある者によっては一組織の事務員、ある者にとっては救世主を騙る悪魔、ある者にとっては愛故に世界を滅ぼそうとする怪物、ある者にとって創作でしかないキャラクター。認識の数だけ、無限の認識を持つ彼女はある意味、『止め処無い図書館』と同質の存在と言えるのかもしれません。

そういうこった!


先生、あの少女の関わり方は気を付けた方が宜しいでしょう。────気が付いた時には既に手遅れ。彼女のテクストに飲み込まれ、貴方自身のテクストすら虚空へと帰してしまうかもしれないのですから………

そういうこった!



要約

『先生、あの少女はヤバいからマジで気を付けて!生徒だからって油断しないでね?』

『そういうこった!』




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