虚圏へと至る道
1
色々考えた末に俺は浦原商店へと足を運んだ
浦原産なら虚圏へ行く方法を知っているかもしれねえしそれを頼りにタスクが来ている可能性が高いと思ったからだ
そうして浦原さんに連れられて地下へと降り立った俺に声がかかった
「随分と辛気臭い顔をしているな 黒崎!」
「石田...! お前 何でここに...」
「...決まっている 虚圏へ行く為だ 一護」
「チャド...!」
だがチャドは前の襲撃の時に命の危機に瀕していた...チャドや石田を俺の都合で連れていくのは...そう思っているとチャドが俺に一撃入れてきた
「翼から教わった我流滅却師の歩法だ これでも...力が足りないか...?一護」
チャドは確かに瞬歩のような速度で動いて見せた
「一人で背負うな その為の仲間だ...!」
チャドは俺を真っすぐ見据えてそう言ってくれた
「ぬおおお!放しなさい浦原ァ!一度虚圏へ行って戦うための道具を見繕いに商店を訪ねてみたら即捕縛とは一体何なんですのおおぉぉ!」
...良い感じで締めようとしていた所に浦原さんが簀巻きにしたタスクを抱えてこちらに向かってきた
「いやーいたいけな虚を操って本当に虚圏へ一人で突っ込むとは...翼サンには先ほどの茶渡サンの言葉を百回くらい叩き込みたくなりますねぇ!まぁ一度現世へ戻ってきてくれて助かったんスけど」
ムキ―!と奇声を上げながらジタバタする翼を見て有沢と喧嘩しちまったりした俺は傍から見りゃあんな感じだったのかも知れないと思うとゲンナリした...
「タスク...お前本当に一人で虚圏へ行ってきたのかよ」
「ええそうですわよ!虚圏はくそデカい砂漠で監視の目もありましたがそれを掻い潜って敵地を視察したけれどデカい以外なにもわかりませんでしたわよ!」
拗ねたような顔をしながら投げやりに言い放つタスクをみて自然と笑顔が出た
「ありがとよタスク 井上の事助けようとしてくれて」
そう言うとタスクはハトが豆鉄砲を喰らったような顔をしてこちらを見た
「チャドの受け売りそのままだけどよ 一人で背負わず俺たち全員で井上を助けに行こうぜ」
今思えば初めて会って「俺が助けるからそのまま待ってろ」って言っちまった時に刃すら向けられたのも仕方がないのかも知れねえ
「お前じゃ守れない」って言われてるようなもんだしきっと俺でも同じくらい気が立っちまうかもしれねえ...だからって刃を向けるのは気性が荒すぎる気もするんだけどな
チャドが簀巻きにしていた縄を解いてタスクを地面に立たせた
「タスク...お前も俺たちと一緒に戦ってくれないか お前もいれば心強い」
石田は...未だに妙に高い岩の上で佇んでやがる バカとなんとやらはってやつか?
石田のいる方向から妙な視線を感じているとタスクが
「うーんしょうがないですわね 『友』と『人』の為に戦うのが虎屋家ひいては我流滅却師のモットーですし!虚圏へ一度行った虚圏派遣の先輩でもある私が同行いたしますわ!」
調子がいい野郎だぜまったく...