虚ろに微睡む
モブレされるシャンクス
バギー目線
モブが死にます
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シャンクスを探していたときだった。
いつもだったら気にしない、どこの町にもあるような路地。何でかシャンクスに呼ばれた気がして覗き込んだ。
「シャンクス……?」
そこには男がいた。
男はナニカを押さえつけ、腰を振っている。
路地裏に響いているのは男の荒い息と水音、そして小さな声。
その声は「ぁ……あ、ぁ……」と断続的に聞こえる。
「……ァ、ぎぃ」
呼んだ。
おれを、呼んだ。
聞いたことのある声だった。
毎日聞いている声だった。
シャンクスの、声だった。
「ハアッ、ハアッ、ハアッ……はははは、アー……ははっ」
笑う男の影に、シャンクスがいた。
髪にはそもそもの髪色とは違う血の赤とどろりとした白濁で染まり、頬は殴られたのか青あざが出来ている。服はボロきれになって服として役にたたない状態で、その全身は酷く汚れていた。
シャンクスの目は虚ろで、今にも消えてしまいそうなほど弱々しい。
ゆっくりとその口は誰かを呼ぶように動いて、そして閉じた。
シャンクスの瞳が瞼で隠れる。
そのまま、その瞼は開かない。
「しゃん、くす」
シャンクス、起きろよ。
おれの声でようやく気がついたのか、男が振り返る。
何かを言っていた。シャンクスを犯しながら笑っていた。
おれはただこの男をとてつもなく、殺したくて殺したくて堪らなくて────
その後のことはあまり覚えていない。
ふと気づいたら目の前には男の死体が転がっていた。
「はーっ、はーっ、はーっ」
左手に持つ愛用のナイフには血がべっとりついている。
今日、研いだばっかりなんだがなァ。
そんなことをぼんやり考えながら死体を見れば背中と目、胸に刺傷。何回もやられたようで服は血でぐちゃぐちゃだった。
おれがやったのか。
「……コイツ、カタギか」
よくよく見てみると銃やカットラス、ナイフすら持っていない。ただの島の人間だったんだろう。
カタギには手を出すなと言われている。
でも、どうでもよかった。
だってシャンクスに手を出した。
だから、殺した。
「……ロジャー船長たちのとこに戻らないと」
おれは汚れたシャンクスを抱き上げ、裏路地を走る。表に出てこんなシャンクスを他の人間に見せるわけにはいかない。
シャンクスの息は抱き上げても聞こえないほど小さくて、消えてしまう気がした。
今はただ、シャンクスのあの腹立つ笑顔が恋しかった。