…なんてね。

…なんてね。

野生のカプ厨
適当FA


注意!!

このSSには以下の要素が含まれます

・妄想設定

・妄想カプ

・存在しない記憶

・駄文

それでもよろしいという方は、ゆっくり読んでいってね!


ネット掲示板に載っていたスレを、興味本位で覗いたら、いつの間にか違う世界にいた。

どうやらあのスレは本物だったらしい。性別や年齢はさほど変わっていなかったから良かったが、本当に違う世界に来てしまったようだ。部屋には何故か探偵服と電気銃が置かれ、机の上には少し前に学んだ記憶のある高一の教科書、そして僕の顔が載った学生証が置いてあった。


最初は本当に辛かった。突然ただの日本の学生であった僕が、誰もが銃を持っているような世界に来たのだから、当然だ。それなりに運動能力には恵まれていたけど、他人に銃を向けるのも、向けられるのも怖くて仕方がなかった。


でも幸いなことに、僕には戦闘力がなくてもこの世界で十分生きていけるような能力があった。それが僕の知性と直感だった。僕は直感で相手が何を隠しているのか理解して、それを知性で理論づけして…まさしく、探偵のようなことが出来た。

この能力は、この学園でも重宝された。WIDという治安維持組織のトップ、ボンノウに評価され、スカウトもされたが、僕は荒事が嫌いだったから断って平和な牧場経営部に入った。


それからは、毎日楽しかった。牧場経営部の部長のイツハは僕のことを妹のように接してくれるし、僕自身も彼女を前世の姉の代わりのように慕っていた。時折WIDからの要請を受けて事件解決に駆り出されることもあったけれど、戦うことは求められなかったし、自分が求められているように感じられて、なんだか嬉しかった。

いろいろな事件に巻き込まれたりすることもあったし、便利屋10の課長に胸を揉まれたりもした。でもなんだかんだ、それも僕は楽しく感じていたと思う。


でも日が経つごとに、僕の心は静かに…それでも確かに傷を負っていた。

WIDとルビコン…特に先進技術開発部への違和感、何度も訪れる危険、そして何よりも…


「〇〇…〇〇…」


頭の中を回る、この声だ。

帰りたい。

日本で一緒にいた、母の声が、父の声が、友人の声が…そして何より、姉の声が頭から離れない。

帰りたい。

寝ても覚めても、皆の声が止まらない。

帰りたい。

そしてそれは、寂しさを埋めようと学園の人たちと関わるたびに、大きくなっていった。

帰りたい。


………帰りたい。

そう思うたびに、変化した体が、光り輝く光輪がお前はもう帰れないのだと告げる。

そうして全て、全て諦めてしまおうかと思ったときに…


「理久殿〜〜結婚してくだされ〜〜!!」


変態が来た。

薄井狼と名乗ったその少女は、どうやら自分に一目惚れしたらしい。

それから彼女は自分と結婚したいと初対面なのにもかかわらず求婚してきたのだ。

正直言って、なんだコイツと思った。一目惚れしたからと言って、普通は友人として距離を詰めて、それから告白するものだろう。いきなり求婚とか頭がおかしいのではないか。

だから当たり前のように、僕は彼女の求婚を断った。


だが予想外だったのは、彼女がそこで折れなかったことだ。

それから彼女は、アプローチと称して、無理矢理部屋に籠もろうとする僕を外に連れ出した。

ときには、僕のえ…えっちな絵を書いて渡してきたりした。燃やした。

そしてまた次のときには、僕の服を変な服に変えたりもした。燃やした。

そしてまたある日には僕をば、バニー服に着替えさせて、お店に連れて行ったりもした。

彼女はいつも僕の手を引いていた。いつも、僕と遊んでいた。いつも、僕のことが好きだと言っていた。


いつも、いつも、いつも僕の隣には、彼女がいた。

晴れの日も、雨の日も、彼女は僕と一緒にいた。

楽しかった。彼女に振り回されて、一緒にバカをしているときだけは、何も考えずにいられた。彼女は僕の孤独を癒し、寂しさを忘れさせてくれた。


だから、まあ。僕は決して狼のことが好きなわけではないけれど、まあ、狼は僕のことが好きで好きでしょうがないのだから。

どうしてもと、どうしても彼女が言うのであれば、まあ、考えないこともないだろう。


…ああ、だけど。

あれだけ好き放題言って、連れ回しておいて、もし他のを選んだら…


「許さないよ、狼」


隣で呑気に眠る彼女の髪に触れながら、僕はそうつぶやいた。

Report Page