落星の渋谷観光

落星の渋谷観光

落星の人

7:25


『暇だ』

そう呟いたのは顔に宇宙が見える穴がある人型の呪霊、落星だった

今、落星がいる場所は、東京都八王子市のとある公園だ

定期的に視界に映る呪霊を祓いながら考える

何をしようかと、そうぼんやりと考えていると公園で寛いでいるカップルの会話が聞こえてきた。

「今日、渋谷行かね?ハロウィンだし」

「おっいいね!私、魔女のコスプレする!」

その手があったか!そんな風に落星に電流が走った。

今日は2018年10月31日ハロウィンの日である

ぶっちゃけ落星自身はハロウィンに興味はない

ただただ、お祭り気分を味わいたいだけなのだ

『今日がハロウィンだってことを思い出させてくれてありがとう

名も知れぬカップルよ。それはそうとして爆発しろ』

そんなことを言い残し落星は渋谷に向かい始めた

道中、見覚えのある火山頭を見かけはしたが気にはしなかった


9:00


『来たぞ!渋谷!落星様の参上だァ!!』

落星は誰も聞いてないことをいいことに突拍子もない事を叫ぶ

『うーむ、どうやら来るのが少し早すぎたようだ』

どうやら落星はすることが無くて困っているようだった

『死人が目の前ででるのは気持ちが悪いし環境整備でもやろうかな?』

ここは都会、人が集まる分しっかりと呪霊も強い

落星はハロウィンを楽しむために渋谷にやってきたのだ

人が死んでしまっては気分が台無しなのだ


11:45


『大体、片付け終わったかな?』

そう言った落星は近くの椅子に座り顔を上げる。

落星の視線の先には大量の呪霊の死骸があった。

その死骸は少しずつ呪力に還元され消えてゆく。

『呪霊掃討RTAタイム2時間45分、大分時間掛かっちゃたなー』

落星は呪霊を祓っている最中に謎のゲーム、呪霊掃討RTAを始めていた。

いかに効率的に建物に被害を出さずにエリア内の呪霊を祓い、全滅までのタイムを競うゲームである。

ちなみに参加者は落星ただ一人である。

その事実を認識した落星は静かにボッチは辛いよと涙?を流したらしい。

なお近い将来、RTA走者仲間の最強ができるのは余談である。

『この後どうしよう』

落星はまたしても暇になった。


17:35


『うし!これで事故の原因になりそうな脆い場所は無くなったな!』

とうとう暇を持て余した落星は無償の修理屋となった。

落星の術式は詠んだ星の現状を再現するもの。

要するに物質創造が可能なのだ。

渋谷の街を極の番”歪”で高速移動しながら星の呪霊として持ち合わせる星の状態を把握する能力をフル活用しながら様々な理由で脆いところを修復し続けていたのだ。

『あと25分か』

もう既に仮装して騒いでる人がいるが渋谷ハロウィンはまだまだこんなもんじゃないと落星は理解していた。

渋谷ハロウィンの全盛は18~22時、落星は”まだ”全力でふざける場ではないと本能で理解していた。


18:30


天国のいよちゃん見てる?

今、落星お兄ちゃんは全力で”今”を楽しんでるよ...!!

『イェエエエエエエエイ!バイブス上げてこォオオオ!』

ああ楽しいな何ヶ月ぶりだろう

10分経過

『イェエエイ!俺お酒物理的に飲めないけど雰囲気で酔ってきたぜぇい!』

こんなに心踊るのは

10分経過

『一発芸やります!顔の穴に手を入れてみた~!』

やってよかった!呪霊狩り!

9分経過

『あ、これちょっと抜けないかも手が』

だけど何だ?この嫌な予感は


その瞬間、東急東横店を中心に帷が降りた


「は?」

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